ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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「天タマ」第36号(2000年10月24日発行)

2007年08月10日 | 教科通信「天タマ」
「天タマ」第36号(2000年10月24日発行)

         市立看護専門学校 哲学の教科通信

  「不満があるなら、直接言えばいい」という考えは正しいか

──「直接言えばいい」というのは、親が、意見を言える子に育て
たいという思いもあるのではないでしょうか。親が出ていくのは簡
単だけど、子供が言うことで、成長していくように思います。

──相手に直接言っていいことと、直接言っては都合の悪くなる場
合があるのではないだろうか。都合が悪くなる場合とは、例えば上
下関係において下の者が上の者に対して直接言うと、下の者の立場
がより弱くなってしまったり、感情をはさんで相手に言うと、相手
との関係がもつれてしまい問題解決どころか、問題が大きくなって
しまう場合がある。

──私も人に直接言うことがすごい下手で、言葉より書く方がいい
ので、誰か間にいてくれたらと、いつも思ってしまう。直接言うの
は勇気がいるし、言ってからの気まずい雰囲気が好きではない。そ
う思うと言うのを抑えて我慢する傾向に、誰でもがなってしまうよ
うに思う。

──私のバイト先でも、仕事が終わったら、皆その日にあったこと
や疑問点、改善してほしい点など、必ず一文書いていくというもの
がある。そのおかげで、この人はこう思っているんだとか、1日の
流れや様子がよく分かる。バイトの私でも、直してほしいことをお
願いできるし、皆が読むものなので、厭味っぽくないし、これが直
接伝えることなのかなぁと、改めて思った。

 ★ 「直接言う」ではなくて、コミュニケーションにおける書き
言葉の意義ではないでしょうか。それにしても、トップがちょっと
気をつけただけでこれだけの事が出来るものなのですね。あなたが
仕事についた時にも提案してください。

──「直接言えばいい?」に関連して、先生が校長を訴えたという
経験を聞いて尊敬した。自分も小学校に対して疑問を持つことはあ
るがそこまでの実行力はない。やはり、自分の意見を主張する、相
手に分かってもらうには、直接言った方が話が早い。

 ★ 裁判所に訴えるのは「直接言う」ことではないと思います。
「公務員は全体の奉仕者」という規定(憲法第15条)を守らない公
務員に対しては、最後は裁判を起こす(これは簡単に出来ますし、
いずれ話します)くらいのつもりでいた方がいいと思います。

   VTR「福祉オンブズマン」を見て

──VTRに出てきた夫婦で、オンブズマンの活動により、会う回
数を増やすことができて、とても良かったと思う。奥さんに会えた
ときのおじいさんの顔がとても印象的で、私もうれしくなった。と
ても感動した。

 ★ この感想は多くの人から寄せられました。又、「オンブズマ
ンの会話の進め方も素晴らしいと思った」という感想もありました


──医療現場で医者と患者さんが話し合う場に看護婦がいて患者さ
んの日常生活のこと、普段の発言から患者さんのサポートをして、
言いたいことを医者に伝えていくことが必要だ。

 ★ 医者の考えや治療などが間違っていると思った時、そういう
事まで看護婦が言えるのには相当の環境が必要だと思います。やは
りトップのイニシアチブでそういうシステムを作っておかないと、
個々の看護婦の努力では無理ではないですか。

──オンブズマンの活動は日本ではまだあまり普及していないとの
ことであるが、患者-医療関係者間の混乱を起こさないようにしな
ければならなかったり、中立な立場をとる必要もあったりして、難
しい点も多いと思う。医療の仕組みのマンネリ化を防ぐという意味
では新しい手段であるし、成功すればより良い人間関係のもとに治
療や看護が施せるようになるはずだ。

──去年、ある授業がとてもつまらなく、又その先生は職場の若い
人達の悪口ばかり言い、あまりためになっていない、ということが
ありました。その事をクラスの人達が何人か、担任の先生に相談し
たのだけど、改善されませんでした。それは多分、問題の先生が偉
い人だったから(?)だと思います。こんな時、オンブズマンがい
てくれたら、問題が解決したのにな、と思いました。この学校には
オンブズマンがいないので、何かを先生に相談しても、情報が漏れ
てしまうのでは、と心配になります。

──直接・間接どちらにしても意見を述べたところで、実際に改善
してくれるかも大問題です。夏休みに出された課題の最後に、授業
に対する意見・要望を書いてほしいとあったので、生徒全員が書い
て、先生もそれに返事をくれて、授業の中で改善していきたいと言
っていたのですが。それから3回、授業がありましたが、変わって
いません。私たちが意見を言うことと同じくらいに、受け取る側の
考え方も大切だと思います。

──普段の生活の中でも、私たちは先生と話す機会はない。担任が
いても(今は特に実習で)ゆっくり話をすることはない。年に数回
ある面接だけで自分の考えを全て伝えるのは難しい。しかし、もし
間に何かあったらもっとお互いに理解し合える関係ができていくの
ではないかと思う。

 ★ クラス日誌を充実させるというのも一つの手かもしれません
ね。しかし、先生にその余裕があるかな。これからはパソコンが発
達して、学校の中でもLAN(学校内のインターネット)などが出
来るようになっていくと、少し変わるかもしれません。技術の発達
は大切で、私がこういう授業の出来るのはワープロと簡易印刷機が
あるからです。

──前に、生徒が先生に日程の組み方(テストなどの)で意見を言
ったら、そういう事は生徒が訴えていかなければ変わらないから、
あなたたちが言わなきゃだめ、と言われた話を聞いた。でもこれは
逆に言えば、この先生が自分で言うことを避けていて、結局生徒に
自分たちで言うように勧めているけど、誰に言っていいのかも分か
らない。この時点ですでに生徒は先生に訴えているのに、ここで聞
き入れてもらえず、また誰か他の人に訴えなければいけないことが
、よく分からなかった。

 ★ 最後の所が意味不明でしたが、それはともかく、3つの事を
考えました。この方の言うように、先生の応対を「逃げ」ではない
かと思うのは自然ですが、世の中には「仕組み」があり、どういう
問題はどこに言わなければならないかという決まりがあるというこ
とは、もう知っておいていいと思います。

 ではそれを誰に聞いたらいいでしょうか。先生に聞くのも一法で
すが、親に聞くのも大切です。一般的に言って、日本の生徒は学校
の事を親と話さなすぎると思います。

 第2に、言ったからといって、すぐに変更できる事ばかりではな
いということです。

 第3に、国立大学でも今や殆どの所で前期を7月末まで延ばして
、7月中に前期試験をしてしまうようになりました。そういう事は
先生からも当局に伝わっていると思いますが、皆さんからも意見書
を出すと、変化が早まるかな。

   その他

──先生の本をさっそく読んでみたいと思いました。東洋医学なん
て全然身近でないので、気になるところです。今まで、広告とか看
板をよく見かけたけれど、何だか高いお金であやしい先生がみる、
と思っていて、うさんくささを感じていたけれど、一度この方法を
試してみて考えたいと思いました。

──実習の時、患者さんが、つぼを押してくれる知り合いを呼んで
、つぼ押しをしてもらっていた。患者さんはとても気持ちよさそう
で、本当に効き目があると、見ていて分かった。東洋医学も取り入
れられるべきだと思った。薬を使わずに利用できるほどよいものは
ない。

──私は薬にたよることが多いと思う。薬を飲むことで症状が緩和
され、行動に制限されることもなくなるので、薬を飲むこともいい
ことだと思う。

──「天タマ」の中で先生がプリントを投げて渡すといった内容が
書いてありました。私もこの事について少し気になっていました。
正直、私は「この先生、乱暴だなぁ、もっと普通に置いてくれれば
いいのに」と思っていました。でも、「天タマ」の中の「受け取る
生徒がきちんと手を出して受け取っているか」という先生の意見を
読んで、自分のことを反省せず、相手についての不満ばかり指摘し
ている自分に気づきました。自己を振り返ることも必要だと感じま
した。

 ★ 落ちついて話し合える「天タマ」があってよかったですね。
決めつける前に、お互いに話し合ってみましょう。私も皆さんの意
見を聞いて反省しています。

──今日の先生はいつも以上にはっきり言ってやる気が感じられた
。でも、時々怒られているような気持ちになったりするのはなぜな
のでしょう。先生のやる気に圧倒されているからか、よく分からな
いですけど。

 ★ もう少し観察して、考えて、又意見を出して下さい。

──休憩はいつもいろんなビデオを見たり、話を聞いたり、知らな
かった事が多い。今日は健康法のことをとても熱心に話していた。
私は銭湯には行ったことがないので、機会があったら冷たいお風呂
に入ってみたいと思う。またドイツの話もとても楽しそうにしてい
た。話しだしたら止まらないって感じに見えた。でも今日は途中で
止めていた。少しずつ授業が楽しく感じるようになった気がする。


──今日の「天タマ」を読んでいて私は中1のころを思い出した。
中1の時の担任だった先生は毎日欠かさず学級通信を出していた。
そこには、昨日あったクラスの出来事や毎日先生に提出する日記、
今日の予定などが記されていた。私はそれを読むのが大好きで、今
でも大切にしまってある。それに「天タマ」はすごく共通している
部分があると思った。自分以外の人がどういう考えを持っていて、
先生はどういう風に思っているのかが分かる。講義に追われ、宿題
に追われる毎日で、相手が何を思って行動しているのかなど考える
機会がとても少なくなった。そういった意味で「天タマ」は心の交
流を私たちにもたらしてくれると思う。そういった機会を与えてく
れている先生に感謝です。

──私は高校の時にも、私が意見を書いた紙をだすと、必ず書いて
くれる先生がいた。先生もこういう事をやることが好きな人もいれ
ば、嫌いな人もいる。私は他の人が意見をくれて、それを読み、ま
た考えることができるのでよいと思った。

──教科通信については、私も先生が言われるように、年齢が上が
っていくにつれて必要になってくると思う。それは、年齢を重ねる
うちに、まわりの意見を聞く機会が減るし、自分の意見の中で生活
する傾向があるからで、視野を広げる意味でも必要だと思う。