ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

 2008年10月から「第2マキペディア」として続けることにしました。

天タマ、第31号(2000年099月22日発行)

2007年08月01日 | 教科通信「天タマ」
天タマ、第31号(2000年099月22日発行)

           市立看護専門学校 哲学の教科通信

 まず、「授業要綱」として、こういう授業を目指しますというこ
とをお話します。

1、哲学とは筋道をつけて考えることとする。従って、その練習を
 し、各自が自分の考え を自分にはっきりさせ、発展させること
 を目的とする。

  テーマとしては、今年は今大きな問題としてクローズアップさ
 れている医療事故から 出発したい。その後はそこから出てきた
 問題を深めていくこととする。いずれにせよ、 先を急がす、ど
 んなテーマでも対話と反省を深めることに注意したい。

2、授業の方法

 (1) 与えられた資料を手掛かりにし、また講師の意見を聞いたり
して考え、カンファレンスをして、自分の考えをレポートにまとめ
る。

 (2) レポートを書く時の注意
  ・メモをとって3分は考えてから書く。日付を入れる。
  ・「その他」としてテーマとは無関係な事、私生活上のことと
   か、授業の感想とかを書いてよい。書いて欲しい。
  ・「教科通信」に載せられては困ることは、その旨記すこと。
   匿名希望も可。

 (3) 講師は「教科通信」を発行して、考えを深めるのに役立てる
ように努力する。

 (4) 「教科通信」を家族に見せたり、授業の事を家族に話したり
することを歓迎する。

 家族の意見をレポートで報告するのも大いに歓迎する。

 個人の対話体験の基礎は家族との対話、特に親子の対話にあると
思う。

 (5) ディベートの練習も出来たらしたい。

 (6) 講師はレポートには感想を書いて返すように努力する。

(7) レポートは学校の原稿用紙に書くのを原則とする。

 授業中はメモ用紙に書き、後で原稿用紙やワープロで清書するの
もよし、初めから原稿用紙に書いてもよし。それを、学期末にまと
めて綴じて文集にする。

 文集は同じものを2部作り、2部共提出する。講師は1部を自分
に取り、1部に成績の根拠を書いて返すように努力する。

 (8) 授業中、適当な時に「休憩」を入れるように努力する。

 たいてい授業と無関係なものを読んだりビデオを見たりする。

 (9) 配付する資料等は A4 に統一するので、 A4 のファイルを用
意して欲しい。

 (10)授業中、気持ち悪くなったり、トイレ等の用のある人は、黙
って出ていくこと(断らなくてよい)。

 (11)当番の人は始業5分前には来て、『天タマ』等を配っておい
て欲しい。

 (12)教科書『囲炉裏端』は「筋道をつけて考える」ことの参考書
とみなす。

3、哲学の授業に臨む態度ないし心構えについて

 (1) 自分の言いたい事を全部分かりやすく言うように努力する。

 (2) 相手の言う事を最後まで聞くように努力する。

 (3) 感情的にならないように努力する。根拠をあげて客観的に冷
静に意見を言う。

(4) 講師は先を急がないようにする。生徒のレポートなどで問題
に気づいたとき、自分の意見を言う前に、生徒に問題を提起して考
えてもらうように努力する。

4、授業のあり方の反省

 ★ この授業が根本的に間違っていると考えた場合は管理者に相
談して欲しい。

 以下は、「この授業は根本的には適当だが、部分的に改善して欲
しい点がある」という立場で考えるものとする。

 (1) レポートの際、いつでも、「その他」として、授業の感想・
提案を書いてよい。

 (2) 講師の作ったアンケート「より良い授業のために」を2回取
る予定。

 (3) 学生が企画・実行する「アンケート」も1~2回行う予定。

 (4) この「授業要綱」にあることにはつねに意見を出せる。従っ
て変更もありうる。

  但し、最後的決定権は講師にある。

 (5) Eメールで意見を下さっても結構です。

5、成績

 (1) 生徒に相応しくない態度は、1回でC、2回でD、または酷
い場合には1回でDとする。(感情的な態度、私語と内職、規律を
乱す行為、等)

 (2) 受講態度に問題がない場合は、レポートの内容によってSA
Bをつける。

 その観点・・独創性、考察の広さと正確さ、文章のまとまりと分
かりやすさ、等。

 特に独創性を評価する。

 (3) 成績の根拠を生徒に伝えるものとする。

 異義申し立ては1回だけ聞くものとする。最後の決定権は講師に
ある。

6、希望

 内容のある楽しい授業にしたい。


     参考・これまでの「天タマ」から

患者が「あなたじゃ心配だから、他の看護婦に代わって」と、新人
看護婦を断った

 次のAさんのレポートが標準的な考えのようです。それをまず掲
げます。

──例に挙げられた看護婦の話は難しいところだと思った。私たち
看護婦側からいうと、やはりそれなりの経験を積んでいるのだし、
経験の浅さだけで全面的に否定されるのは辛い。でもやはり患者さ
ん側から言えば、新米看護婦に任せるのがこわいのも仕方ないと思
う。学校では、「堂々とした態度で接して患者に不安が伝わらない
ようにする」と教わっているが、経験の浅さや不安がどうしても表
れてしまうと思うし、患者さんは自分に対してだけでなく、他の患
者に対しての看護婦の失敗なども覚えているのだと思うから、十分
に実力をつけることが、私たちにとってまず大切なことだと思った


 ★ これを中心にして、「一年目の看護婦だからといって、技術
や知能が他の先輩看護婦より劣っていると、頭ごなしに決めつける
のは、まちがっていると思う。新米看護婦だからこそ、初心を持っ
て慎重に看護行為を行うものだし、ベテラン看護婦にも、慣れたこ
ろにおこるミスがあると思うから」、

 「患者もあるがままに振る舞うのではなく、一人の人間としてそ
の場に在ってほしい」という意見と、

 「そういう患者の気持ちを理解してあげられる看護婦になりたい
」、「看護婦の誰もが通る道なので、気にせず仕事に励んでほしい
」と看護婦を励ます意見とに分かれるようです。

 更に分析して、「看護婦のケアは医療的なものと身の回りの世話
に分かれる。医療的なことで新人が拒否されても仕方ない面もある
が、身の回りの世話まで拒否するのは偏見ではなかろうか」という
意見もありました。

 実習の中で「同じような事を言われた例」を挙げます。

・このままじゃ〔あなたは〕絶対に看護婦にはなれないね、と言わ
れた。

・先生には話してくれるのに、私たちには話してくれなくて、悲し
く悔しかった。

・9月の実習で患者に「自信をもってケアしろ」と言われた。

・一人でやろうとしたら「看護婦呼んでこい」と怒鳴られた。
 (第2号から)


──哲学の授業は深く物事を考えることが目的なのに、カンファレ
ンスの内容が少し多いように感じる。

 ★ 私も授業が進んできて、少し混乱してきているように感じて
います。いろいろと考えた結果、今回はレポートを「その他」だけ
にして、講師の話す時間を増やすことにしました。それが皆さんと
の対話で「全体カンファレンス」になれば嬉しいです。また、「天
タマ」も今回は「生徒による授業評価」関連の問題に絞り、その他
のことは次の号に回すように編集しました。

──「天タマ」に載るみんなの意見の内容が濃く、そしてハイレベ
ルになってきたように思います。自分の考えをしっかり持つことが
出来るようになり、大人になっていくのだと思います。

──もう何回か哲学の授業を受けてきて、自分の考えることが増え
てきたように思う。
 (第22号から)

VTR「デルフトの眺望」

──フェルメールは私がもっとも愛する画家。私がフェルメールに
出会った最初の絵がこの「デルフトの眺望」でした。そこに描かれ
た光と影、そこに立つ人の一人一人がまるで生きているかのように
描かれている。それから沢山のフェルメールを見ました。彼は人を
描き、その中の人はほとんどすべて、日常の動作の中の一瞬をとら
えたかのように、絵の中で息づいているものばかりです。

 「デルフトの眺望」を見た時にも鳥肌が立つ思いでしたが、今も
なおフェルメールの生の絵を見るとそう思います。昨年、京都でニ
ューヨークの美術館の絵を展示する機会がありました。その中に一
点、フェルメールの「手紙を書く少女」があり、私はすぐに足を運
びました。茜色の毛皮のつけた上着をはおり、手紙を書きながらこ
ちらを一瞬振り返ったような少女の顔と、現実のようでそうでない
ライティングの技法はまさに「その時」を一枚の絵に閉じ込めたか
のようです(少女はフェルメールの娘で、その上着はプレゼントに
彼女に贈ったものとも言われていますが)。

 私は今後も彼の全36枚の絵に会いにゆくつもりです。1枚はとあ
る王室の家にあり、見るのはかなり難しいのですが。
 (第23号から)

──先生のホームステイの時の話、クリスマスの時の話(キリスト
教)はちょっとしたことだが、私たちとは違い、想像しながら聞い
ていたら、なんかとてもよく伝わってきた。私の高校の時の友達は
卒業後、1年間ホームステイをしながら語学学校に通って、今年カ
ナダの大学に入った。ずっと文通しているが、私とは全く違う世界
(生き方)で、異文化についていろいろ教えてくれていつも手紙を
楽しみにしている。友達もはじめはカルチャーショックがあったよ
うですが、今では向こうの生活に慣れ、休学をしてメキシコに旅行
に行ったり、いろいろな経験をしているようだ。とてもうらやまし
く思うこともあるが、友達は医療のことは分からないから、私の話
に興味があるという。お互いに知らないことを話し合うのは良いこ
とだと思う。
 (第30号から)