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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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キャンパスに不穏な動き?当局が警戒強化。
大学生
/
2005-05-19 08:25:26
先日「棲息地その2」で質問を頂きました。
――――
●中国誤算、「民主化」若者に衝撃 連戦・宋楚瑜氏の講演
http://www.sankei.co.jp/news/050512/kok022.htm
【北京=福島香織】台湾野党の連戦・国民党主席、宋楚瑜・親民党主席が十一日までに相次いで北京の名門大学で講演を行った。自由主義、民主化の賛美や台湾意識を訴える内容は、学生らから強い支持があり、ネットには「国民党が中国に来て二大政党になればいい」といった反応も。
陳水扁政権への揺さぶりが狙いの中国の筋書きによる台湾野党の北京詣でだが、中国若者の政治意識に意外なインパクトも与えているようだ。
……こんな動きもありますが、いかがなものでしょうか?
――――
以下に私の回答を。
――――
御指名にあずかり光栄です。
この記事、私も読みました。非常に興味深い内容でした。でも大学生の中のほんの一部の、ややラディカルに走りそうな声ばかりを集めて記事にしたように思います。実際にそういう大学生はいるのでしょうが、まず多数派にはなれないんじゃないかと思います。
ミもフタもなく言ってしまうと、「民主・自由」という言葉のハイカラな響きに気分として憧れて、一時的に酔っているだけかと。
社会に対して問題意識があって、現状の政治制度では根本的な解決がつきそうにないと考えて強い危機感を持ち(同時にある種の不偶感もある)、その危機感に苛まれつつ試行錯誤した末に「自由・民主」へとたどり着くならホンモノでしょう。例えば一九八九年の民主化運動当時の大学生たちがそうでした。
でも当時でさえ学生の間での温度差にはかなり幅があり、それを急進的かつ行動的な学生たちが力づくで引っ張り、かつ急き立てるようにして大きな動きへと育てていったのです。そこまで育ったのは、温度差はあれど危機感や問題意識が一同に共有されていたからだと思います。
でもいまの大学生はどうでしょう。まず学費等を自己負担する部分があるので、学生同士に容易ならぬ貧富の差(親からの仕送りの多寡)が形成されてしまっていて、金持ち組と貧乏組では接点がないといえるような、全く異なる消費生活を送っています。当然、友達付き合いにもそれが反映されています。ですからまず団結しにくいのではないかと思います。
それから、日本への憎悪をかき立てることで中国社会への問題意識を眠らせた江沢民の「愛国主義教育」「反日キャンペーン」のおかげで、またここ十年の中国が表面的には急成長を遂げていることもあって、大学生を含む若い世代はおしなべて現状肯定派です。心配事といえば就職問題くらいでしょう。今のままで別にいいじゃないか、という気分が大半の大学生を支配しているのではないでしょうか。政治運動を体験していないことも現状肯定の気分を補強すると同時に、社会への問題意識や危機感を生みにくくしていると思います。
ですから、「反日」(ナショナリズム)でまとまることは可能かも知れませんが、「自由・民主」で学生を動かすことはまず無理だと思います。何事かへとつながる作用は起こるまい、起爆剤としては到底期待できない、ということです。
――――
……以上です。
「大学生を含む若い世代はおしなべて現状肯定派」
「(大学生の)心配事といえば就職問題くらいでしょう」
という見解はいまも変わっていないのですが、ただ大学生にとって唯一の心配事であろう就職問題、これは相当深刻な模様です。共産党に対するユース組織とでもいうべき共産主義青年団(共青団)、ここの中央部門が先日、全国各地の下部組織に向けて異例の通達を発しています。
●共青団中央「学生の就職問題で突発的事件が発生することを断固防止せよ」
http://www.xhby.net/xhby/content/2005-05/17/content_790334.htm
大学生の就職や起業に対する問題を学生の身になって事細かくケアしてやれ、という内容なのですが、それがうまくいかないと「突発的事件」が起きるかも知れない、というのです。こりゃまた穏当じゃありませんね。
「突発的事件」というのは具体的に何を指しているのか、デモや集会というより、突然キレてルームメイトを刺したり、教室で唐突に暴れ出したり、そんな気配もなかったのに自殺を図ったり、あるいは窃盗や性犯罪に……というようなケースだと思いますが、わざわざ通達が出るくらいですから「突発的事件」も頻発していて、かなり深刻な問題なのでしょう。ただ穏当でないのは「突発的事件」ではなく、就職問題の実情というべきかと思います。
――――
新卒者の就職問題は某巨大掲示板風に表現すれば「人大杉」(新卒者数>就業機会)という構造的なもので、就職率100%など夢のまた夢です。昨年実績をみてみると、新卒者280万人のうち、昨年9月時点で就職できたのは204万人、就職率は73%です。簡単に言えば、卒業式が終わると約80万人が自動的に失業者(大半が貧困層)へとクラスチェンジする訳です。大学院に進む者、留学する者もいるでしょうから実数はこれを下回るでしょうが、ざっとした言い方だと10人のうち3人までが就職浪人、ということになります。
中国の新学期は9月からスタートしますから、来月当たりから卒業シーズンに入るかと思います。今年の新卒者数はさらに増えて338万人(前年比58万人増)となる見込みで、周済・教育部長も「今年の就業圧力は例年にない強さだ」と、厳しい表情です。
このため「西部へ行け」運動のようなことも奨励されています。経済的後進地区である内陸部では逆に人材不足で、ド田舎(島流し同然)なだけに新卒者に対する需要も高いというのです。これに応募すると奨学金制度が適用されます。
ただ、本当に内陸部へ行けば職にありつけるのでしょうか?
●西部志願者の就職実績、昨年は60%に
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-04/27/content_2885782.htm
「西部行き志願大学生計画全国プロジェクト弁公室」の責任者が4月27日に明らかにしたところによると、2004年度は志願者1770名に対し、その60%が同弁公室を通じて就職した、とのこと。じゃあ残りの4割は?ということになるのですが、別の部門を通じて職をあてがわれたのか、就職論人になってしまったのかは不明です。
これと同じ組織のやっている活動なのかどうかはわかりませんが、今年の志願者数は5万人を超える、という記事もありました。
●新卒者5万名が西部での就職を志願
http://zqb.cyol.com/gb/zqb/2005-05/12/content_2969.htm
この記事によると志願者数は全国で5万1994名、ただこのうち53.7%は地元の西部地区出身者です。
――――
まあ、共青団中央が全国に通達を発するくらいですから、現状肯定派である大学生の間でも不穏ともいえる空気が出始めている、というところでしょうか。こればかりは現地に留学でもしていないとなかなか実感がつかめません。
さて今年の就職率はどうなるのでしょう。昨年より新卒者の数が60万人近く増えて「人大杉」状態に拍車がかかっています。一方で経済は「軟着陸」(ソフトランディング)を目指した緩やかな減速基調ですから、就業機会が大きく増えるとは考えにくい。それゆえ昨年実績(73%)の水準に達するのはかなり難しいように思います。
……ただ、いまの中国経済、マクロコントロールで緩くブレーキをかけている筈なのに、それが奏功しているといった気配がなく、むしろ経済過熱を懸念する声が出ています。アルミやセメント、鉄鋼といった業種に各地が一様に入れ込んでいて、全国的にみると深刻な重複投資となっており極めて非効率。当然ながら資源争奪戦も起きて、それが価格に反映されることになります。
これに対し国家発展改革委員会あたりから
「コストプッシュ型のインフレは絶対に起きない」
という強気のコメントが出ているのですが、さあどうなることでしょう。春播きの穀物や野菜に関しては化学肥料の高騰が問題となり、各地で上限価格を設定するなど対応に大わらわでした。昨年も似たような状況で、そのために9月の穀物価格が前年比31.7%高と急騰、10月も同28.7%の上昇です。これに音を上げた年金生活者によるデモや座り込み(
◆
◆
◆
)が発生したのも頷けるところでしょう。
という訳で、就業機会が大きく増えるとは考えにくいながらも、どうやら経済面における中央の統制力が十分でなく、一方で各地方の開発欲求は強いままです。このため胡錦涛政権の目指すソフトランデイング(緩やかな減速)は実現せずに、経済は逆に過熱へと向かう可能性も低くありません。となれば、減速基調の影響で求人が減少する、ということもなくなります。……あ、でももし本当にそうなったら都市暴動のひとつやふたつは起きることでしょう。
――――
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