日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 前回のコメント欄で「Unknown」さんから情報提供がありました通り、反日「民間団体」の最大手ともいえる
「中国民間保釣連合会」のサイトが復活しました。

 論壇(掲示板)などアクティブな部分はまだ多少規制がかかっているようですが、とりあえず潰されなかった訳です。糞青(自称愛国者の反日教徒)どもは喜んでいることでしょう。そういえば同会の会長は珍獣(プロ化した糞青)の代表格である童増ですね。

 他の反日サイト、「愛国者同盟網」など有名どころをいくつか回ってみましたが、こちらはまだ復活していません。じゃあなぜ「中国民間保釣連合会」だけ謹慎明けなのか。そんなこと私もわかりません(笑)。

 わかりませんけど、「保釣」とは「釣魚台(尖閣諸島)防衛」のことです。香港の保釣組織が5月末から6月を目処に現地に船を出し、上陸を試みるという計画がありますから、「中国人民の総意」としてこれを声援させようというものでしょうか。またネット署名になるかどうかはわかりませんけど、現実世界に出ない形で何かやる(=当局が何かやらせる)つもりなのかも知れません。組織の後ろ盾である政治的保護者が他よりしっかりしていた、という可能性もあるでしょう。

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 ここ2回ばかり「ケジメ」ということで反日デモに対する中共の政治的位置付け(定性)について触れてきました。要するに党として非合法かつ破壊活動も行われた反日デモについて、政治的評価としては「愛国的行為」なのか「非愛国的行為」なのか、ということですが、どうやら
党上層部は「無許可反日デモ+プチ暴動=愛国的行為」という結論になった気配です。ただまた不測の事態が起きると困るから国民に対してはそれを示さずに「違法行為はいけない」の一点張り。でも一定クラス以上の党幹部の間には、内部通達という形で「定性」(愛国的行為)が伝えられたかと思います。

 だから何?ということですが、つまり「反日デモ」は今後も起こる可能性を残した、ということです。大衆動員型の政治的意思表示、これは内政においても外交面でも中共の伝統的スタイルのひとつなのですが、
「反日デモ」もその種のことを行う際の選択肢のひとつとして残しておく、ということです。前回紹介した山崎拓・王家瑞会談で中国側が反日デモ再発防止を明言したとなっていますが、ここでいう「反日デモ」を字面通りに受け取るべきではありません。たぶん中国側からすれば「無許可反日デモ+プチ暴動」型のものを指していて、

「合法的なデモならまたやるかも。でも次はちゃんと統制した形でやるから。それでもプチ暴動とかになっちゃったら遺憾だけどね」

 というのが真意ではないかと思います。同様に、
「中国民間保釣連合会」のサイト復活も、これまで同様、大衆動員型の政治的意思表示の手駒のひとつとして使われる可能性を示しているかと思います。

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 で、実はここからが本題なのですが、反日デモ防止に当局が躍起になっていた5月4日、これは中国における学生運動のはしりともいえる「五四運動」の記念日ですが、この時期に党内で動きがあった、という未確認情報があります。
党内の長老連が「五四運動」記念を名目に、団結して胡錦涛にさらなる民主化を求めた、というものです。

 とりあえず翻訳しておきます。ごく短い記事です。

 ●中共の元老、政治改革や出版の自由への取り組みを促す(太陽報2005/05/07)
 http://the-sun.com.hk/channels/news/20050507/20050507020106_0001.html

 中共の元老クラスである李鋭、杜光、李普、胡績偉、張定らが、五四運動86周年記念期間中、それぞれが文章を著して当時の歴史的状況を回顧した。一同は民主革命の先哲に思いを馳せると同時に、五四運動精神を如何にして継承し、発揚させていくか考えなければならないと指摘。引き続き民主革命の完遂を目指し、政治制度改革、市場メカニズムの改善、また言論と出版の自由を実現するといった方法で、中国に自由で民主的、かつ富強な社会を実現させるべきとの見方を示した。

 短い記事ですが、内容は恐ろしくエグい記事です。これが香港紙『太陽報』に出たのが5月7日、それから一日半このネタを寝かせて、類似する記事が中文媒体から出ていないか調べたのですが、結局は出てこないので確度は「?」のままです。

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 ただこの顔ぶれ、1月末に趙紫陽・元総書記が死去した際に故人の業績を正確に評価するよう胡錦涛政権に迫ったグループとほぼ重なります(※1)。五四運動記念日にこういう動きに出たのは待遇改善を求めているのか、自分達への評価を念頭に置きつつ1980年代の改革を再評価せよ(しなければ改革は全て江沢民の功績となってしまう)というものなのか。

 ……あるいはいずれも革命成功=中国建国時には中堅幹部以上だった面々であり、経歴の点では当時青二才に過ぎなかった江沢民を小僧扱いでき、また革命前の状況を肌で知っている世代です。趙紫陽は生前、現在の中国の経済状況を
「最悪の資本主義をやっている」と喝破しました。長老連も中国社会の現状が革命前当時に似てきていることに純粋な危機感を募らせている、つまり「わしらのやった革命は一体何だったのか」というものかも知れません。

 ●重大問題の研究に長じるには(新華網2005/05/06)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/06/content_2924006.htm

 ●民衆に状況をはっきりと示していこう(新華網2005/05/06)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/06/content_2924083.htm

 上記2本はいずれも『瞭望周刊』に出た文章を「新華網」が拾い上げたものですが、特に2本目は長老連の動きに呼応しているようにも読めます。……ちょっと牽強付会かも知れませんね(笑)。

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 現在の中共政権における政争あるいは主導権争い、とにかく胡錦涛派と反目する勢力について、「江沢民一派」と単純に割り切る考え方に私は疑問を感じています。かつて、「改革派vs保守派」とはっきり色分けできた時代(1980年代-1990年代初め)にさえ色々な系列の派閥めいたものがありました。現に前述した元老グループのように、普段は大人しく老後を養っているものの、時機によっては団結し、胡錦涛政権に相当なプレッシャーをかける集団もあります。

 それから軍部の動き。今回の一連の「反日」で軍部の少なくとも一部が「ほどよい反日」を目指した胡錦涛の思惑を超え、「抵抗勢力」の一角を担って「反日」を煽っていたという香港紙『明報』の消息筋情報もありました。それを胡錦涛に一喝されて直ちに自己批判を行ったようですが、軍人は軍人的思考に傾きがちなことから、対外強硬派になりやすいというのは理解できます。

 ただ一方で、江沢民にも胡錦涛にも属さないかのような動きもあるのです。中国において8月1日は「建軍節」とされ、つまりは人民解放軍の誕生日ということになるのですが、昨年、軍の機関紙である『解放軍報』は同日付紙面に社説を掲載。その中に、

「党の軍に対する絶対的指導体制を堅持し、
『軍隊の非党化、非政治化』また『軍隊の国家化』などの誤った思想の影響を断固として排除し……」(人民解放軍は中国共産党の軍隊であって、中華人民共和国の軍隊ではありません)

 という一節が出てきます。そして、同様の言い回しは下記の記事にも登場するのです。

 ●軍が党の指揮に従うという点で我が軍と資本主義国の軍隊は一線を画している(新華網2004/12/25)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-12/25/content_2379107.htm

 ●党の絶対的指導は我が軍建設における最重要任務だ(解放軍報2005/02/16)
 http://www.chinamil.com.cn/site1/xwpdxw/2005-02/16/content_138740.htm

 具体的にどういうことが行われているのか、実際に再三批判されていることからみて現実に「軍隊の非党化、非政治化、国家化」を目指す動きがあるのでしょう。血気の青年将校グループのような同志的結合があれば面白いのですが。

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 ……何だか書き散らしてしまって、まとめようがなくなってしまいました。長老連の動き、続報があるといいのですが。



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 【※1】故・趙紫陽氏の死去に端を発した一連の騒動(長老連の活躍)、関連記事は下記の通りです。

  趙紫陽氏死去1:終わりの始まり(2005/01/17)
  趙紫陽氏死去2:乱れ飛ぶ消息筋情報(2005/01/18)
  趙紫陽氏死去3:胎動?(2005/01/19)
  趙紫陽氏死去4:悩める胡錦涛?(2005/01/22)
  趙紫陽氏死去5:動かぬ事態が示すもの(2005/01/24)
  趙紫陽氏死去6:ひょっとして江沢民?(2005/01/25)
  趙紫陽氏死去7:葬儀は今週末?(2005/01/27)
  趙紫陽氏死去8:「人民葬」待ち?(2005/01/29)



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