日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)




 前回の「速報:安徽省のデモ、3日連続に!」を読み返して笑ってしまいました。
 何だかひとりで力こぶをつくって
「更新はたぶん夜になると思いますが、詳しくはそのときに。」
 なんて書いているのがおかしくて。このプログを読む人なんかいないよ、という想定で(つまり自分のための備忘録のようなつもりで)普段は書いているのですが、この件に関しては何か鉢巻しめて張り切っている様子なのが笑えました。
 もちろん、重大な事件であることには違いないんですけどね。

 閑話休題。安徽省蚌埠市にて3日連続して行われたお爺さんお婆さんのデモの話です。
 初日については10月24日の当欄「安徽省でデモ発生!」で詳報しているのでここでは2日目(10月23日)から。反政府系ニュースサイト「大紀元」に出たレポートに基づいています。

 http://www.epochtimes.com/gb/4/10/23/n698087.htm

 改めてデモ隊(市内の紡織企業を定年退職した工員いち)の要求を書いておきますと、毎月支給される退職金を物価スライド制にしてほしい、でないと生活がやっていけない――というものでした。
 で、初日の段階では当局が要求をはねつけた(多分無視されたんだと思いますが)ため、翌23日も引き続きデモ(座り込み)が実施されました。

「地元公安局への事前申請をしていない以上、これは無許可デモあるいは集会ということで、当局がその気になれば、違法行為で拘束されてしまいます。一見平和的なイベントのようではありますが、かように切羽詰まった行動に出るところまで追い込まれたお爺さんお婆さんたちには、激しい怒りとそれなりの覚悟があったのではないかと思います。」

 と前に書きましたが、怒りも覚悟も、半端なものではなかったようですね。自分たちが生活苦に喘ぐ一方で官僚が汚職で私腹を肥やしている、ということも怒りを増幅させたのでしょう。この意味において、重慶の暴動とやや重なる部分があるように思います。

 前回は勝利路に座り込んで交通を遮断させたデモ隊ですが、この日は占拠する範囲がやや広がったようで、ピーク時には交通局から珠圓賂に至る3km、この区間の交差点という交差点を全て占拠する勢いだったとのこと。もっとも当局の説得及び脅しがあったようで、参加者の数は幾分か減ったようです。

 この日は午前中から事態がやや動きまして、当局は機動隊(防暴警察)を出動させて、デモ隊が占拠する場所近くに配置させました。しかしデモ隊にはそれを恐れる気配は全くなく、一歩も退きません。一方の機動隊は機動隊で、待機命令しか出ていなかったらしく、衝突は起きませんでした。さりとて撤収命令も出ないのでダベったりしながら時間をつぶしていたようです。
 何しろ70歳前後のお爺さんお婆さんによるデモですから、日が高くなる正午近くになると、陽射しがキツいのか帰宅して休む参加者が数多くいたとのこと。でも午後になるとまた戻ってデモに復帰した人が多かったようです。

 レポートした報告者(反政府系コラムニスト)は午前中に現場をひとわたり歩いて、デモ隊と警察の間には衝突もなく、和やかな雰囲気だったとしています。午後になって様子を見に行くと、多くの老人が疲労した様子だっので、緑茶を2ケース買ってデモ隊に差し入れたそうです。
 そのときに参加者のひとりから、もともと3日連続のデモを計画していること、ただし当局が要求を容れればその時点でデモは中止するということを聞き出しています。デモ隊の中に入ってみると、官僚の汚職行為を痛罵する声があちこちで聞こえたとしています。

 一方の当局の動きですが、市内で最もランクの高いホテルである「錦江賓館」の一帯に大勢の武装警察が出動しており、一般市民でもその区域を通り抜けさせてもらえない厳戒態勢だったとのこと。どうしてホテル?というところですが、前日行われた同市新市場(ショッピングセンターか?)のオープンセレモニーに来賓として出席した中央ないし安徽省の高級官僚が、首都北京や省都合肥市から出張してきてこの錦江賓館に投宿しているからだろう、と報告者は想像しています。

 とにもかくにも、このデモは同市にとっては1989年の民主化運動以来の大規模な示威活動ということです。続いてこの報告者は反政府系コラムニストらしく、活動家の視点から今回のデモに言及しています。
「当時の学生運動と比べると、このデモには物足りない点がたくさんある」
 とまずは総評として厳しい点数をつけています。具体的には、

 ●宣伝工作を重視していない。プラカードや横断幕がほとんど見当たらない。
 ●例えば在職当時の部署ごとにまとまるなどして道路占拠を行えばいいのに、そういう組織立った動きがないために脱落者が出やすくなっている。
 ●演説活動をしない、というよりその役目を負った参加者というのがそもそも見当たらない。だから通りかかった一般市民には、何の集まりなのか伝わりにくくなっている。
 ●デモ隊は交差点を占拠するなどして交通を遮断することばかりやっていて、自分たちの境遇を訴えて広範な市民の同情を勝ち取るという本来の目的が全く達成されていない。逆に警察が交通整理の人員を出すなどして混乱回避に努めていることから、デモ隊は逆に孤立する(ないしは渋滞を引き起こす元凶とみなされる)結果になっている。

 ――とのこと。さらに、
「この2日間、当局が冷静に対応していることからみて、明日(3日目)も大事にはならないだろう。当局も鎮圧に出る必要はない。老人たちは疲労しているから、尻すぼみのような形でデモは終息する筈だ」
 といった内容の予測を示しています。逆に当局が重慶暴動の如く武力介入のような強硬手段に出れば、デモ参加者が老人なだけに、死者などが出ればたちまち市民の憤激を買って収拾のつかない事態になるだろう、と不吉な言葉でもってレポートを締めています。
(とりあえずハーフタイム)


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