日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 趙紫陽氏死去から一夜明けて、きょう(18日)午前だけで色々な関連情報が出てきています。というより乱れ飛んでいます、消息筋情報。

「とりあえず、趙紫陽氏への評価が今回の報道のようにヒラ党員としての扱いにとどまるのか、そして葬儀は国あるいは党が執り行うのかどうか、というところに私は興味があります。扱いはヒラ党員のまま、国葬でも党葬でもない。……となれば、かつての劉少奇を想起する人もいるでしょうし、それなら俺たち民衆で送り出してあげようではないか、という動きも出るかも知れません。このあたり、胡錦涛政権がどう対応するか見守りたいところです」

 と前回私は書きましたが、香港マスコミやチナヲチで食っているプロのチャイナ・ウォッチャーの方々も、そこら辺が焦点だとみているようです。

 まずは当局から出た唯一の情報である新華社電を改めて掲げておきます。

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 ●趙紫陽同志が逝去
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-01/17/content_2469579.htm

 【新華網1月17日電】趙紫陽同志は長期間にわたり呼吸器系統と心臓血管系の各種疾病のため、何度も入院治療を繰り返していたが、最近病状が悪化。手当ての甲斐もなく、1月17日、北京において死去した。享年85歳。

 では消息筋情報、どうぞ。

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 ●「同志」は今後に含みを持たせた証拠
 http://www1.chinesenewsnet.com/MainNews/SinoNews/Mainland/2005_1_17_15_10_44_869.html

 趙紫陽氏は党から除名された訳ではなく、ヒラとはいえ共産党員であるため「同志」を付けたのだろう、と私は単純に考えていたのですが、「同志」をつけたことで、今後生前の評価が見直される可能性があるとみる向きもあるようです。

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 ●ネット上では哀悼の声が殺到
 http://www1.chinesenewsnet.com/MainNews/SinoNews/Mainland/2005_1_17_17_0_47_388.html

 大手ポータルではニュースひとつひとつに附随した掲示板があるのですが、「捜狐」(sohu.com)は私が見たときにはもう書き込みができなくなっていました。ところが「新浪網」(sina.com)では管理者の粗忽か故意か、とにかく通常通り書き込めたため、趙紫陽氏の死を惜しむカキコが殺到。ほどなく削除職人が登場して掲示板を閉鎖したのですが、網民(ネットユーザー)は次々に板を移動して削除職人とのイタチごっこを繰り広げつつ、追悼の言葉を書き込んでいたようです。

 実は私も某大手論壇に書き込んだら5分で削除されました。すぐに別の人が追悼スレを立てましたが、こちらがレスをつける前に瞬殺。でも一部反日サイトではいくつも追悼スレが立っているのを見ました。その後どうなったかは確認してませんけど。

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 ●CNNも約15分間の放映カット
 http://tw.news.yahoo.com/050117/15/1e9m9.html

 NHKだけでなくCNNもやられたそうです。昨日(17日)午前10時ちょうどのニュースで趙紫陽氏死去を伝えた途端にプッツン。

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 ●駐香港中央聯絡弁公室の黎桂康・副主任「趙紫陽氏の件については党中央によって善後策がとられるだろう」
 http://tw.news.yahoo.com/050117/39/1eavb.html

 香港駐在の中聯弁は北京の出先機関みたいなものです。「善後策」という以上悪い内容ではない筈。ただしどんな善後策なのか黎副主任は明らかにしませんでした。

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 ●中共上層部は趙紫陽氏の追悼会開催を検討中
 http://hk.news.yahoo.com/050118/12/18mlg.html

 問題は追悼会の格式、やり方、そして故人への評価をどうするか。これについて専門チームが組まれて各方面の意見を集めつつ検討を重ねているそうです。ただし逝去時の身分がヒラの党員ということ、そして影響の及ぶ範囲の広さを考慮して、ごく内輪でささやかに、非公開の形がとられるという情報も。火葬や追悼会がどうなるのかは一切党中央が仕切っているので、家族も何も知らされていないそうです。

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 ●CNN「追悼会は開かれぬ見通し」
 http://www1.chinesenewsnet.com/MainNews/SinoNews/Mainland/2005_1_17_17_35_20_628.html

 著名なチャイナ・ウォッチャーであるウイリー・ラム(林和立)氏が消息筋の話として紹介したようです。胡錦涛も温家宝も万一を恐れて中止を決めたらしい、とのこと。
 同氏によると、指導部は先週末、「趙紫陽氏の死去を利用して社会と政治の安定を破壊しようと企む『反政府勢力』への警戒を高めよ」との内部通達を出したそうです。胡錦涛政権は昨年末から趙紫陽氏が死去した場合を想定したシミュレーションを練っており、それが現実となった現在、胡錦涛も温家宝もピリピリしているそうです。

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 ●田紀雲元副首相が病院に趙紫陽氏を見舞う
 香港紙『蘋果日報』(2005/01/18)

 1987年に胡耀邦総書記(当時)が失脚した際、トウ小平のツルの一声により首相を務めていた趙紫陽氏が後任の総書記に昇格したのですが、その後継首相の座をめぐって保守派の李鵬と争ったといわれているのが田紀雲氏です。趙紫陽系列の改革派でしたが1989年の天安門事件(六四)で趙紫陽氏が失脚。それ以降影が薄くなって表舞台から姿を消したも同然の存在になっていました。それでもやはり旧恩を忘れず、節義を尽くしたんですね。

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 ●温家宝は趙紫陽氏を見舞わなかった?
 香港紙『蘋果日報』(2005/01/18)

 趙紫陽氏と言えばまず思い出されるのが、1989年の民主化運動で涙を浮かべて「私は来るのが遅すぎた」とハンスト中の学生に語りかける、あのお約束のシーン。実はハンドマイク片手に話す趙紫陽氏の右隣にいるのが、まだ若手だった温家宝です。
 趙紫陽氏は直属の元上司であり可愛がられてもいたようですが、いまは首相という立場を重んじたか、見舞いには来なかったようです。ということで、口さがのない香港の新聞によって温家宝は忘恩の徒&ヘタレ認定されています。
 それにしても今日の『アップルデイリー』(蘋果日報)は大特集を組んで飛ばしに飛ばしています。他にも「胡耀邦・趙紫陽コンビに遥かに及ばぬ胡錦涛・温家宝」とか言いたい放題です。でもこの特集を読めば趙紫陽氏の全てがわかるというくらい微に入り細に入り様々なエピソードを拾っています。

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 一方でキナ臭い情報も出ています。

 ●党の高官約20名が趙紫陽氏の名誉回復を求める連署を上程
 http://www1.chinesenewsnet.com/MainNews/SinoNews/Mainland/2005_1_17_15_10_44_869.html

 読んで字の如しです。どういうメンバーなのかは不明。胡錦涛政権への揺さぶり、と読めなくもないので気になります。

 ●こっちではその20名、党・政府・軍部の元高級幹部となっています。
 http://tw.news.yahoo.com/050117/43/1easz.html

 そういえば1989年に胡耀邦氏が急死した際、私は某大都市にて留学生活を送っていたのですが、

「胡耀邦氏の死を悼む――退職幹部一同」

 なんて張り紙が真っ先に大学構内に貼られていました。あいつらは事があるごとに「忘れてもらっては困る」とその存在を主張したがる(そして何らかの利益にありつこうとする)のだ、と中国人学生が解説してくれましたが、それと似たようなものでしょうか。それにしてはリスクが大きいように思います。と言いつつ、最後のひとつへどうぞ。

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 ●曽慶紅・国家副主席が病院へ見舞いに
 http://hk.news.yahoo.com/050117/12/18m0s.html

 ええ、トリを務めるだけあって、これが最も危険な香りのする情報です。ただ趙紫陽氏の家族の証言もあるのでガセネタではないようです。でもどうして曽慶紅?趙紫陽との接点が見当たらないように思うのです。
 曽慶紅は元々上海市の小役人だったのですが、当時同市を治めていた江沢民に目をかけられて抜擢され、中央に連れてきてもらったという、いわば江沢民派の筆頭家老なのです。趙紫陽氏の存在を最も煙たく思っていたのは、同氏の失脚によって総書記になることができた江沢民に他なりません。
 なぜに曽慶紅?……判然としませんが、何となく火薬のニオイがしませんか?上の20名の連署といい、趙紫陽氏の死去という機会を捉えて蠢動する政治勢力があるのかも知れません。だとすれば、「てことは江沢民派?」というような単純なものではないように思います。
 いや、何となくそう思うだけで根拠はありません。ただ「新華網」が昨日あたりからちょっとテイストの異なる記事を流し始めているような……やっぱり私の気のせいでしょう。これはもう少し様子をみる必要がありそうです。

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 ということで、さてどう締めたらいいのやら。とりあえず言えるのは、胡錦涛政権にとっては「靖国」以上の難題が降って湧いたということです。
 国民であれ党内であれ、胡錦涛がこの問題をどう処理するかを、興味津々で見守っていることでしょう。その如何によって、胡錦涛の政治力や器の大小が見定められてしまう訳です。旧正月を前にした抜き打ちの期末テスト、というところでしょうか。
 ここでグラつくようだと北京五輪だなんて言っていられなくなるでしょうね。さあ盛り上がって参りました。


コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
この時を狙ったかのように… (きんぎんすなご)
2005-01-19 06:55:55
まあ偶然でしょうが…



武装勢力が中国人8人拉致 48時間以内に殺害と脅迫 イラク

http://www.sankei.co.jp/news/050118/kok091.htm



 
 
 
あっそのネタは・・・ (御家人)
2005-01-19 08:21:14
実は今日の小ネタで使おうと思っていたのです。そんな殺生な(笑)。



中国にとってはシャレにならないんですよ。殺されちゃったらそれだけでも胡錦涛政権に痛みが走りますから。



前にパキスタンで中国人技術者2人が人質になったとき、地元治安当局の強行突入で1人が死んでいるんです。



去年の話ですけど、遺体は棺に収められて、その上に五星紅旗をかけて、それはもうマスコミも大々的に取り扱いました。



それで「中国は海外にいる国民も全力で保護する」みたいな大見得を胡錦涛か温家宝が切っている筈です。援助金とかも遺族に出たみたいですし。



8人殺されたらどうなるでしょう。趙紫陽氏の件だけでも大変なのに、胡錦涛も頭が痛いことですね。そろそろ李登輝氏の「奥の細道探訪」カードの出番でしょうか(笑)。



今回の事件は確か「米軍を手伝う理由」を中国政府が説明出来なかったらアウトなんですよね。これは見物です。ショボい要求のようでいて、なかなか痛いところを突くテロリストはただ者ではありません(笑)。



ええ、本当に8人殺されたら誠意を以て取り上げることにしましょう。

 
 
 
中国進出 (傍観)
2005-01-19 11:13:58
これって日系企業の接取の始まりなんでしょうか?

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=main&NWID=2005011801004402
 
 
 
Re:中国進出 (御家人)
2005-01-19 23:43:09
傍観さん、情報提供有難うございます。



その件は私も気になっています。肝腎の部分が報道からはわからないので、事件の性質自体が不明です。ただ規模からすれば、どうやら組織的な動きが背景になっていることは確かですよね。



こういう事件なら・・・と思って反日サイトなども回ってみたのですが、本来なら盛り上がる筈の話題なのに、該当するスレを発見できませんでした。



接収ということはさすがにないと思います。カネボウ自体、現地に代理店を置かずにパラレルインポート(平行輸入)で商品を入れていたようですし。でもこれって闇雲な中国進出よりは賢明なやり方かも知れませんね。

 
 
 
嗚呼鐘紡 (きんぎんすなご)
2005-01-20 14:31:33
すみません。息抜き用のネタ取ってしまったようで(笑



鐘紡も不運続きですねぇ

案外、労働争議は隠れ蓑かも…



カネボウ化粧品 中国子会社が違法販売

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20050119/mng_____kei_____002.shtml



 
 
 
Re:嗚呼鐘紡 (御家人)
2005-01-21 01:11:53
きんぎんすなごさん、冗談ですからお気になさらずに。



でも人質事件、イラクでは「よくある話」というこになるかも知れませんが、胡錦涛政権に影響を及ぼす質のものだと思うので、成り行きを見守りたいところです。



カネボウの件、毎日・共同以外でも報じられて出社拒否が事実であることは確認されましたが、いまひとつ核心がみえてきませんね。これでカネボウに「工会」(中共型労組)成立、と続報がくればなるほどというところですが、さてさて。

 
 
 
偶然は続く… (きんぎんすなご)
2005-01-21 14:10:50
二度あることは…



中国新疆でバス爆発、12人死亡 テロの可能性も

http://www.sankei.co.jp/news/050120/kok094.htm

 
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