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月刊イオがおくる日刊編集後記

太陽の党と太陽の塔

2012-11-14 09:00:00 | (K)のブログ
 石原慎太郎前東京都知事の新党の党名が「太陽の党」になったということで、昨日はネット上で「太陽の党」と「太陽の塔」を関連付けた書き込みがいくつかあった。

 太陽の塔といえば岡本太郎、太陽の塔といえば大阪万博。大阪万博が行われた千里丘陵に今も太陽の塔は立っていて、毎年1度か2度は横の高速を通るのでその姿を見る。夜、ライトアップされて浮かび上がる姿は、ちょっと不気味だ。

 この歳になるまで、いろんなイベントが日本国内で行われたが、小学生のときに開催された大阪万博は、自分自身の中で他を圧倒する壮大なイベントで記憶も強烈だ。右肩上がりの真っ最中だった日本自体が勢いがあり、大阪万博はその象徴だった。文句なしに一番盛り上がったイベントだった。
 何度か会場に行ったが、何かを見るためや食べるために並ぶという経験を初めてしたのも大阪万博だった。一般の日本人もそうだったのではないか。日本社会に「並ぶ」ということを定着させたのも大阪万博だったと思う。

 最近、子どものころの思い出話をする機会があったが、70年代前半くらいまでのことを振り返ると、ノスタルジックな感情と共にたいていのことを肯定的に思い返してしまう。
 日本社会も「上に伸びていた」が、しかし、今の時点で振り返ってみると、敗戦前の支配構造をそのままにし侵略と戦争の歴史を清算しないままの、虚構の上に立った「成長」だったのであり、過去をあいまいにしたことのツケは当然のことにどんどんとほころびとなっていま現れている。今の日本の状況は大阪万博のころから「約束されていた」とも言えよう。

 石原慎太郎氏はご存知のとおり「太陽の季節」で一躍知られるようになり、弟の人気にも便乗して「人気者」となった。「太陽の党」という名前は「太陽の季節」の「太陽」を拝借したものなのであろう。当時のうかれた日本の状況を再びということなのだろうか。

 閉塞感にあふれているいま、近々行われるであろう衆院選挙では、多くの人々が、「あのころは良かった」というノスタルジックな感情と、既存のものをぶち壊すといった過激な物言いにひかれて投票するのであろう。(k)

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2 コメント

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太陽の塔 (kim)
2012-11-14 14:39:08
石原さんには期待してません。
80歳ですよ?独裁者じゃないんだから、早く引退すべき年齢です。
前回の選挙では民主党に投票しました。
ひどく、失望しました。
今回は自民党に入れようと思います。
太陽の…別の意味があるはず (ひいずるくに)
2012-11-15 00:24:36
日本は古くから日出ずる国として太陽神 天照大神を祭ったり、日の本国として、国旗が日の丸であったりと、太陽とは縁が深い国です。数多い国の中で太陽を国旗としている国はそんなにありません。ほとんど夜の象徴の星を使ってますからね。石原氏の小説からというのは表向きでありカモフラージュ、真
の意味は大いなる愛国心、日本復活です。
太陽=日本 です。

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