日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

富益富、貧益貧

2011-04-13 09:13:05 | (K)のブログ
 最近のテレビ番組を見ていて気になるのは、通常のバラエティ番組のような顔をして大企業を宣伝する番組が増えていることだ。テレビ朝日の「シルシルミシル」なんかはその典型。広告料をもらっているのかどうか知らないが(たぶんもらっているのだろう)、マスコミ全体が大企業に媚を売っているように思えてならない。月刊イオが同胞の焼肉屋さんを紹介するのとはわけが違う。


 「부익부、빈익빈」という言葉が朝鮮にある。漢字で書くと「富益富、貧益貧」となり、「富める者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなる」という意味だ。日本のような資本主義社会に住んでいると、日々実感できることで、金を持っている人間のところにはお金が集まり、私のような貧乏人からはどんどんお金が離れていく。
 零細企業が倒産しても政府はほったらかしだが、大企業が倒産しそうになると、「社会的影響が大きい」などといって支援したりもする。
 旧国鉄の跡地を大企業に格安の値段で売却したが、こういう例はたくさんある。


 普段、何もない時にも「富益富、貧益貧」は当てはまるのだが、今回の災害のような非常時にはさらにこの傾向が強くなるようだ。

 16年前に阪神・淡路大震災の取材のときに感じたのも「富益富、貧益貧」であった。ローンがいっぱい残っているのに家が全壊・半壊した人たちや小さな工場が壊れて廃業を余儀なくされた人たちの姿をいっぱい見た。反面、金持ちは同じ被害でもダメージは少ないし、資金がある人たちは災害に乗じて金儲けもしていた。

 福島第1原発の事故は、原子力施設事故の深刻度を示す国際評価尺度(INES)で、チェルノブイリ原発事故と同じ最も深刻なレベル7に相当すると発表された。この事故による賠償を東京電力がすべてできるわけがなく、今回、国の負担する賠償額は1兆円を超えるとも言われている。そのお金はけっきょく税金であり一般民衆のものだ。東京電力には大手銀行が莫大な貸付を行ってもいる。

 今回、福島第1原発周辺地域の人々は住むところを奪われ仕事も奪われた。東京に住む私のような貧乏人も放射能の恐怖が迫ってきても、引越しもできないしどうすることもできない。
 高給をもらっている東京電力の社長ら幹部は、今後、解雇されたとしても、個人的に何か金銭的に賠償するということはないのであろう。

 また、原発事故により放射能の汚染水が大量に海に流されたが、日本は国際社会にどのような謝罪と補償を行うのだろうか。朝鮮半島をはじめ近隣の国々は特に深刻な問題だ。これも、過去の侵略と植民地支配と同じように、正式な謝罪も補償もせずにすまそうとするのだろうか。これまで、世界的に大きな環境汚染の事故が起こっているが、よく考えてみると、ほとんどが「先進国」と呼ばれている国々が起こしている。そしてその被害を多く受けるのは「弱小」の国々だ。
 国際社会でも「富益富、貧益貧」が当てはまる。(k)

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2 コメント

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Unknown (たけちゃん)
2011-04-13 19:18:56
そう思います。
大企業の頼りになるのは、やはり零細企業だろうが、そこへは光が行かない。

使い捨ての様に変える。
コストが安い方へ安い方へで、海外へ拠点化して日本はデフレです。

賃金が安いのが新興国の強味!

でも、日本は技術力が資源だからね。

Japanese Dreamを作ってもいいんじゃないかと思う。

孫正義さんは、掴みました。

孫さんは、日本人から見ても凄い方です。
私の携帯はauですけど…(笑)。
たけちゃんさんへ (k)
2011-04-14 09:35:00
コメント、ありがとうございます。最近、日刊イオにたくさん、コメントを送っていただいて感謝しています。引き続き、ご愛読ください。

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