日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

小さな小学校を訪れて

2010-02-08 09:27:44 | (里)のブログ
九州滞在期間中、福岡県田川郡にある小さな日本の小学校での取材をする機会がありました。
陣原という駅(JR九州鹿児島本線)から車に揺られておよそ1時間40分。
山深いところにその小学校はありました。
全校児童は44人。1クラス10人以下です。
規模的に見て、2学年の授業を一つの教室で行なう「複式授業」をしてもおかしくないそうですが、
先生たちを減らすことはせず、なんとか学年ごとの授業を維持しているといいます。

取材の内容は同校で行なわれる課外授業。
授業に参加する子どもたちの表情はとびきり明るかったです。
中でも、上級生が下級生を膝に座らせて一緒に参加する姿などが印象的でした。
私はふと、ウリハッキョの姿を重ねていました。

現在、全国にあるウリハッキョは、かつてに比べて児童・生徒数年々少なくなっています。
1クラス10人以下というハッキョも、もはや珍しくなくなったのではないでしょうか。
「人数が減った」という現状を悲観的にとらえる卒業生、保護者も多いと思います。
四国に住むとあるトンポはかつて、「(子どもに)民族教育を受けさせたい。でも、いろんな人にもまれて育ってほしい。
人数が少なかったらイジメもないだろうし。温かすぎる環境は果たしてどうなんだろう」と語っていました。
だから子どもを、近くの公立学校かウリハッキョに送るか迷っていました。
たしかに、多くの人と接して「免疫」をつけるという考えもわかります。
でも、今回訪れた小学校もそうだし、これまで訪れてみたウリハッキョを思い返してみて、人数が少ないデメリットよりも、学校としての一体感だったりといった魅力が勝っていたように思います。
ひとことで言いくるめることは難しいですが、今後、成長していく過程で、学校は子どもたちにとっての「よりどころ」のような存在になるんだろうなと感じました。


茨城朝高学区で昨年、「セッピョル学園」という取り組みが初めて行われました。
いつもは互いに違うハッキョで学ぶ子どもたちが一堂に会し、2泊3日ともにすごすこの取り組み。
子どもたちにとって、こんな形での出会いが、今後もっと必要になるんだろうな、と思います。

私が慕うある先輩(26歳)は、ウリハッキョの卒業生として母校の一口募金に参加しているといいます。
不況の中で負担は少なくありませんが、ハッキョを守っていくための良い方法だと話していました。
そして「ハッキョを守るためなら卒業生として協力しなきゃと思ってる。自分の子の世代もウリハッキョに通えるように。その時までは絶対に守らなきゃ」と。
まだ保護者ではないですが、「当事者」として一生懸命な先輩の姿に、私も共感しました。

最後に、私の友だち間でも「ウリハッキョ談義」になることは多いです。
たしか大学卒業時に交わした同級生の約束事のひとつに、
「子どもはウリハッキョに送ろう」ってのがありました。
すごく本質的な問題をはらんだ取り決めだな、と実感するようになりました。
ちなみに「誰がオモニ会でバリバリ活動してそうか」予想などもしています(笑)。(里)


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