日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

2050年を予測できないが、今の世の中は変えなければいけない

2012-10-24 09:00:00 | (K)のブログ

 先週は個人的に気になる事件がいくつも起こった。
 一つは16日の沖縄での米軍兵士による女性への集団強姦致傷事件。二つ目はインターネット上でなりすましの犯行予告が書き込まれた事件。三つ目は週刊朝日の橋下市長に関する連載開始から連載中止までの出来事。

  一つ目の沖縄での事件は、米軍が沖縄にいるのは日本や日本人を守るためではなく、米国の軍事戦略上必要だからいるだけであることを改めて知らしめた。東日本大震災のときに米軍は「トモダチ作戦」というものをやったが、あれも自国の訓練のため以外のなにものでもない。米軍が自国の支配層を守るために世界各地で殺戮と破壊という犯罪を繰り返し、日本がそのシステムにそって米国に従属してきた中で起こったものである。米国にこれだけひどいことをやり続けてこられているのに、多くの日本人が米国を好きな理由がわからない。
 作家の目取真俊氏は、自身のブログで「米兵らの意識の根底にあるのは、沖縄を植民地扱いし、住民を軽々しく扱う占領者意識だ。沖縄県民がどれほど反対しようとオスプレイ配備を強行し、犠牲を強要する背景にもそれはある。米兵による犯罪は、たんに一部の悪質な兵士の行為として片づけることはできない。米兵たちは旅行者ではない。米軍の作戦行動の一環として沖縄に来ているのであり、世界各地で破壊と殺戮をくり返してきた米軍を、沖縄に集中配備している日米両政府の政治的責任が問われる」と書いているが、この指摘に尽きるだろう。 http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/fa33a19204bf31fee3186c0710d55c74

  二つ目の事件は、自分のパソコンが遠隔操作されるのだという恐怖とともに、誤認逮捕された4人のうち2人が「自白」しているということにまた怖さを感じる。昔からの警察による過酷で強引な取調べがいまも行われており、その過程で「自白」が強要されたということを示すものだ。
 警察もまた、米軍と同じように、「庶民の味方」でないことは、在日朝鮮人なら身にしみてわかっている。犯罪のないところに犯罪を作り出し、在日朝鮮人を逮捕したり、在日朝鮮人の家や事務所、総聯の各機関に強制捜索を繰り広げてきたことは、このブログでも何度か書いてきた。
 警察は、人々の人権擁護を行動の基本としているのではない。自分たちの都合によりその権力を振りかざすのであり、自分たちの面子だけを考え強引な捜査と取調べを行い、どれだけの冤罪を作り出してきたことか。

  三つ目の事件というか出来事については、今のところノーコメント。今回の出来事と関係なくただ一つ思ったのは、月刊イオでこれまで、朝鮮人が密集して住む地域、昔で言う「朝鮮人」を何度も特定できる地名を出して紹介してきたが、それが問題になるという認識は私自身にはなかったということだ。

 

  いまちょっと話題になっている「2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する―」という本を読んだ。英『エコノミスト』編集部が「人間とその相互関係」「環境、信仰、政府」「経済とビジネス」「知識と科学」の各分野に分けて、2050年の世界がどのようになっているのかを予測し書いているのだが、英文を翻訳した日本語独特の文章で、読みづらくて仕方がない。本に書かれている多くの内容が、2050年がどうなっているかではなく今現在のことであるのは仕方のないことか。

  予測の内容も、2050年の世界の人口がどうなっているか、中国とインドの台頭の行方というのが基本となっている。朝鮮半島のこと、朝鮮民主主義人民共和国のこと、朝鮮の統一問題についてはまったくといって触れられていない。筆者たちがそのことについては何もわかっていないという感じだ。

  一番気になったのは、産業革命から始まる欧米世界による世界支配の流れの延長線の上に立ち、現在の世界の支配構造の枠組みが基本的に変わらないという前提に立って予測がなされていることである。根拠を示して変わらないとしているというより、多くの項目において、それを当然のこと、それ以外には眼中にないという感じで書かれている。そして全体として楽観的だ。

  現実に2050年の世界がどのようになっているのかはわからないが、今の世の中は根本的に変えなければいけないのではないかと、「2050年の世界」という本を読み、また先週に起こった事件を見て思うのであった。(k)

 


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