山中伸弥氏にノーベル医学生理学賞が贈られることで大いに盛り上がり、関連株価もストップ高との報道。誠に同慶の至りであるが、今度は日本時間の明夜発表される文学賞候補者筆頭が村上春樹氏であるとの話題が沸騰。村上氏は既に2005年頃から候補者として名前が取りざたされているが、2009年の「1Q84」の世界的大ヒット以降「候補者序列」はうなぎ上りで、今年は複数の大手ブックメーカーで首位に立っているとのこと。
最初に云っておくが、郷秋<Gauche>はかなりヘビーな村上春樹作品の読者だと自認している。このことはこれまでblogに書いて来た氏の作品に関する拙文をご覧いただければご理解いただけることと思うが、その上で、郷秋<Gauche>は氏が、つまり氏の作品がノーベル文学賞に相応しいのかと疑問を抱いていることを告白する。
ノーベル文学賞の選考員が何を基準の受賞者を選んでいるのか知る由もないが、郷秋<Gauche>は、純文学作品、つまり、読み終えて「あ~面白かった」で終わるのではない、時に読後に世界の成り立ちについて考え、あるいは人の生き様、自分の生きようについて考えたくなる、小説の形式こそとってはいるけれど、その奥には哲学書とも云える程の深い思想性を忍ばせている作品、そのような作品の著者にこそノーベル文学賞が与えられるべきだと信じている。
その意味では、村上氏の作品は純文学の対岸に位置する娯楽(=大衆)小説であると、実に芸術性の高い極めて上質な娯楽小説であると郷秋<Gauche>は云いたい。「あ~面白かった。終わり」と、氏の作品読後には常にそのように感じるのだ。
いや、ノーベル文学賞はお前が思っているようなものではないと云われれば、反論出来るような材料は何も持ち合わせていない郷秋<Gauche>ではあるが、村上作品について語れと云われれば三晩は語れるだろうと思うぞ。もっともそんなものに付き合いたい変人はいないことだろうから、その代わりに、これまで村上作品に縁の薄かった方のための読書ガイドとして、郷秋<Gauche>がこれまでに書いた村上作品に関する拙文の幾つかを列記しておく。興味を持たれた方は、特に氏の作品を読む順序(物事には順序ってものがある)をチラ見の上で、氏の作品を手に取ってお楽しみいただけたら幸いである。
郷秋が書いた、村上春樹及びその作品に関する記事
村上春樹氏、原発を語る
村上春樹氏、落選
『1Q84』は比喩の見本帳もしくは『水戸黄門』
1Q84
村上春樹氏、記者会見に登場
ノーベル文学賞
物事には順序ってものがある
東京奇譚集
本というよりは、読書について
今日の一枚は、郷秋<Gauche>の書架にある村上作品を積み上げてみた図。7年前に書いた物事には順序ってものがあるに掲載した写真の再掲であることをお許し頂きたい。