『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

新型コロナウイルス感染世界一米国・家賃を支払えない賃借人647万世帯正月に強制退去?

2020-12-01 14:03:30 | 日記
日本では新型コロナウイルスの患者数が増え続け医療崩壊が目前に迫っていますが、菅首相は『GoToトラベル』事業を全面的に止める気配はなく、全国で医療現場の危機感は高まり集中治療室(ICU)を含む入院状況も逼迫(ひっぱく)しています。そうした中、感染者と死亡者が世界一多い米国では病床数ひっ迫もさることながら、正月早々生活の基盤、住まいを退去せざるを得なくな った賃借人の数が600万人を超える勢いです。トランプ大統領は年内の家賃未払での立ち退きを禁止する措置をCDC疾病対策センターの権限で発令しましたが、年末で禁止措置が切れ延期する様子はありません。大統領選の敗北を公式に認めないトランプ大統領にとっては米国人647万世帯の強制撤去問題より、米大統領選での法廷闘争 や12月14日の選挙人投票 、ホワイトハウス立ち退き問題の方が最重要課題なのかもしれません。


以下抜粋コピー
 新型コロナウイルスの感染者と死亡者が世界一多い米国。医療分野だけでも多くの問題を抱えているが、コロナに関連した深刻な社会問題も浮上してきている。
 その一つが、家賃を支払えない賃借人が数百万の単位で、年明け早々に住まいを追い出されかねない問題である。
 投資銀行業務やコンサルティングを手がける米スタウト社がまとめた資料によると、最大で647万世帯が住まいを退去せざるを得なくなるという。
 家族を考慮すると1000万人を超えるとも言われる。どういうことかご説明したい。
 コロナの感染拡大により米経済が大きな打撃を受け、春から失業者が増え始めた。4月の米失業率は14.7%にまで跳ね上がった。
 以後、少しずつ改善して10月には6.9%まで落ち着いてきたが、それでもコロナ前の3%台には至っていない。
失業率が高止まりすることで再就職は簡単ではなく、解雇された人たちは収入減に見舞われた。
 失職したすべての人たちが失業手当を受けられるわけではない。
 首都ワシントンにある経済政策研究所(EPI)の試算では、何らかの理由で失業手当を受けられない人が、夏の段階で最大1390万人にのぼったという。
 仕事を失って給与が入らなくなり、貯蓄も不十分で失業手当も受けられないと、家賃の支払いが滞る。
 手持ちの限られた資金はまず食費などに当てられるため、生活は困窮する。
 米国ではこうした境遇から、コロナ禍で家賃を滞納する人たちが増えてきている。日本でも家賃の滞納者はいるが、米国では日本と比較すると冷酷なまでに強制的な退去が行われたりする。
 それでも米政府は滞納者にまず、定められた期限内に自主的に引っ越すように促す。それでも立ち退かない場合、裁判所に強制撤去を求めて退去命令が出される。
 日本では賃借人の権利が保護されているため、家賃の支払いが数カ月滞っても追い出されることはまずない。
 だが日米で法の執行に対する意識の違いと、賃借人と賃貸人の立場が違うことから、米国では強制退去が執行されてしまう。
ドナルド・トランプ政権はコロナ禍という事情を考慮して、家賃滞納者に対する強制退去の執行停止を命じるなど、方策を講じてきた。
 だがそれで賃借人を一時的には救済できたとても、今度は家賃が入ってこないことで家主側は減収となり、本質的な問題解決にはいたらないのだ。
 それでも、家賃を支払えない人たちの救済がまず優先されるべきとの理由から、トランプ政権の保険福祉省(HHS)内の疾病予防管理センター(CDC)は9月4日、特例措置を出した。
 それは今年12月末日まで、住まいからの強制退去が猶予・禁止される(立ち退きモラトリアム)というものだった。
 ここで注目したいのは、同措置を発令したのがCDCという点だ。
 CDCは感染症対策の総合研究所であり、医療機関である。国交省のような役所ではない。
 つまり、強制退去によって住む所を失った市民たちが増えることで、コロナ感染リスクがこれまで以上に高まるということである。
 強制退去させられた人たちは、現実的には親族や知人・友人のところに移るか、シェルターや福祉施設、最悪の場合はホームレスになることもあり得る。
 医療関係者が憂慮するのは、強制退去させられた人たちが密集した場所で寝起きすることで、今以上にコロナウイルスの感染者・死亡者が増加することなので、CDCが分野違いとも言える措置を出したのだ。
 幸い、年内は強制退去が執行されないので、支払いの滞った賃借人もいまの住居にいられるが、年明け早々、退去せざるを得なくなる人たちがでるのは間違いない。
 11月末、米「ファスト・カンパニー」誌は「米600万世帯が1月1日に強制退去されるかもしれない」というタイトルの記事を出し、深刻な社会問題が待ち受けうけていると警鐘を鳴らした。
 トランプ政権が1月1日以降にさらなるモラトリアムを出すことはありそうもない。いま米国では、バイデン新政権が別枠で温情を示せるかに焦点が移っている。
 ただ新政権誕生は1月20日であり、年明けから20日間、バイデン政権は何もできない。その間に強制退去が施行されて、家を追われる人が出てしまう恐れがあるのだ。
 強制退去を命じられた人たちを救うことはできるのか。同問題に詳しいウェイク・フォレスト大学法律大学院のエミリー・ベンファー教授はこう述べる。
「バイデン氏が退去を求められている人たちを救済することは十分に考えられます。年明けから3週間以内に滞納している賃貸者を追い出すかどうかは家主にかかっていますが、当面の解決策としては、政府が直接的な財政援助に動くかどうかです」
 さらなる問題がある。
 9月初旬にCDCが発令した強制退去の猶予・禁止は家賃の支払いを一時的に棚上げにしたが、それは逆に、過去から積み重なった滞納分を含めて、支払うべき金額が増えることにつながった。
 強制退去の対象になっている数百万世帯の多くは低所得者層の人たちであるため、さらに支払いが難しくなる。
 トランプ政権が今月中に新たな手立てを示さず、連邦議会も救済策の法案を通過できない場合、バイデン政権が誕生するまで州を含めた地方自治体が負担を背負うことになる可能性が高い。
 米国勢調査局が11月初旬にまとめた報告書によると、約1160万人が来月の家賃・住宅ローンの支払いができない状況であるという数字がでている。
 最初に示した647万世帯という数字は「最悪の場合」という設定ではあるが、バイデン政権が発足から荊の道を歩まざるを得ないことが明らかである。
 米国の住宅事情とコロナ禍による感染状況は悪化の一途を辿ることになりそうだ。堀田 佳男 氏
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする