外来魚ひとりがたり

滋賀県立大学近江楽座学生団体
滋賀県大生き物研究会の活動あれこれ

初秋の生態調査

2015-09-28 19:59:46 | 活動記録
ブログを見てくださっている皆さんこんばんは。 
夏をバイトと授業に費やしてしまいこれでいいのかと考えているパラボでございます。

今回の定例会は1・2・3・4回生それぞれ1人ずつという面白い組み合わせで行いました。

さて、今回の活動では過ごしやすい気候のせいなのか15cm位のブラックバスがよくとれました。



またこんな感じで食べられてしまったのか


在来魚はあまり見られませんでした(図の真ん中にいる小さいほうの魚はワカサギという名前で、ブラックバスのおなかから出てきました。)

あとは、小さめのブルーギルが4匹と

神上沼ではよくみられるタナゴ類のカネヒラと


フナが5,6匹と


コイが2匹と


オイカワとツチフキが1匹ずつ観測されました。



今回捕獲したブラックバスを解剖してみるとスジエビやオイカワのような小魚などがよく見られました。
しかし、これをみるとやっぱ在来種食ってんっだな~、ということが実感させられましたね。

では、これからも活動を頑張っていきますので、よろしくお願いします!
それでは失礼します。


国内移入種 オイカワ

2015-09-21 11:21:58 | 雑談
こんにちは 技術担当者です
久しぶりのブログ更新となります。

9月にも神上沼での活動を予定していましたが、雨などで流れてしまい、まだ活動をしておりませんので、活動があり次第ブログにて報告をしたいと思います。

ですので、今回は別の小話をしようかと思います。

今回は、国内移入種(国内移動の外来種)の1つである”オイカワ”についてのブログです。
なぜオイカワかというと、現在バサーズメンバーのひとりがオイカワの研究をしているので、いろいろ文献等で調べたことを教えてもらったからです。

というわけで、オイカワに関するいくつかのお話です。
オイカワ(学名:Opsariichthys platypus (旧)Zacco platypus

コイ科魚類で、その美しい婚姻色で知る人も多いかと思います。

参考:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/16/%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%8F.JPG
↑下のオスに綺麗な婚姻色が出ています。

滋賀県では、琵琶湖やそれにつながる河川等にたくさん生息しており、簡単に釣れるのでウキ釣りの入門としてもよろしいのではないでしょうか。

また、旧学名の”Zacco”は、漁師がオイカワを「雑魚」と呼ぶことから決まったという説もあります。
それだけたくさんとれたほど、日本人にとっては馴染み深い淡水魚の一つであると言えます。

オイカワの近縁種、と聞いて思い浮かべる魚というと、ハスが浮かぶ人が多いのではないでしょうか?

参考:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/2/27/Hasu.jpg
ハスも、最大体長は違うといっても同じような婚姻色のでるコイ科魚類です。また、コイ科魚類唯一の純肉食性魚類としても有名ですね。
体長の小さいハスは、口元をよく見ないとオイカワと間違えてしまうほどよく似ています。

日本ではハスのみですが、実は中国にはハスよりもオイカワに近い魚類がいます。それがコチラ。

参考:http://www.aquaportail.com/aquabdd/photos/zacco-chengtui.jpg
学名:Zacco chengtuiといます。
中国にオイカワとともに生息するZacco属の魚類です。
オイカワより体高が高い印象がありますね。これは日本には生息していないそうです。


さて、国内移入種としてのオイカワの話ですが、みなさんも「琵琶湖型」のオイカワがいるというのを聞いたことがあるのではないでしょうか?
実は、琵琶湖から他府県へ放流のために広がっていったコアユ稚魚に混じって、オイカワも一緒に広がって行ったそうです。
多い時には、コアユ稚魚の10%がオイカワの混入であった、との話もあります。
さて、それだけ多くが移入された琵琶湖のオイカワですが、関東では研究例がありました。
関東のある7河川に生息するオイカワのうち、35%が琵琶湖型のオイカワだったそうです。
また、琵琶湖型のオイカワと関東本来のオイカワの交雑種も存在しているらしく、関東本来のオイカワ遺伝子の消失が懸念されています。
これが、いわゆる「遺伝子汚染」というやつですね。
目に見えない影響が、徐々に現地の生き物に忍び寄っているのです。
”生き物を生息地からむやみに移動させない”、これが鉄則ですね。


これ以上詳しいことを書くと、研究のネタバレになってしまうそうですので、ここらへんにしておきます。
今回は、国内移入種「オイカワ」のお話でした。
ちなみに、神上沼に生息している国内移入種は、ツチフキとヌマチチブの2種です。