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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

江~姫たちの戦国~第15回「猿の正体」

2011年04月26日 | 大河ドラマ・時代劇
★要はゆるいんですよね、この作品。
 江(上野樹里)は信長の姪だから基本的に何でも許されてしまう。
 明確な敵が設定しにくい。まわりはすべて江に好意的な人ばかり。

 ムダも多い。
 今回の「猿の正体」をめぐって、関係者に聞いてまわるシーンって必要だろうか?
 <機転がきく><人を見る目がある><血が嫌い><やさしい><人たらし>……こんなことをせりふで伝えられても。
 これらは具体的な行動で描かれるからこそ伝わってくる。
 これを怠って、単なる<スケベ親父>としてしか描かなかったから、こんな後説になってしまう。

 さて今回の江と秀吉(岸谷五朗)の対面。
 江は「大嘘つきだが、大嘘の中にまことがある」と理解した様だが、僕にはよく理解できなかった。
 秀吉の正体を<いっしょに泣いてくれる共感力>とでも言いたいのだろうか?
 でもね、江の涙の原因を作ったのは秀吉のエゴだし、説得力がない。

★この作品の<ゆるさ>と<ムダの多さ>は冒頭のシーンに集約されている。

 夫と引き離された江に茶々(宮沢りえ)は開口一番、こう言う。
 「髪の形を変えたのじゃな」
 初(水川あさみ)は、江が夫と性交渉がなかったことに対してこう言う。
 「そなたに先を越されたら姉としての面目が立たぬわ」
 実に間が抜けている。
 こういう時は、江のつらい気持ちを慰めるやりとりをまっ先にすべきなのに関係のないことをダラダラと。
 ちなみにこれらのせりふは江をからかったりすることで励まそうとして言っているものではない。茶々はその意図が少しはあったのかもしれないが、初は本音で言っている(と僕は理解した)。

★そして誤魔化し。
 ナレーションで「少しずつ時が経ちました」と振っておいて、いきなり江は「もう後はふり返らぬ。乱世に生まれたおのれの定め」と言い切ってしまう。
 この結論に至るまでの心の動きがドラマなのにそれを描いていない。 

 これは「JIN-仁-」と比べてみるとわかりやすい。
 仁先生は、自分が歴史を変えてしまうことにメチャクチャ悩む。
 そして、最後の最後に「この手をとめてしまったら何も変わらない」という結論を得る。
 決して、結論に至るまでの心の描写を省くことをしない。

 「江」は描くべき所にエネルギーを注がないで、どうでもいい所に注いでいる。
 もちろん、書いていくうちに筆が滑って、どうでもいいことにページを割いてしまうこともあるだろう。
 でも、どうにも滑り過ぎだ。
 佐治一成(平岳大)とのこともこれで終わりの様ですしね。



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大嘘の中にまことがある (TEPO)
2011-04-26 16:00:42
>江は「大嘘つきだが、大嘘の中にまことがある」と理解した様だが、僕にはよく理解できなかった。

「大嘘の中にまことがある」というのは言葉どおりの意味だと思います。秀吉の基本は「大嘘つき」(手前勝手な政治性)だが、自分の弱さを意味するとも言えるような感情を正直に告白(「まこと」)していました。
「儂はそなたが怖いのじゃ」「そなたを嫁に出したのは遠ざけたかったからやも知れぬ」。しかし「寂しかった」から呼び戻した。
最後の「寂しさ」-つまり秀吉から見て疎ましさと裏腹な江に対する好意-については先週僅かに示唆があったものの、もっとしっかりと描き込んでほしかったとは思いますが。
大枠としてはこの「大嘘の中にまことがある」という「猿の正体」、私は悪くないと思いました。

ただし、ご指摘の<ゆるさ>と<ムダの多さ>ゆえに、「棋勢挽回」とまではいかなかったとは思います。
私もはしたない現代ギャルさながらの初にはがっかりしました。初の成長にちょっと期待しかけていたもので。
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ありがとうございます。 (コウジ)
2011-04-27 09:18:02
TEPOさん

ありがとうございます。
田渕さんが描きたかった「猿の正体」を理解できたような気がします。

「儂はそなたが怖いのじゃ」「そなたを嫁に出したのは遠ざけたかったからやも知れぬ」「寂しかった」

これは秀吉の本音ですよね。
これをパフォーマンスでなく、臆面もなく話せる所がすごい。
だから秀吉は人の心をとらえる。
ということなんでしょうね。

おっしゃるとおり、まだまだ足りない感じはしますが、さらに描き込んで魅力的な秀吉になってほしいですね。

江は一歩秀吉に歩み寄ったという所でしょうか。
さらに距離が近づく描写・エピソードがほしい所ですが、どうなりますでしょう?
まさかこれで仲良しに、なんてことにはならないですよね。

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