テレビ人専用の老人ホーム『やすらぎの郷 La Strada(ラ・ストラーダ)』。
そこで繰り広げられるさまざまな人間模様。
………………
主人公で脚本家の菊村栄(石坂浩二)は女優・三井路子(五月みどり)から、『女の一生』という台本を書いてくれ、と言われ、
「女にとっての3つのターニングポイントって何だと思う?」
と尋ねられる。
菊村は「何だろう? 僕は女性でないからわからない」と返したが、非才の僕もちょっと考えてみた。
僕が考える女性の3つのターニングポイントは、
<初体験><結婚><出産>。
理由は、<初体験>で〝女〟になり、<結婚>で〝妻〟になり、<出産>で〝母〟になるから。
でも、路子の答えは違っていた。
<初体験>は当っていたが、残りふたつの答えは、
<初めて男に買われた時>
<歳を重ね、男に相手にされなくなり、初めて男を買った時>。
深いですね。
初体験→結婚→出産 は、ある意味、女性が一般的に歩む道。
キャリアを選んだ女性には怒られそうだけど、彼氏が見つからないことや、結婚できないこと、子供がいないことも含めて、テレビドラマの定番になっている。
だが、路子のドラマは、初体験→男に買われたこと→男を買ったこと。
何とひねくれた発想だろう。
同時に壮絶でもある。
台本にするのはハードだろうし、演じる女優も狂気に似た演技力が要求される。
<初体験><結婚><出産>と答えてしまう僕もまだ修行が足りない。
………………
こんな描写もあった。
菊村は女優の白川冴子(浅丘ルリ子)からこんなことを言われる。
「あなたはまだ枯れていない。
まだ水分が残っている。
その水分を吸い上げたら、詰まっていた管が通って、地面から芽が出て、花が咲くかもしれない」
これもまた深い人間洞察だ。
どんなに枯れて悟ったようなお年寄りでも、心の奥底では、熱い情念が残っている。
その情念を解放した時、作品が生まれるし、力がみなぎり、行動がうまれる。
冴子は菊村を挑発しているんですね。
「老け込むのはまだ早い。もっと狂え」
って。
台本を書け、と言った路子も同じように挑発している。
それは、この作品を見るシルバー世代への倉本聰さんのメッセージでもある。
「枯れるな。
恋をしろ。老いらくの恋と言われてもひるむな。
最期までイキイキと人生を愉しめ。
歩みをとめるな。
まだまだ見えていない人生の風景はいっぱいある」
………………
さて、現在81歳の倉本聰さんの達した境地とはいかなるものか?
菊村は最終回にどんな風景を見るのだろう?
石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス、山本圭、これら豪華俳優たちの夢の競演も見所だ。
※追記
老人ホームの名前、La Stradaはイタリア語で『道』の意味。
おそらく、フェリーニの『道』を意識しているのだろう。
『道』のラストも、主人公が道を歩んでいく所で終わった。
そこで繰り広げられるさまざまな人間模様。
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主人公で脚本家の菊村栄(石坂浩二)は女優・三井路子(五月みどり)から、『女の一生』という台本を書いてくれ、と言われ、
「女にとっての3つのターニングポイントって何だと思う?」
と尋ねられる。
菊村は「何だろう? 僕は女性でないからわからない」と返したが、非才の僕もちょっと考えてみた。
僕が考える女性の3つのターニングポイントは、
<初体験><結婚><出産>。
理由は、<初体験>で〝女〟になり、<結婚>で〝妻〟になり、<出産>で〝母〟になるから。
でも、路子の答えは違っていた。
<初体験>は当っていたが、残りふたつの答えは、
<初めて男に買われた時>
<歳を重ね、男に相手にされなくなり、初めて男を買った時>。
深いですね。
初体験→結婚→出産 は、ある意味、女性が一般的に歩む道。
キャリアを選んだ女性には怒られそうだけど、彼氏が見つからないことや、結婚できないこと、子供がいないことも含めて、テレビドラマの定番になっている。
だが、路子のドラマは、初体験→男に買われたこと→男を買ったこと。
何とひねくれた発想だろう。
同時に壮絶でもある。
台本にするのはハードだろうし、演じる女優も狂気に似た演技力が要求される。
<初体験><結婚><出産>と答えてしまう僕もまだ修行が足りない。
………………
こんな描写もあった。
菊村は女優の白川冴子(浅丘ルリ子)からこんなことを言われる。
「あなたはまだ枯れていない。
まだ水分が残っている。
その水分を吸い上げたら、詰まっていた管が通って、地面から芽が出て、花が咲くかもしれない」
これもまた深い人間洞察だ。
どんなに枯れて悟ったようなお年寄りでも、心の奥底では、熱い情念が残っている。
その情念を解放した時、作品が生まれるし、力がみなぎり、行動がうまれる。
冴子は菊村を挑発しているんですね。
「老け込むのはまだ早い。もっと狂え」
って。
台本を書け、と言った路子も同じように挑発している。
それは、この作品を見るシルバー世代への倉本聰さんのメッセージでもある。
「枯れるな。
恋をしろ。老いらくの恋と言われてもひるむな。
最期までイキイキと人生を愉しめ。
歩みをとめるな。
まだまだ見えていない人生の風景はいっぱいある」
………………
さて、現在81歳の倉本聰さんの達した境地とはいかなるものか?
菊村は最終回にどんな風景を見るのだろう?
石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス、山本圭、これら豪華俳優たちの夢の競演も見所だ。
※追記
老人ホームの名前、La Stradaはイタリア語で『道』の意味。
おそらく、フェリーニの『道』を意識しているのだろう。
『道』のラストも、主人公が道を歩んでいく所で終わった。
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