平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

やすらぎの郷~倉本聰がシルバー世代に贈る人生賛歌。狂え、最期まで人生を愉しめ!

2017年04月13日 | その他ドラマ
 テレビ人専用の老人ホーム『やすらぎの郷 La Strada(ラ・ストラーダ)』。
 そこで繰り広げられるさまざまな人間模様。
 ………………

 主人公で脚本家の菊村栄(石坂浩二)は女優・三井路子(五月みどり)から、『女の一生』という台本を書いてくれ、と言われ、
「女にとっての3つのターニングポイントって何だと思う?」
 と尋ねられる。

 菊村は「何だろう? 僕は女性でないからわからない」と返したが、非才の僕もちょっと考えてみた。
 僕が考える女性の3つのターニングポイントは、
 <初体験><結婚><出産>。
 理由は、<初体験>で〝女〟になり、<結婚>で〝妻〟になり、<出産>で〝母〟になるから。
 でも、路子の答えは違っていた。
 <初体験>は当っていたが、残りふたつの答えは、
 <初めて男に買われた時>
 <歳を重ね、男に相手にされなくなり、初めて男を買った時>。

 深いですね。
 初体験→結婚→出産 は、ある意味、女性が一般的に歩む道。
 キャリアを選んだ女性には怒られそうだけど、彼氏が見つからないことや、結婚できないこと、子供がいないことも含めて、テレビドラマの定番になっている。
 だが、路子のドラマは、初体験→男に買われたこと→男を買ったこと。
 何とひねくれた発想だろう。
 同時に壮絶でもある。
 台本にするのはハードだろうし、演じる女優も狂気に似た演技力が要求される。

 <初体験><結婚><出産>と答えてしまう僕もまだ修行が足りない。
 ………………

 こんな描写もあった。

 菊村は女優の白川冴子(浅丘ルリ子)からこんなことを言われる。
「あなたはまだ枯れていない。
 まだ水分が残っている。
 その水分を吸い上げたら、詰まっていた管が通って、地面から芽が出て、花が咲くかもしれない」

 これもまた深い人間洞察だ。
 どんなに枯れて悟ったようなお年寄りでも、心の奥底では、熱い情念が残っている。
 その情念を解放した時、作品が生まれるし、力がみなぎり、行動がうまれる。

 冴子は菊村を挑発しているんですね。
「老け込むのはまだ早い。もっと狂え」
 って。
 台本を書け、と言った路子も同じように挑発している。

 それは、この作品を見るシルバー世代への倉本聰さんのメッセージでもある。
「枯れるな。
 恋をしろ。老いらくの恋と言われてもひるむな。
 最期までイキイキと人生を愉しめ。
 歩みをとめるな。
 まだまだ見えていない人生の風景はいっぱいある」

 ………………

 さて、現在81歳の倉本聰さんの達した境地とはいかなるものか?
 菊村は最終回にどんな風景を見るのだろう?
 石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス、山本圭、これら豪華俳優たちの夢の競演も見所だ。


※追記
 老人ホームの名前、La Stradaはイタリア語で『道』の意味。
 おそらく、フェリーニの『道』を意識しているのだろう。
 『道』のラストも、主人公が道を歩んでいく所で終わった。


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