平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

篤姫 第7回「父の涙」

2008年02月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 第7回「父の涙」

★うれしくてかなしい

 島津本家の姫になる於一(宮崎あおい)。
 家族との別れの時。親子の縁が切れる時。
 しかし、それはこの時代に生きる於一にとっては喜ばしきこと。
 父親、母親としては祝福すべきこと。

 喜び、悲しみなど、ドラマでは様々な感情が描かれる。
 しかし『うれしくてかなしい』という感情が描かれるのはほとんどない。
 それはベクトルの違う相反する感情。
 「喜び」と「悲しみ」が同居しているという複雑な感情。
 こういった感情が表現される場面を目撃できるのは幸せだ。
 これがドラマを見る楽しみでもある。

★日本的なリアクション

 リアクションでキャラクターは描かれる。

 別れに際し、父・忠剛(長塚京三)は於一と向かい合うのを避ける。
 男の照れ、じっくり話せば涙が出て来てしまう。(形見に「太平記」を渡されて)
 あるいはお互いの情が残るのを避けるため。

 母・お幸(樋口可南子)はしっかり向き合う。
 母でいられるのも今宵かぎり。母として伝えるべきことを娘に伝える。
 「迷った時は考えるのをやめよ。自分を信じて感じるままに任せよ」
 父親の思いも代弁。
 「そなたはしっかり根を張り岩をも砕くクロガネモチの木。そう父上が言っていた」

 兄は皮肉。「おまえに頭を下げることになるとはな」
 これも照れ隠し。

 尚五郎(瑛太)はお守りの交換を申し出る。
 籠の通る道の前でかしこまって、交換したお守りを見せる。
 これが尚五郎が出来る最大限の意思表示。
 於一の籠が見えなくなると、ふらふらと立ち上がって倒れる。

 これらそれぞれのリアクションで各自のキャラクター、想いがわかる。
 そして感情をおもてに現さないリアクションは極めて日本的だ。
 外国のドラマだったら、娘を抱きしめて涙するだろう。
 そう言えば昨年の「風林火山」、三条夫人が北条へ嫁ぐ娘を抱きしめて涙する場面があったが、この場面よりも今回の別れの方が共感できた。
 それは日本人のDNAのせい?

★父の言葉

 坂本龍馬の西郷隆盛評ではないが、「強く打てば強く響く」はせりふでも同じ。
 別れの時、於一は言う。
 「父上、母上の娘であったことを誇りに思って生きて参ります」
 重い真剣な言葉。
 それに対しては、逃げていた父・忠剛も強く返さねばならない。

 「そなたの父で何というか愉快であった」

 名セリフだ。
 前回の予告でネタバレされたのが残念。

★ラストは於一らしく

 籠の中で別れの悲しみに浸る於一。
 しかし菊本(佐々木すみ江)の言葉がよみがえる。
 「女の道は一本道。引返すは恥にございます」
 引き返さないという決心をする於一。
 強い意思を持った目がよみがえる。
 於一らしい。

※追記
 菊本の自害は身分の低い自分の存在が於一の将来の妨げになると思ったから。
 この時代ならではの考え方だが、於一を思って行った行為であることは理解される。



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