平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

犬神家の一族

2008年02月19日 | 邦画
 犬神家は憎しみに溢れた場所。
 犬神佐兵衛(仲代達矢)は死んでまでも財産争いで娘たちを争わせようとする。
 結果、娘たちに生まれる憎悪。
 青沼静馬は犬神家で迫害された母の復讐を果たそうとする。
 佐智(池内万作)ら孫たちは財産と美貌求めて、珠世(松嶋菜々子)を襲う。
 美しい諏訪を舞台にしているが、そこには果てしない憎しみがある。

 この作品を二度映画化された故・市川崑監督。
 その切り口は憎しみに溢れた犬神家に唯一咲いた『愛』の花だ。

 すなわち珠世と佐清(尾上菊之介)の愛。
 犬神松子(宮司純子)は「父の怨念を断ち切って」と珠世に頼む。
 これは原作にはないせりふ。
 この家を救うにはふたりの愛しかないのだ。

 愛と憎しみ。
 この作品にはこの対立がある。
 それは映像にも。
 美しい珠世と醜い静馬。
 那須ホテルのはる(深田恭子)のおっとりした感じや等々力署長(加藤武)の勘違いぶりも陰惨な犬神家との対照となる。

 また映像として楽しいのは日本家屋や日本的な所作の美しさだ。
 瓦の並ぶ屋根。畳の大広間。床の間。琴。
 煙管の吹かし方、正座をしてお茶をいれる姿。
 失われたそうした美しさを市川監督はフィルムに焼きつけようとしている様だ。
 


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2 コメント

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なるほどねえ! (なみち)
2008-02-20 11:29:25
コウジさん、初めてコメントさせていただきます。

なるほどねえ!
憎悪と愛ですか。
そう言えば、ラストの市川監督の「映画とは所詮光と闇」という言葉が出ていましたね。
コウジさんの解釈によると、光は「愛」、闇は「憎悪」ということになるのでしょうか?

今後とも「なるほど!」のレビュー楽しみにしています。
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コメントありがとうございます (コウジ)
2008-02-20 12:28:03
なみちさん

コメントありがとうございます。
「光」と「闇」、気づきませんでした。
市川監督、残念ですね。
「細雪」もきれいだった。
昭和の日本の風景が失われていますが、それを描ける人も少なくなりましたね。


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