1
心に空虚を抱えている千葉大の新入生・里中ゆいか(上戸彩)。
そのゆいかが下北沢の小劇団・下北サンデーズの芝居を見て(参加して)、感情を含めた自分の心を取り戻していく物語。
ゆいかはこんな女の子。
キイワードは「未熟だ」
電車の乗り継ぎがうまくできなくて時間より早く到着してしまったり、流されてサンデーズの飲み会に参加してしまった時などに彼女はこの言葉を発する。
彼女は自立心が強く、整然と物事をこなしてきた。
おじいちゃん(北村総一朗)がかまってくれる以外は子供の頃からひとりで何とかしてきた。
ひとりで何とかしてきたから、子供のように甘えたり、わがままを言ったりすることができなくなってしまった。
ゆいかは子供の頃から孤独を知ってしまったオトナだった。
だから彼女が行動して、うまく行かない時は自分を責めて「未熟だ」と言う。
また、ゆいかはこうした自分の作ってきた世界に安住している。
自分の狭い世界を世の中だと思いこみ、こんなものだと思っている。
彼女の目に映る世界は色彩のない灰色の世界だったのであろう。
そんな彼女がサンデーズのパフォマンスを見て笑い転げ、芝居を見て心を揺さぶられる。
彼女の心に色彩が戻ってきた。
きっかけは彼女の都会生活。
田舎者のゆいかは都会生活に戸惑う。生活の違いが今までの彼女の世界を少し変えた。
そして下北沢の町。
象徴的なのは、小劇団の芝居に正装(スーツ姿)で来てしまうゆいか。
この町では彼女は異質な存在。そのギャップを感じる。(世間ではそれを田舎者、世間知らずと言うのだが……)
そしてサンデーズの芝居。
変な人たち。世の中には自分とは違う論理で生きている人がいるんだなと思う。
情熱を燃やして生きている人がいるんだなと思う。
しかも彼女はちゃんと分析して考えている。
こうやって小劇団の芝居に生きる人とイイ会社に入ってサラリーマンをやる人の生涯年収の差、1億円。
それでも芝居に情熱を燃やしていることの凄さ。
自分のものさしでは計ることができない人たちがいる。
そして決定的だったのが、彼らの芝居にゆいかが感動したこと。
芝居を見た彼女のまわりはテイッシュの山。
心を揺さぶられて、心に熱いものが込み上げてきて。
ラスト、ゆいかはついに入団を決意する。
2
この作品、すぐれた演劇論でもある。
ゆいかのオーディション。
オーディションで稽古場を使ったため怒鳴り込んできた大家の下馬伸朗(古田新太)。
そこでゆいかは、下北サンデーズの芝居がいかに凄くて自分が感動したかを力説する。下馬が色眼鏡で芝居を見ていたことも指摘する。そして「オーディション会場」と書かれた赤い画用紙をレッドカードに見立ててパフォマンス。
これをあくたがわ翼(佐々木蔵之介)ら劇団員たちはこう評価する。
「アドリブとは与えられた状況でどれだけのパフォマンスをして劇的なものを作り出せるかだが、彼女は見事にやってのけた」
この場合、
状況とは、大家が乗り込んできたこと。
パフォマンスとは、ゆいかの主張。
彼女はその主張をつまることなく言ってのけた。赤い画用紙をレッドカードにして小道具も使って見せた。
そして劇的なものとは、ゆいかの言葉に皆が感動して大家も心を動かされたこと。
ゆいかの役者としての素質は十分と判断され、彼女は下北サンデーズのオーディションに合格する。
面白い。
演劇論とドラマとがうまくリンクしている。
3
小ネタのギャグ・遊びが満載の堤幸彦演出。
劇場で禁止されている飲食・写真撮影・携帯電話の電源を口上で言われている時にゆいかがしてしまうギャグから、チラシを張ってほしいと劇団員が来た時に「はい、これ張っといてちょうだい」という「笑っていいとも」の小ネタまで満載。
また変化球も投げまくりだ。
こうした題材の場合、主人公が見て感動するのは、誰が見てもすごい劇的な芝居だ。
しかし、堤演出はこうした直球を投げない。
ゆいかが感動するのは、誰が見ても変などちらかと言えば三流の芝居。
これをゆいかは真面目に感動し、劇団員も「今回の公演は役がすうっと降りてきた」と真面目に論じている。
視聴者は彼らがなぜ感動したのかに思い入れができないのだが、堤演出はそれを良しとする。思い入れができないことも計算の上で、1時間を構成し視聴者を飽きさせない内容にしている。
面白い。
今後、堤演出にも注目していきたい。
心に空虚を抱えている千葉大の新入生・里中ゆいか(上戸彩)。
そのゆいかが下北沢の小劇団・下北サンデーズの芝居を見て(参加して)、感情を含めた自分の心を取り戻していく物語。
ゆいかはこんな女の子。
キイワードは「未熟だ」
電車の乗り継ぎがうまくできなくて時間より早く到着してしまったり、流されてサンデーズの飲み会に参加してしまった時などに彼女はこの言葉を発する。
彼女は自立心が強く、整然と物事をこなしてきた。
おじいちゃん(北村総一朗)がかまってくれる以外は子供の頃からひとりで何とかしてきた。
ひとりで何とかしてきたから、子供のように甘えたり、わがままを言ったりすることができなくなってしまった。
ゆいかは子供の頃から孤独を知ってしまったオトナだった。
だから彼女が行動して、うまく行かない時は自分を責めて「未熟だ」と言う。
また、ゆいかはこうした自分の作ってきた世界に安住している。
自分の狭い世界を世の中だと思いこみ、こんなものだと思っている。
彼女の目に映る世界は色彩のない灰色の世界だったのであろう。
そんな彼女がサンデーズのパフォマンスを見て笑い転げ、芝居を見て心を揺さぶられる。
彼女の心に色彩が戻ってきた。
きっかけは彼女の都会生活。
田舎者のゆいかは都会生活に戸惑う。生活の違いが今までの彼女の世界を少し変えた。
そして下北沢の町。
象徴的なのは、小劇団の芝居に正装(スーツ姿)で来てしまうゆいか。
この町では彼女は異質な存在。そのギャップを感じる。(世間ではそれを田舎者、世間知らずと言うのだが……)
そしてサンデーズの芝居。
変な人たち。世の中には自分とは違う論理で生きている人がいるんだなと思う。
情熱を燃やして生きている人がいるんだなと思う。
しかも彼女はちゃんと分析して考えている。
こうやって小劇団の芝居に生きる人とイイ会社に入ってサラリーマンをやる人の生涯年収の差、1億円。
それでも芝居に情熱を燃やしていることの凄さ。
自分のものさしでは計ることができない人たちがいる。
そして決定的だったのが、彼らの芝居にゆいかが感動したこと。
芝居を見た彼女のまわりはテイッシュの山。
心を揺さぶられて、心に熱いものが込み上げてきて。
ラスト、ゆいかはついに入団を決意する。
2
この作品、すぐれた演劇論でもある。
ゆいかのオーディション。
オーディションで稽古場を使ったため怒鳴り込んできた大家の下馬伸朗(古田新太)。
そこでゆいかは、下北サンデーズの芝居がいかに凄くて自分が感動したかを力説する。下馬が色眼鏡で芝居を見ていたことも指摘する。そして「オーディション会場」と書かれた赤い画用紙をレッドカードに見立ててパフォマンス。
これをあくたがわ翼(佐々木蔵之介)ら劇団員たちはこう評価する。
「アドリブとは与えられた状況でどれだけのパフォマンスをして劇的なものを作り出せるかだが、彼女は見事にやってのけた」
この場合、
状況とは、大家が乗り込んできたこと。
パフォマンスとは、ゆいかの主張。
彼女はその主張をつまることなく言ってのけた。赤い画用紙をレッドカードにして小道具も使って見せた。
そして劇的なものとは、ゆいかの言葉に皆が感動して大家も心を動かされたこと。
ゆいかの役者としての素質は十分と判断され、彼女は下北サンデーズのオーディションに合格する。
面白い。
演劇論とドラマとがうまくリンクしている。
3
小ネタのギャグ・遊びが満載の堤幸彦演出。
劇場で禁止されている飲食・写真撮影・携帯電話の電源を口上で言われている時にゆいかがしてしまうギャグから、チラシを張ってほしいと劇団員が来た時に「はい、これ張っといてちょうだい」という「笑っていいとも」の小ネタまで満載。
また変化球も投げまくりだ。
こうした題材の場合、主人公が見て感動するのは、誰が見てもすごい劇的な芝居だ。
しかし、堤演出はこうした直球を投げない。
ゆいかが感動するのは、誰が見ても変などちらかと言えば三流の芝居。
これをゆいかは真面目に感動し、劇団員も「今回の公演は役がすうっと降りてきた」と真面目に論じている。
視聴者は彼らがなぜ感動したのかに思い入れができないのだが、堤演出はそれを良しとする。思い入れができないことも計算の上で、1時間を構成し視聴者を飽きさせない内容にしている。
面白い。
今後、堤演出にも注目していきたい。
下北サンデーズ、面白かったですよね!でも上戸彩さんより、佐々木さんとか他のCASTに注目がいきました。
アテンションとは違った上戸さんがみれるんでしょうか。
藤井フミヤさんの主題歌、かなりよくないですかぁ。
よかったら、ご訪問ください
変人であることが格好いい、変人を面白がる、
という誰もが創造している範囲の内容にとどまる。
小劇場の世界を超えた普遍的なテーマに
いかに持っていけるかが、成功への分かれ道か。
しかし主人公のキャラ設定がもひとつ弱いなぁ~。
そして初回視聴率は…11.4%…見事にこけた。
もはや手遅れか!?
ゆいかの口癖「未熟だ!」が好きになりました
彼女の台詞
「人もまた自然界の一部でしかない・・云々」
この言葉で完全に堤ワールドに引き込まれて閉まった気がします
これは今後がとても楽しみになりました
ともかくキャストが魅力的ですね。
佐々木さんやこれには出ていませんが谷原章介さんはいい男系の見事なバイプレイヤーですね。
上戸さんも「アテプリ」とは違った魅力を見た漢字です。
>一視聴者さん
視聴率は11%ですか?テレビ朝日は力を入れていたようですが。小劇団、堤演出で好き嫌いがわかれるんでしょうかね。
こうなったら視聴率を気にせず、マニアックな道を突き進んでカルトなドラマになってほしいものです。
>くぶくりんさん
「人もまた自然界の一部でしかない」
そうですね。ユイカは理学部なんですよね。
数字や理論で世の中を見るのが、ゆいかなんだと思いました。
ゆいかの目に映っているものが何なのかをもっと見てみたくなりました。