普通のロボット恋人ものかなと思っていたら、どうしてなかなか。
見ると脚本は「野ブタ。をプロデュース」の木皿泉さん。
この作品も「野ブタ。」の雰囲気がありますよね。
うまく表現できないもやもやとした若者の心情を的確に描いている。
★まずは名前を呼ばれないこと。
藤丘誠(柄本時生)。
教室で名前を呼ばれないのって、存在していないのと同じなんですね。
よくコントなどで「お前いたの? 存在感ないよな」みたいなせりふが聞かれるが、そんな感じに似ている。
誰にも存在を認められない不安、孤独。
だから藤丘は屋上のコンクリートや校長の椅子に<FM>と刻んだ。
FM=藤岡誠という人間がいることを認めてほしくて。
冒頭でQ10(前田敦子)が「自分に名前をつけて下さい」と言ったのも同じ。
名前をつけられることからその人間の存在が始まる。
★ふたつめのテーマはSOS。
誰もが心の中で「助けて!」と叫びたいと思っている。
「誰かわたしの所に来て!」「わたしの話を聞いて!」「わたしに微笑みかけて!」と思っている。
でも、ある人はそんなこと恥ずかしくて言えないし、ある人は何かでそれを誤魔化そうとする。
この作品はえぐりますね、心の奥底を。
普通の作品でも心の孤独や不安は描かれるが、ここまではえぐらない。
そしてこの作品が感動的なのは、みんなで「助けて!」と叫んだこと。
誰もが抱いている「助けて!」という気持ちを共有することで、みんながひとつになれたこと。
選曲も上手い。
「戦争を知らない子供たち」
反戦歌だが、こんなふうに使われるとは!
当時の若者達は<ベトナム戦争反対!>というテーマで繋がっていた。
集会でこの歌を歌いながら<反戦>を唱え、みんながひとつになっていた。
40年後の今日は<反戦>ではなく<助けて!>だが、若者がひとつになって何かを叫びたいという気持ちは変わらない。
意表をついているが的確な曲の選択だ。
★そして三つめは世界。
自分を取り巻く世界を憎むか?愛するか?
物事がうまくいかなかったり、まわりから排除されたりすると、人は<世界>を憎みがちになるが、ほんの何気ないひと言や優しさで「世界も満更じゃないな」と思える。
そして「人類が滅亡するのはイヤだな。この町はずっと続いてほしい」と思えることでやさしい気持ちになれる。
このことを象徴的に描いたのが次のシーン。
深井平太(佐藤健)と久保(池松壮亮)は、世界滅亡計画を書いた紙を掘り起こす。
しかし紙は雨に濡れてボロボロで、残されていたのは<世界>の文字。
そこで発せられたせりふは「世界は生まれました」。
彼らは再び輝く世界を見出したんですね。
というわけで、この作品、予想を裏切ってグン!と楽しみな作品に。
その他にも<リセット>とか<筆跡>とか様々なテーマ・モチーフが内包されていた。
今後は何を見せてくれるんだろう?
見ると脚本は「野ブタ。をプロデュース」の木皿泉さん。
この作品も「野ブタ。」の雰囲気がありますよね。
うまく表現できないもやもやとした若者の心情を的確に描いている。
★まずは名前を呼ばれないこと。
藤丘誠(柄本時生)。
教室で名前を呼ばれないのって、存在していないのと同じなんですね。
よくコントなどで「お前いたの? 存在感ないよな」みたいなせりふが聞かれるが、そんな感じに似ている。
誰にも存在を認められない不安、孤独。
だから藤丘は屋上のコンクリートや校長の椅子に<FM>と刻んだ。
FM=藤岡誠という人間がいることを認めてほしくて。
冒頭でQ10(前田敦子)が「自分に名前をつけて下さい」と言ったのも同じ。
名前をつけられることからその人間の存在が始まる。
★ふたつめのテーマはSOS。
誰もが心の中で「助けて!」と叫びたいと思っている。
「誰かわたしの所に来て!」「わたしの話を聞いて!」「わたしに微笑みかけて!」と思っている。
でも、ある人はそんなこと恥ずかしくて言えないし、ある人は何かでそれを誤魔化そうとする。
この作品はえぐりますね、心の奥底を。
普通の作品でも心の孤独や不安は描かれるが、ここまではえぐらない。
そしてこの作品が感動的なのは、みんなで「助けて!」と叫んだこと。
誰もが抱いている「助けて!」という気持ちを共有することで、みんながひとつになれたこと。
選曲も上手い。
「戦争を知らない子供たち」
反戦歌だが、こんなふうに使われるとは!
当時の若者達は<ベトナム戦争反対!>というテーマで繋がっていた。
集会でこの歌を歌いながら<反戦>を唱え、みんながひとつになっていた。
40年後の今日は<反戦>ではなく<助けて!>だが、若者がひとつになって何かを叫びたいという気持ちは変わらない。
意表をついているが的確な曲の選択だ。
★そして三つめは世界。
自分を取り巻く世界を憎むか?愛するか?
物事がうまくいかなかったり、まわりから排除されたりすると、人は<世界>を憎みがちになるが、ほんの何気ないひと言や優しさで「世界も満更じゃないな」と思える。
そして「人類が滅亡するのはイヤだな。この町はずっと続いてほしい」と思えることでやさしい気持ちになれる。
このことを象徴的に描いたのが次のシーン。
深井平太(佐藤健)と久保(池松壮亮)は、世界滅亡計画を書いた紙を掘り起こす。
しかし紙は雨に濡れてボロボロで、残されていたのは<世界>の文字。
そこで発せられたせりふは「世界は生まれました」。
彼らは再び輝く世界を見出したんですね。
というわけで、この作品、予想を裏切ってグン!と楽しみな作品に。
その他にも<リセット>とか<筆跡>とか様々なテーマ・モチーフが内包されていた。
今後は何を見せてくれるんだろう?
今回のフジオカマコト君も、過激なイジメを受けてるわけではなく、不登校におちいっているわけでもないけれど、出席をとってもらえないことで心に深い悲しみがある。
その問題を、彼の家の経済状態を何とかするとか、公立に転校するとかいう流れでなく、空にむっかて助けを求めてみるという方法をとらせたことが、このドラマのすごさだと思います。
心の奥底、たしかにえぐられました。
けれど、ちっとも不快じゃない。
むしろ心の奥に溜まっていたけど、うやむやにしていた感情が浄化されたような気がしました。
鉄塔の下で、世界の滅亡をとめて、新しい世界が生まれたというシーンは、岩井俊二さんの作品世界のようで好きです。
他にもいいシーンが多く、どれも単純じゃなくて、かみしめたくなるようなセリフがいっぱいでした。
良質なドラマの予感。
いつもありがとうございます。
>心の奥に溜まっていたけど、うやむやにしていた感情が浄化されたような気がしました。
まさにこの感じですよね。
問題をよくある当たり前の解決法でなく、<浄化>みたいな形で解決している。
そこにはいずれは日常生活の中に埋もれて消えてしまうかもしれない危うさもあって。
もやもやとした心が浄化されること。
救いというのはこういうことなのかもしれませんね。
土曜9時の日本テレビの枠というのは、子供っぽい内容が多く、いつもは見ないのですが、今回はパスしなくてよかったと思っています。