平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第6回「迷走」~信濃があるかぎり、大名たちと対等に渡り合える! 大博打の始まりじゃ!

2016年02月15日 | 大河ドラマ・時代劇
 『覇権か、生存か』
 ノーム・チョムスキーの本のタイトルだが、今回の話はまさにこれ。
 <覇権>を目指すのは、羽柴秀吉(小日向文世)滝川一益(段田安則)ら織田家臣と北条氏政(高嶋政伸)ら戦国大名。
 <生存>を目指すのは、真田昌幸(草刈正雄)、そして徳川家康(内野聖陽)。

 昌幸が<生存>を目指すのは当然のこととして、家康が目指さないのは面白いですよね。
 何しろ、「明智討伐はそのうち誰かがやってくれるわ」ですからね~(笑)
 滝川一益を助けることに関しても、
「馬鹿者、北条といくさなどできぬわ。兵を出すと言っておいて、のらりくらりと交わすのじゃ」(笑)
 このスタンス、好きです。
 ギラギラしていないのがいい。
 家康、本多正信(近藤正臣)、本多忠勝(藤岡弘、)はトリオ漫才をやってる!
 真っ直ぐな忠勝と、飄々とした正信と、まったくやる気のない家康(笑)
『軍師官兵衛』や『天地人』など、最近の大河ドラマの東照大権現様は悪役でしたからね、この家康は実に新鮮!

 もう一方の生存を目指す真田昌幸は、家康ほどのんびりしていることは出来ず、結構、緊迫している。
 何しろ北条に攻め込まれたらお終いなのだ。
「先が読めんぞ」「力が欲しい」と叫び、信幸(大泉洋)が「織田の家臣になったのだから滝川一益につくべき」と正論を言えば、「なぜ、それを言わなかったのじゃ」と滝川につくことを決め、他の信濃の国衆が「北条につく」と言い出すと、北条につくと決める。
 昌幸は大きく揺れているんですね。
 家康のようにある程度の<力>を持っていれば、情勢が見えてくるまで、ゆったりと待つことが出来るのだが、真田にはその力はない。

 しかし、昌幸は自分が持っている<力>に気づいたようだ。
 それは信濃の地。
「ここにはよき材木が採れる山々がある。それを運ぶ川もある。よい馬もいる。街道が通り、人が集まる。東と西を結ぶ要の土地じゃ」
 信濃は経済的に豊かな土地なのだ。
 昌幸は目の前に貴重なものがあることに気づいた。
 だから、こう語る。
「この信濃があるかぎり、わしらは大名たちと対等に渡り合える。この信濃を使ってやつらを操ってみせるのよ。もうやつらの顔色をうかがうのはごめんじゃ」
「息子たちよ、大博打の始まりじゃ!」
 おおっ、カッコいいっ!!

 確かに大博打ではありますけどね。
 でも、昌幸は無謀ないくさはしない男ですから、信濃の地に何らかの勝機を見出しているんでしょうね。
 戦略としては、沼田、岩櫃の城を巧みに使って守り通し、嵐が通り過ぎるのを待つという感じかな~。
 『覇権』を考える人間は勝ち続けなくてはならないけど、『生存』を考える人間は大きく負けなければいい。

 家康と昌幸。
 この生存を目指すふたりの男は同じことを考えているようです。

 信繁(堺雅人)に関しては、まだ背負っているものが小さいんですね。
 昌幸が真田家を背負っているのに対し、信繁は姉を助けられなかったことで悩んでいる。
 もちろん、姉・松(木村佳乃)の命は大きくて重いんですけど、人質が死ぬのは当たり前の戦国の世ですから、昌幸のように割り切らなくてはならない。それよりも考えなくてはならないことがたくさんある。
 信繁と昌幸とでは、背負っているものが大きく違うようです。

 信幸に関しては、「黙れ、小童!」が定番になりつつありますね(笑)
 生きるか死ぬかの人間にとって、『正論』はウザいのです。 

 きり(長澤まさみ)パートは、少女マンガの世界!
 好きな子にわざと悪態をついて嫌われるようにする。
 好きな子に素直になれない。
 一方、男の子の方は癒し系の梅(黒木華)の方に惹かれていく。
 おばば様(草笛光子)のお付きで人質として沼田城に行く時は、信繁と話をしたかったんだろうなぁ。


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2 コメント

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癒やしの連鎖 (TEPO)
2016-02-15 11:31:53
家康の側室たちの中で、阿茶ノ局が最も信頼篤い存在-事実上の妻-だったというのが一般的な見方のようです。
その阿茶については、彼女自身有能な「女傑」で、家康にももの申す女性だったというのが一般的なイメージです。
本作でも穴山梅雪をめぐるエピソードに際してその片鱗が見られました。
おそらく、信繁にとってきりは家康にとっての阿茶のような存在になるのでしょう。
だから彼女は信繁にいつも言いたいことを言うのですが、今回はそれが仇になって傷心の信繁に憎まれ口を叩いてしまう。

>おばば様のお付きで人質として沼田城に行く時は、信繁と話をしたかったんだろうなぁ。

たしかに今回のきりは可哀想でしたが、まだ彼女の時は来ていない、ということなのでしょうね。
今の信繁が求めていたのはまさに「癒やし」。
「癒やし系」を絵に描いたような梅が「傾聴カウンセリング」の終わりに発したコメントは「私を守って下さい」。
素直な愛情表現であるとともに、男のプライドを奮い立たせる言葉だったに違いありません。

>信繁と昌幸とでは、背負っているものが大きく違うようです。

たしかにそうなんですが、今回は「梅→信繁→昌幸」という「癒やしの連鎖」がテーマだったように思います。
いかに昌幸が知将だったとしてもスーパーマンではありません。
裏目の連続に息子たちに弱音を吐きたくなっていたようです。
信幸に「儂は疫病神か?」と問い、信繁に「力が欲しい」とぼやく。
「めぐりあわせかと・・・」という信幸の言葉は優等生的な慰めの言葉ですが、今ひとつ昌幸は満たされなかったことでしょう。
信濃の地に対する愛情と「父上の子に生まれたことを誇りに思う」という信繁の言葉はまさに昌幸が求めていた「癒し」を与えてくれたと思います。
同時に「信濃の地」に拠って自立を図るという「大博打」のヒントにもなっていました。
そして信繁がこのような言葉を口にすることができたのは梅によって彼自身が癒されていたからだと思います。
嘘の言葉 (コウジ)
2016-02-15 19:51:37
TEPOさん

いつもありがとうございます。

きりと梅は対照的ですよね。
きりは信繁を否定する。
梅は信繁を肯定する。
きりは叱咤激励しているのでしょうが、信繁は自分のすべてを受け入れてくれる温かい存在を求めている様です。
個々の性格にも拠りますが、若者の成長にはどちらが適しているんでしょうね。
後の信濃の大地ってことになると、梅の大地のような、母親のような愛情も大切なんですよね。

おっしゃるとおり、昌幸は「儂は疫病神か?」って言ってましたね。
何をしても裏目に出るから、さすがの昌幸も自信をなくした様子。
昌幸の迷いを表すいいせりふです。

「梅→信繁→昌幸」という「癒やしの連鎖」も、結局、人に力を与えるのは言葉なんでしょうね。
しかも欲しいのは嘘偽りのない言葉。
北条氏政からの言葉は結局、昌幸を安心させなかったわけですし。
昌幸自身も滝川一益から「一番信用できないのは真田だ」と言われていましたが、面従腹背で嘘をついてきた昌幸は見抜かれていたんですね。
嘘をつけば、結局、嘘が返ってくる。
昌幸は今回、そのことに気づいたのかもしれません。

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