平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第38回「霧島の誓い」

2010年09月20日 | 大河ドラマ・時代劇
 龍馬(福山雅治)とお龍(真木よう子)の霧島登山。いい雰囲気。
 でも<天の逆鉾>を抜いてしまった!? いいのか?

★残念なのは、お龍といっしょにいても龍馬の心が」別の所にあったこと。
 お龍さんといっしょにいる時くらいは、「自分が何をすべきか」ではなく、お龍さんと向き合ってあげればいいのに。
 先週はお龍に「いっしょに闘ってくれ」と言ったのに、今週は全くその気配がない。
 お龍は置いてきぼりで、龍馬は自分の世界に。
 そして場面が変わって長崎では、お龍さん、そんな龍馬のことを理解して送り出している。
 「今こそ誰かがこの国の行く道を見定め、行動し、皆を動かして行かんといかん。これがわしの決意の証ぜよ!」
 という霧島の誓いで、お龍は納得したということなのだろうが、納得に至るまでには彼女の中で様々な葛藤があったはず。
 例えば、<いっしょに闘ってくれと言ったのになぜわたしを頼りにしてくれないの?><でも龍馬さんは大きな仕事をする人。私などに関わっていてはいけない>みたいな。
 この葛藤を描いてこそドラマなのにそれが抜け落ちている。

 内蔵太(桐谷健太)とお元(蒼井優)の関係もいつの間に?
 おそらくお元の中には<龍馬に対する想い>とか<信仰の問題>とか様々な思いがあったはず。
 そんな思いの中での内蔵太との関係を描かなければならないのに、それ描写が抜け落ちている。

 それらを描いている時間がないと言われればそれまでだが、だったらシーズン2にあれだけ時間を割く必要はなかった。

★政治描写についても相変わらず。
 「今こそ誰かがこの国の行く道を見定め、行動し、皆を動かして行かんといかん」
 「わしらは長州のためでも薩摩のためでもなく、日本人として、この国のために戦うがじゃ」
 とかけ声は威勢がいいが、戦略が伴っていない。

 これらの理想や理念をどう実現していくか。この部分で龍馬はいつもつまずいている。
 「龍馬伝」の龍馬はいつもかけ声ばかりだ。
 確かに<薩長同盟>は龍馬の理想の実現であっただろう。龍馬が初めてつまずかなかった瞬間。
 だが、その後がまずい。
 長州、幕府が龍馬の思惑を越えて勝手に動き始め、いくさを始めた。一方、薩摩は動かない。
 龍馬の<理想><理念>はまたもや現実の中で空回りしてしまっている。

 ドラマや小説は時代の反映と言われるが、龍馬の情況は鳩山元首相の「普天間基地移設」に似ている。
 <基地を沖縄県外に移設する>と理想を掲げたのはいいが、アメリカ・沖縄県民の板挟みにあって頓挫。
 結果、大混乱。
 龍馬も鳩山首相と同じだ。

 まあ、現実と理想・理念は違うものだし、組織を背景に持たない龍馬には当たり前の結果だとは思うんですけどね。
 でも薩長同盟締結の後のシナリオは龍馬の中でしっかり見えていてほしかった。
 締結後に起こることを想定していくつものシナリオを用意しているしたたかな龍馬であってほしかった。
 今のままではあまりにも行き当たりばったりすぎる。
 これでは凡人と同じだ。

★それから……
 「わしらは日本人として、この国のために戦うがじゃ」
 考えてみると龍馬はこのせりふをシーズン2から言っていますよね。
 龍馬の基本理念なので何度も繰り返されて語られるのはいいのですが、ちょっと聞き飽きた。
 この段階ではもう少し深化したせりふが語られてもいいのでは?

<追記>
 あげ足をとるつもりはないが、今回のタイトルは「霧島の誓い」。
 秋になり一年の3/4が過ぎたこの時期に<誓い>を立てられてもねえ。
 この時期は大河ドラマの主人公のあり方として<誓い>などしている時期ではないと思うのですが。



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8 コメント

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ようやく明らかになった龍馬の立ち位置 (TEPO)
2010-09-20 14:32:12
>それらを描いている時間がないと言われればそれまでだが、だったらシーズン2にあれだけ時間を割く必要はなかった。
まったく同感です。佐分利先生ならぬ池内蔵太、龍馬への失恋に沈むお元に唐突に求婚。意外にいい感じかと思いきや、あっけなく遭難死。あれでは内蔵太というキャラが可哀想すぎます。時間さえかければ武市夫妻の夫婦愛に匹敵する位いいい話にも描けそうな素材なのに勿体ない限りです。

無意味な武市話に膨大な時間を空費したツケは特に政治描写で顕著だと思います。
「わしらは喧嘩をせんと日本を変えるのでは」という亀山社中の仲間たちの台詞でようやく龍馬たちの立ち位置が明らかになりました。
龍馬たちの薩長同盟策の意図は武力均衡を図ることにより幕府の征長戦を抑止することにあったというわけです。しかし慶喜が強引なチキンゲームに突っ込んできたため薩長側も倒(討)幕論に傾き龍馬とは距離ができてしまう。これが後の大政奉還策で薩長を敵に回す伏線。ただし当面は「戦はもう始まってしもうた」のでやむを得ず「日本のために」長州を救うべく参戦。これで今後も含めて龍馬の立ち位置はほぼ明らかになりました。
問題は第三部も終わりになって、それも社中隊士の台詞の形で後追い的に解説されるまで龍馬たちの行動指針が描かれて無かったことです。
おっしゃるように「行き当たりばったり」で戦略がない印象を与えるのはそうした説明が一切なかったからだと思います。
そしてこのこともまた「時間不足」の結果だと思います。

追記:だとすると第三部冒頭で龍馬が倒幕(討幕とは区別するとしても)を唱えていた点に齟齬を感じます。「筆が滑った」のでしょうか。
後追い説明 (コウジ)
2010-09-20 15:03:58
TEPOさん

いつもありがとうございます。

「龍馬伝」は結構後追い説明が多いですよね。
内蔵太の死のことでも、遭難事故で亡くなってからの後説で。
これだと、内蔵太の死は視聴者に知らされていて全く緊迫感がありませんし、志半ばの内蔵太の悔しさも伝わってこない。
大河ドラマを書くような第一線のプロの作家に物言うのは恐縮ですが、回想シーンの使い方の悪い例だと思います。

>薩長同盟策の意図は武力均衡を図ることにより幕府の征長戦を抑止することにあった。

この作品が積み上げてきた龍馬の考え方からするとその立ち位置が一番妥当ですよね。
ただ僕は<幕府の征長戦を抑止>の後に龍馬がどの様なシナリオを描いていたのかを描いてほしかったと思っています。
それはおそらく<大政奉還>というシナリオなのでしょうが、きっと現在の龍馬はそのことを考えていない。
それが今回書いた不満でありまして、あまりにも近視眼過ぎる。
龍馬にはもっと先を読んだ構想力を持ってほしい。

あるいは
これは記事に書いたことですが、
1.薩長同盟を結んでも幕府が攻めてきた場合
2.薩摩が協力しなかった場合
など現実に起こりうるあらゆるシュミュレーションをした複数のシナリオを龍馬に持っていてほしかった。

龍馬がすごい人物として描かれることを求めすぎなんですかね。
でも、今の龍馬はあまりにも行き当たりばったりで。
鳩山元総理のような龍馬は見たくないですし……。
盛り上がってきました (yama)
2010-09-21 00:05:50
とあるブログで見かけましたが、龍馬の乙女宛の手紙によると実際に天の逆鉾を抜いてしまったそうです。
龍馬は本当に恐れ知らずのようです。


内蔵太の最期は私としては、あのあっけなさが気に入ってます。
しかし、その直前のお元とのシーンが蛇足だと感じました。ただの死亡フラグにしかなっていませんし。
亀弥太の時もそうでした。人物の描き込みの差が激しい。このままじゃ中岡慎太郎も心配です・・・

いよいよ最終章突入ということで、最終章にむけた様々な要素が提示されましたね。
私は後藤象二郎がここにきて魅力的な人物に見えてきました。先週の弥太郎の言葉に感化されたのか、弥太郎に長崎行きを命じたときの目の清々しいこと!
今まで嫉妬深い悪役として描かれていただけに、こういった変化は余計に面白いです。

また、写真についてですが・・・
長次郎の時もそうでしたが、ドラマ中に撮影された写真が実際に残されている写真と構図が同じというのは当然といえば当然なのですが、
本当にこうやって撮ったんだ、と思うと感慨深いものがあります。

いろいろと不満はありますが、今回は最終章に向けて風雲急を告げるといった感じで面白かったです。
天地人の愛の兜 (コウジ)
2010-09-21 11:05:08
yamaさん

いつもありがとうございます。

天の逆鉾、史実みたいですね。
僕も他の方のブログを読んでびっくりしました。

>このままじゃ中岡慎太郎も心配です。
おっしゃるとおりですね。
大した描き込みもなく殺されそう。
せっかく上川さんがやっているのにもったいない。

これも他の方のブログ(函館 glass lifeさん)で読んだことですが、後藤象二郎も先見の明がある魅力的な人物だったようですね。
なのに「龍馬伝」は今のところ<嫉妬深い悪役>としてしか描かれていない。

中岡慎太郎、後藤象二郎あるいは一橋慶喜など脇キャラの描写がこんなに浅いのはなぜなのでしょう。
脚本家さんの歴史認識・人物認識が浅いのでしょうか。

龍馬の写真撮影に関しては、昨年の「天地人」で兼続が<愛>の兜をかぶったシーンを思い出しました。
自分を見出して闘いに挑む決意をする兼続と龍馬。
いずれもそれを象徴しているように思いました。
リンク報告 (カミタク(リンク先は「高千穂峰登山記」))
2010-10-06 22:39:22
【リンク報告】
 こんにちは。カミタク
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/
と申します。

 私が運営しております、鹿児島県内外の温泉と観光を紹介するホームページ「温泉天国・鹿児島温泉紹介!」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/kagoonin.htm
内の、以下の坂本龍馬関係のスポットのサブ・コンテンツから、貴ブログ記事にリンクを張りましたので、その旨報告いたします。
◎ 鹿児島県(日本初の新婚旅行ゆかりのスポット)
○ 高千穂峰登山記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKAN48.HTM
○ 塩浸温泉龍馬公園案内
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGOON31.HTM
○ 「坂本龍馬・おりょうの日本初の新婚旅行」ゆかりの観光スポット案内
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/K_RYOMA.HTM
○ 霧島神宮訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKAN01.HTM
○ 天保山公園(坂本竜馬新婚の碑等)訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKAN71.HTM
○ 霧島いわさきホテル入湯記(栄之尾温泉案内)
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGOON12.HTM
○ 硫黄谷温泉霧島ホテル入湯記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGOON29.HTM
◎ 高知県
○ 高知県立坂本龍馬記念館訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KOCHKN02.HTM
○ 坂本龍馬像訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KOCHKN03.HTM
○ 龍馬の生まれたまち記念館訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KOCHKN04.HTM
○ 坂本龍馬誕生地の碑訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KOCHKN05.HTM

 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

了解しました (コウジ)
2010-10-07 11:01:41
カミタクさん

リンクありがとうございます。
龍馬ゆかりの場所ってたくさんあるんですね。

はじめまして (島谷亨)
2010-11-07 19:04:55
毎回、楽しみに感想を読まさせていただいております。龍馬伝から遡って「篤姫」まで、しっかりと。一点気になったことが「篤姫・第21話 妻の戦」が見当たらないのです。私はこの回が好きでして、家定がうつけのふりをしているとでは 気付き始めた篤姫さんの回です。また、拝見しに伺いますね。
有難うございます (コウジ)
2010-11-08 09:56:13
島谷亨さん

毎回読んでいただきありがとうございます。
恐縮です。今後ともよろしくお願いします。
「篤姫」21話。
「篤姫」は全話レビューを書いているはずなのでカテゴリーで違った所に入れているのではないかと思っています。
探して見ますね。

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