平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第19回「果たせぬ凱旋」~大人に翻弄される子供の義経

2022年05月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 こうなってしまった理由を義経(菅田将暉)に尋ねられて義時(小栗旬)は言う。
「九郎殿はまっすぐすぎるのです」
「人をお信じになりやすいのです」

 したたかな大人、特に後白河法皇(西田敏行)にしてやられた感じですね。
 ずるい大人、源行家(杉本哲太)にも手のひら返しされた。
 義経はいくさの天才だが、大人の世界では子供なのだ。

 そんな義経とは対照的に頼朝(大泉洋)はしたたかだ。
 後白河法皇が『頼朝追討の宣旨』を出したことを義時に問い詰めさせて
「されど、わが主は疑うておりまする」
「九郎殿を捕らえるために西国諸国に守護・地頭を置きたい。これ、すべて法皇様のため」
 と西国諸国の統治権を認めさせてしまった。
 これが政治だ。
 義経はこういう政治的な駆け引きができないのだ。
 義時はこういう政治的な駆け引き・交渉ができるようになってひと皮剥けた。

 それにしても大人の世界というのは厄介だ。
 鎌倉に帰って兄に会うだけのことなのに「受領」や「伊予守」になったり、「父親の供養」という理由をつけなくてはならない。
 それは八重(新垣結衣)も指摘していて、子供はごめんなさいと謝れば仲直りできるのに大人の世界では難しい。

 頼朝は「信」「不信」の間で揺れている。
 本当は義経を信じたいのだ。
 しかし後白河法皇の画策などが「不信」へ導いてしまう。
 そんな頼朝を八重は諫める。
「相手を信じる心が勝ることが大切です」
 でも人を信じ過ぎるとしてやられるんですね。
 頼朝のような権力者だと、それが命取りになる。
 人が生きるとは厄介だ。

 板東武者たちは義経討伐について「いくさはなりませぬ!」
 源氏同士が戦うことに反対しているのかと思いきや、
 いくさを止めたのは、義経が強すぎるから。笑
 後白河法皇が鞠を脇に挟んで脈を停めたことに対して、
 ナレーションの長澤まさみさんは「真似をしてはいけない」笑

 父上・時政(坂東彌十郎)はいぶし銀の魅力。
 尋ねて来た義経を「偽物の義経」と言ってニヤリ。
「本物の義経」なら捕らえなくてはならないが、「偽物」だから捕らえなくていいのだ。
 別れ際には──
「九郎殿の知恵があれば生きていける」
「自信は経験を重ねることで生まれる。まだまだこれからじゃ」
 時政は「ひたすら生きろ」と義経に言っている。
 いくさしか能のない義経がいくさ出来なくなっても、生きていれば別の道を見つけられる、
 それがまったく知らない道であっても経験を重ねれば自信になる、と諭している。
 生きることは厄介だ。
 時にはすべてが失われた気持ちになる時があるだろう。
 そんな時は、この時政の言葉を噛みしめたい。

コメント (4)
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