江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

川船番所

2015-05-23 | まち歩き

外国と商品を輸出入することを貿易と言います。そして、港や空港で外国から入ってくる貨物や日本から出ていく貨物を取り締まり、関税等の税金の賦課徴収を行うのが税関です。

江戸時代には、この税関と良く似た、番所という見張り所が交通の要所に設けられていました。その一つが、小名木川と大横川が交差するところの猿江側に設けられた猿江船改番所です。小名木川は江戸へ物資を輸送する重要な交通路であったため、猿江船改番所は、ここを航行する川船を取り締まり、年貢を徴収したり、川船に打たれた極印の検査を行ったりしていました。

尾張屋版切絵図「本所深川絵図(文久二年/1862年)」で、猿江橋(猿エハシ)のそばに描かれている、「舟番所」が猿江船改番所で、近江屋版切絵図「南本所堅川辺之地図(嘉永四年/1851年)」には、「川船・・・」と記されています。「・・・」の部分は、御役所と書かれているようですが、かなり読みづらく、はっきりしません。

藤沢周平著「恐喝」(雪あかりに収録、講談社)には、この猿江船改番所が、「川船番所」として登場しています。作品に書かれた町並みからは、藤沢先生は、おそらく近江屋版切絵図を傍らに置いて、作品を執筆されたように想像されます。ならば、なぜ「川船御役所」ではなく、「川船番所」と書いたのかですが、もしかすると、藤沢先生も「・・・」の部分を読むことが出来なかったのかもしれません。巨匠に対して、はなはだ失礼ながらも、「やはり、読めないか」と妙な親近感が湧いてきます。

 

川船番所が登場するその他の作品

  •  藤沢周平著「闇の歯車」(講談社)(作品中では、「川舟御番所」)

 

猿江船改番所跡 東京都江東区猿江1-1付近
都営新宿線菊川駅から約750m 徒歩約10分

 

猿江船改番所跡の風景

 

猿江船改番所跡案内板(新扇橋北詰)


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