私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

カラスは笑うのか?

2016年11月29日 | 野鳥のお話

~ 石川県小松市・芦城公園のカラス ~

1週間ほど前の早朝、裏山から「わはは、わはは」と笑い声が聞こえた。

早起きのカラスは、この時分によく鳴くが、たいていは「かあ、かあ」なのに
この時に、初めて「わはは、わはは」と鳴いたのを聞いた。

あまりの可笑しさに、すっかり目が覚めて、起きてからしばらく笑いが止まらなかった。
そして、その日一日思い出しては可笑しくて、愉快な気分で過ごせたのだった。




~ カラスの後ろ姿 ~

カラスの知能は高く、小学校低学年くらいの思考能力があると聞いたことがある。
ああすればこうなる、こうなればそうなる、というのが分かるらしいのである。

固い木の実を車道に落して、車にひかせて割るとか、
人間の真似をして喋ったり、道具を使って遊んだり、、

そして記憶力も高く、自分に危害を加えた者は何年経っても忘れないとのこと。
実際に、友人がカラスの子が地面に落ちて死んでいたので、土に埋めてやると、
それから後、姿を見る度に、カラスに襲われるようになったと言っていた。

それは、その様子を見ていたカラスが、自分の子に危害を加えた者として
認識した結果であり、眼鏡をしても帽子を被っても、
どんなに服装を変えても見破るほどの観察力もあるのだと驚いていた。

* * *

そして、どうやら高度な感情もあるらしいのである。

昔、息子が大学生の頃、登校しようとアパートの玄関を出たところで、
電線上のカラスが鳴いたので、からかうつもりで睨んだら、
それから毎日、姿を見ると頭の上から襲ってくるようになったのだとか。
カラスだって「この野郎!」と思ったのだろう。

そう言えば、私は昔、頭の上から「あほー、あほー」と鳴かれたことがあった。
実際のところ、あほな人間だから、カラスに馬鹿にされてもしょうがないと思って、
その時も可笑しくて、自分でも笑ってしまった。

普段は「あー、あー」とか「かあ、かあ」と鳴くのに、時に、こんな風に鳴かれると
本当に、人を馬鹿にしたり、本当に可笑しくて笑っているかのように思えるのである。

だから、意外と
カラスは我々の知らないところで、ちゃんと観察していて、
人間たちのことをあれこれと話題に挙げて、楽しく生きているのかも知れない。


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あっ!帯枕を忘れたわ!

2016年11月26日 | 着物の楽しみ

先日、石川県小松市で開催されたお茶会に参加しました。
前泊ですが、午前中のお茶教室を済ませてからの出発でしたから、当日に着る着物や帯、
小物などは出発間際に慌てないよう、また忘れ物のないように前日の晩に用意していました。

ところが
今までに、出先で「あっ、草履忘れた」とか「帯締め忘れた」などと慌てている人の姿を
何度も見かけたことがあったので、そう言ったことは「明日は我が身」と思っていましたが、
この度、とうとう私もやってしまいました。



~ 帯枕 ~

これは長年私が愛用している帯枕です。
私は肩幅が広いので、帯枕も幅広のものを使用しています。
この私サイズの帯枕が荷物に入っていなかったのです。





~ 帯枕を帯揚げでくるんだ状態 ~

帯枕は、背中に当たる帯の上部の形を整えるもので
これが無いとどうにも恰好がつきません。
本来ならば、このように帯揚げを掛けて内部をくるんで使います。

* * *

「帯枕がない!」と気付いたのは、お茶友さんのご家族との夕食会が済んで
ホテルに着いた後、着物や小物の点検をした時でした。
準備万端のはずだったので、びっくりしましたが、もう時間も遅く
自分の持っているもので何とかしなければなりません。




そこでひらめいたのが、ちょうど京都駅で買ったばかりの多機能ポーチ。
「あっ!あれに何か詰めて使おう!」と。

部屋着に持って行ったTシャツを丸めて詰めて





大判の風呂敷に乗せて、くるくると包みます。





~ 即席帯枕 ~

両端を持っていたゴムとホテルのアメニティのゴムの両方で
風呂敷の両端を括って、即席帯枕の出来上がりです。

幅も高さもちょうど良く、おまけに硬さも背中に添って具合の良いものでした。
この即席帯枕の上に帯揚げを掛けてしまえば、すっかり隠れて、まさか中身が
こんな仕組みとは誰にも気付かれません。

* * *

この度、忘れたものが中に入るもので良かったと胸を撫で下ろしています。
これが帯や帯締めだったら「万事休す」でした。
せっかくのお茶会を、現地に行っていながら「欠席」
ということになったかも知れません。

一時冷や汗をかきましたが、無事にお茶会に出席出来て、
「終わり良ければ総て良し」の小松のお茶会となりました。

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仙叟ゆかりの玄庵と仙叟屋敷のお茶会

2016年11月24日 | 茶の湯便り

~ 玄庵 ~

こちらのお茶室は、石川県小松市の芦城(ろじょう)公園内にあります。
「小間の玄庵」と「広間を備える仙叟屋敷」からなり、
北陸での茶道発展の礎を築いた千家四代目・仙叟宗室居士没後三百年を記念し、
1996年、鵬雲斎千玄室・裏千家十五代家元によって寄贈されたものです。

この度、小松市在住のお茶友さんのご招待を受け、しっとりと美しい玄庵で
濃茶を、明るく華やかな広間では薄茶を頂き、北陸での晩秋の一日を
存分に楽しませて頂きました。





~ 仙叟屋敷並びに玄庵の正門 ~





~ 外露地より見る仙叟屋敷 ~

仙叟は元和八年(1652年)、加賀藩三代藩主・前田利常公の御茶堂として仕え、
利常公の小松城への入城に従って、城中の三の丸に屋敷を賜り、利常公が
亡くなる万治元年(1658年)まで、小松に在って利常公の文治政策を助け、
家臣はもとより町人に至るまで、広く茶の湯を指導されました。





~ 仙叟屋敷から見る外露地 ~

茶庭は、仙叟が加賀藩の士分であったため武家風の庭とし、芦城公園の
歴史的な環境に溶け込むように設計されています。

露地については、外露地は明るく、内露地は暗くして、茶事の趣が
損なわれないように配慮されています。

このS字を描く砂利道は奥にある玄庵の露地へと続いています。





~ 外露地から内露地を見る ~

紅葉の美しいしっとりとした風情の内露地へと続きます。





~ 玄庵の室内 ~

仙叟好みの趣を、鵬雲斎千玄室・裏千家十五代家元が現代風に設計されたもので、
この小間の玄庵は五畳半の上台目切りで、床は半畳の壺床と奥行きの浅い台目床が
設けられ、ほかに裏千家宗家の無色軒にある釘箱棚が写されています。

こちらでお茶友さん(席主の奥様)のお点前で濃茶を頂きました。
私の入らせて頂いた二席目は、お茶友さんのお知り合いの方ばかりでしたので、
ほど良く緊張しつつ、心が通い合う素敵なお席になりました。





~ 仙叟屋敷の広間 ~

広間は十二畳半あり、床の右に琵琶床、左に床脇が設えてあります。
こちらで席主のご子息のお点前で薄茶を頂きました。

二席目のお客様方は、お点前をされるご子息の小さい頃を知っている方ばかりで、
皆が母親のような気分で、ちょっとはらはらとしながら見守っていました。
この初々しい青年もあと二、三年もしたらうんと成長することでしょう。
和気あいあいと楽しいお席になりました。




~ 仙叟宗室居士屋敷跡碑と露地門 ~

※ 以上「仙叟屋敷ならびに玄庵」パンフレット参考




~* ~ * 芦城公園内 * ~ * ~



この芦城公園は、加賀藩三代藩主・前田利常公が隠居としていた小松城の
三の丸跡地に造られた池泉回遊式庭園になっています。

松の名木をはじめ、桜やツツジ、フジ、ショウブ、百日紅など季節の花々や
冬季には「雪吊り」など四季折々の風情を楽しむことが出来ます。




~ 池には大きな鯉が泳いでいます ~

二つの池と滝、それらを結ぶせせらぎや築山も配されています。





~ 芦翠亭 ~

園内にあるお休み処




~ 錦橋と雪吊り ~

やはり小松も雪国なんですね。
兼六園と同様に、松の枝ぶりを保護するための雪吊りが、
北陸の風情を感じさせます。

※ 以上、小松市HP参考



~ * ~ * おまけ * ~ * ~



~ コマツ製作所と大型建設作業車 ~

小松と言えば、やはり思い浮かぶのは「コマツ製作所」
ビルの脇に置かれた大型建設作業車はさすがの迫力で、
二階建ての家が一軒分くらいありそうな大きさです。

大阪行きのサンダーバードを待っている間に、目に飛び込んで来た光景です。





~ 奥琵琶湖 ~

琵琶湖は滋賀県の真ん中にあって、淡路島がすっぽり入ってしまう
日本で最大の湖です。
いつもここを通る時に、あの大きな湖もここが終点、あるいは始まり、と
思って見ると不思議な気持ちになります。
中央向こうに見える山は、かの有名な「賤ケ岳」でしょうか・・
歴史を感じる景色ですが、正確には分かりませんので、ご存じの方が
いらっしゃいましたら教えて頂きたいと思います。


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菊日和 * 達磨菊・磯菊・花磯菊・紺菊・浜菊 *その他可愛い小菊達

2016年11月17日 | 花便り

~ 達磨菊 (ダルマギク) ~

薄紫の花径4cmほどの美しい菊
西日本の日本海側の岩上に自生する海岸植物です。
名の由来は、岩上で咲く姿が座った達磨の姿に似ることから。

花期 : 10月~12月
2月から3月に株分けか挿し芽で増やします。
この達磨菊はこの春に挿し芽したものが、健気に花を咲かせました。

伸びると垂れ下がるので、鉢植えにして高い所に置くのが良いですね。
茶花に使う時には、その習性を生かして掛け花入れに入れます。





~ 磯菊 (いそぎく) ~

別名 : 岩菊・泡菊
花期 : 10月~11月
名の由来は、海岸の崖や浜辺に自生することから。

黄色の筒状の花が頭頂部に固まって咲きます。
葉には白い縁取りが入ってとてもきれいです。

販売店のおじさんが、自分の好きな菊だと言って、
「この菊はなあ、しみじみとした菊でなあ、着物で言えば絣のような菊なんや」
と目を細めて見ていたのを、この菊が咲くといつも思い出します。

おじさんの言うように、花はしみじみとしていますが、
縁取りのある葉と共に結構な存在感がありますので、
茶花に使う時には、根〆に使うと全体がピリッと引き締まります。





~ 花磯菊 (はないそぎく) ~

この菊は、前述の「磯菊」と「栽培菊」との交配種です。
頭頂部に花径1cmほどの花が固まって咲き、まるで手毬ようで愛らしい姿です。
一枝でもブーケのようですが、数本束ねて生けると豪華になります。





~ 紺菊 (こんぎく) ~

この菊は、野紺菊の中から色が濃く美しいものを選別した園芸品種です。
古くから栽培されていたようです。

花期 : 9月~11月
普通の菊のようには簡単に増えず、我が家の庭ではこの一株が
辛うじて生き残っています。
何とか挿し芽で増やしたいと思っています。





~ 浜菊 (ハマギク) ~

東北の太平洋岸の岩壁や砂浜に自生する大輪の菊です。
茎は根元が木質化してしっかりしていますし、
花径が6cmもあって風格がありますから、
茶花で使う時には、一種で格調高く生けるようにします。

* * *

~ 可愛い小菊たち ~



咲き始めに花弁の先が反り返ってきれいです。

薄い小豆色の小花が茎の途中からたくさん出てくるので
懸崖仕立てに使う菊のようです。
姫路城の菊花展の販売所で買った菊です。





純白で清楚な雰囲気の菊です。
花弁がふんわりと立体的に開き、バレエのチュチュのようですね。





花弁の様子がちょっと変わっていて面白い菊です。
花色もニュアンスのある濃いピンク色で素敵です。





薄黄色の小菊です。
すくっと立って、小さいですが端正な雰囲気があります。





薄ピンクの小から中の大きさの菊です。
さっぱりとした雰囲気で、どの花との混ぜ生けにも対応しそうです。





花弁の長いマーガレットのような菊です。
中輪に近く房状に咲きますので、下駄箱の上や食卓上に
多種と混ぜてブーケのように生けると可愛いでしょうね。





ピンク色、中輪の明るく華やかなな雰囲気の菊です。
茶花には使えませんが、室内を明るく彩ってくれます。





黄色のはっきりとした色合いが元気な菊です。
そこだけスポットライトが当たったように輝いて見えます。
茶花では、挿し色に使うときりっと光りそうです。

* * *

我が家の庭は、今まさに菊の花盛り。
どの菊も可愛いらしく目を楽しませてくれています。


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第29回姫路全国陶器市 *唐津焼・小石原焼の器を買いました*

2016年11月09日 | 美術工芸

~ 唐津焼・白釉絵唐津 ~

毎年この時期に、姫路城前の大手前公園で陶器市が開かれます。
全国から33もの窯元や販売店が軒を連ね、
市販よりも安価で展示即売しています。
今回は唐津焼と小石原焼に的を絞って菓子器になるものを探しました。

* * *

この器は、佐賀県唐津市で焼かれた唐津焼です。
白い釉薬がかけられ鉄絵が施されています。
ぽってりとした器体の温かさと、さっと描かれた植物文が気に入りました。

直径20cm、立ち上がり5cmの中鉢とも深皿とも言える器で、
生菓子を三つ入れるのにちょうど良い大きさです。
お稽古用に使うのにはちょっと値が張りましたが、
ここは一期一会、逃すまいと思い切りました。

* * *

この唐津焼の里では
毎年、五月のゴールデンウイークに「やきもん祭り」と題して
陶器市が賑やかに開かれとのこと、是非行ってみたいと思っています。




~ 小石原焼・飛びカンナ文様中皿 ~

この器は、福岡県朝倉郡東峰村で焼かれている小石原焼(こいしわらやき)です。
白釉をかけた上から、カンナで細かい筋をぐるりと彫ってあります。
これは「飛びカンナ」と呼ばれる技法で、小石原焼を代表する技法の一つです。
カンナで付けられた筋の下から地の陶土の色が見えて、
すっきりとした中にも面白味があります。

* * *

直径22cm、どんなお菓子にも対応してくれそうですし、
生菓子を5つまで入れられて、お稽古に重宝しそうです。
こちらは求めやすいお値段で、あと四枚足して
普段の食器として使っても良いかなあと思えるほどでした。

元々、小石原焼は生活雑器を焼いていた歴史があり、
茶陶で昔から有名で高価な唐津焼に比べ、安価で親しみ易く
日常的に気兼ねなく使えるところに魅力があると言えます。

日本の陶芸界に大きな影響を与えたバーナード・リーチによって
「民芸の用の美」として全国に紹介された小鹿田焼(おんたやき)には
この小石原焼からその技法が伝わりました。

* * *

こちらは「秋の民陶村祭り」として10月始め頃の三日間ほど
陶器祭りが開かれ、普段の2割引きで販売されるようです。
温泉巡りとセットで行くと良いですね。

※小鹿田焼は大分県日田市で焼かれている焼物です。




~ 大手前公園 ~

会場は姫路城のすぐ近くです。
中央に小さくお城が見えています。





ズラリと並んでいてどこも出入り自由です。




多くの人で賑わっています。
会場には「ろくろ体験」の出来る所や「お休み処」として
お抹茶を頂ける所もあります。




今年は3日の祭日を挟んで、2日から7日の6日間の開催でした。
関係者の話ですと、祭日の3日はさすがに大勢のお客様だったそうです。

こうしてどの店も商品はたっぷりと用意されています。
見て歩くだけでも楽しい全国陶器市でした。
次回はどんな物に出合えるか、終わった今からもう楽しみです。

※ 会場の写真は携帯で撮ったものです。


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てくてく奈良街歩き♪ ③ * 正倉院展・漆胡瓶は素晴らしかった *

2016年11月04日 | 旅の楽しみ
~ 第68回 正倉院のポスター ~

さあ、いよいよ最後の目的、正倉院展にやって来ました。
今回の主役は、この漆胡瓶、金属製に見えますが、木をテープ状にして
それをクルクルと巻き上げて成形し、漆を塗り重ねたものだそうです。

この技法は「巻胎」(けんたい)と呼ばれる技法で、この技法のお陰で
1200年もの長い間、木製でありながら割れずに、
表面に張り付けた銀の薄板がはがれずにすんだとのことでした。
そして、この技法は現代でも再現は難しいとのこと、
古代の職人技の素晴らしさにただ驚くばかりでした。

また、表面に施された草花や鳥などの文様は、「銀平脱」(ぎんへいだつ)
と呼ばれる技法で、切り抜いた銀の薄板を貼り、その上から漆を塗って
それを研ぎ出して文様を出しているとのこと。

貼られた銀の文様の繊細さと、銀の経年による重みのある色合いが素晴らしく、
この一品を見ることが出来ただけでも、今回の目的は果たせた気分でした。




~ ポスターの裏面 ~

* 左上 ー 大きな旗 ー 「大幡残欠」(だいばんざんけつ)

聖武天皇の一周忌法会で飾られた織物で全長13~15m、
長さは大仏様ほどもあり、東大寺の境内に翻る様はさぞ見事だったでしょうね。
実物を見ながらそんな想像をすると、天平の華やかさが感じられて良いものでした。


* 右上 ー 小さな鳥の飾り物ー 「撥鏤飛鳥形」 (ばちるのひちょうがた)

ガラスのケースの中で、どこにあるのかと思うほどの小ささです。
染めた象牙の表面に文様を白く彫り出す「撥鏤」の手法で作られ、
目や脚に紐を通したような穴が開いています。
それぞれ羽ばたいている様子や滑空している姿など、1羽ずつの表現が
巧みであり、且つ可愛らしいところなど、鳥に寄せる愛情までも感じられ、
古代の人々の息づかいまでも聞こえるようでした。



*~ 銀平脱龍船墨斗 (ぎんへいだつりゅうせんのぼくと) ~*

今回の展示で、なんと言っても楽しかったのはこの墨壺。
表面の文様は、漆胡瓶と同じ「銀平脱」の技術が使われています。
目をむいて、大きく開けた口からは力太い舌が真っすぐに出ていて
まるで怪獣のような造形にびっくり!



~ 読売新聞の記事より ~

子供たちが興味津々で眺めていますね。
怪獣のような形で舌の上から糸をはかせるなんて、天平の昔にも
こんなユーモアがあったのだと、楽しくなる展示でした。
現代なら「ふざけるな!」とデザインの段階で「ボツ」になっているかも。
天平時代の豊かな精神性が感じられる墨壺ですね。




~ 柳箱 (やなぎばこ) ~
(読売新聞の記事より)

この円形の器は、柳と思われる木の細枝を編み上げたものです。
蓋はにひし形の文様が編み込まれていて、なかなかにお洒落です。
今回同時に展示されている皮のベルト「革帯」(かわおび)が
クルクルと巻かれて納められていたようです。

細かくきちんとした網目で全体の雰囲気はとても上品でした。
「現代の職人さんも驚くほどの出来栄え」との新聞記事に、
まったくその通りに、美しく、素晴らしいと思って見て来ました。




~ 1階のお茶席 ~

美しい庭を眺めながらの一服は気持ち良さそうですね。
今回は時間の都合でパスしました。




~ 法華寺御流の生け花 ~

お茶席の入り口に素敵な生け花がありました。

法華寺様のHPによりますと
華道法華寺御流の起源は、光明皇后が法華寺を建立し広く女人の修業場として
宮中女官を始め当時の人達に身心修養のため、草木幽美の風情を花瓶に
挿すことを奨励したことから始まった。とありました。

秋の風情を格調高い花姿で生けられてとても素敵でした。
こういった会場で、生気のあるものが一つあるだけで、
ふっと心が和んで良いものですね。




~ 車の往来をものともせずに歩いている鹿 ~

さあ、ようやくこれで本日の三つの目的を果たしました。
鹿の横を通りながら、またてくてくとJR奈良駅まで戻ります。




~ JR奈良駅 ~

古都のメインストリートの三条通りを通って、振出しに戻ってきました。
これで本日の歩数は1万4千歩弱、てくてくと良く歩きました。
楽しく、充実の奈良街歩きは終了です。

また来る日までグッバイ奈良の都


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てくてく奈良街歩き♪ ②の2 志賀直哉旧居 * 暗夜行路完成の書斎 *

2016年11月01日 | 旅の楽しみ

~ 2階 六畳書斎 ~

この日、南向きのこの部屋にはやわらかな秋の陽が差し込んでいました。
後年には寒い北向きの洋間書斎から、こちらの書斎に移動して執筆しており、
志賀直哉唯一の長編小説・暗夜行路はこの部屋で完成しました。




~ 2階 八畳客間 ~

東側と北側に窓があり、明るく落ち着いた部屋です。
時にはお客人の宿として、またある時には友人たちとの
語らいの場だったのでしょうね。




~ 中庭 ~

しっとりと美しい庭で、茶室のための腰掛待合も備えています。




~ 六畳 茶室 ~

この茶室は、建築当初の用途は、友人たちが訪ねて来た時に
気兼ねなく寝転んだり、将棋をさしたりくつろぐための部屋になる予定でした。

ところが、建築に携わった大工が裏千家関係の数寄屋大工であり、
建物の何カ所かに茶室を造りたいとの希望を持っていたために
直哉が自分の希望を述べると、大工は喜んで
たちまち本式の茶室を造ってしまったのだそうです。

結局、当初に直哉の希望した用途にはならなかった部屋ですが、
夫人と三人の娘さんたちが、興福寺のお坊さんを師匠に
この茶室でお茶の稽古をするようになったとのことでした。

その大工さんはよほど茶室が造りたかったんですね。
直哉の言葉を都合よく解釈して、自分の思いを遂げてしまうところなど
傑作ですし、それを許した直哉の懐の深さも感じられる愉快な逸話です。




~六畳 夫人の居室 ~

南向きで広縁のある明るい部屋です。
家族思いの直哉の優しさが感じられますね。




~ 中庭 ~

茶室につながる庭です。
この中庭だけでも六畳間が五部屋分はありそうな大きさです。




~ 直哉の居室から見る中庭 ~

向かいは茶室、その上は2階客室です。




~ 子供の寝室から見た庭 ~

窓枠で切り取った庭の景色が、まるで額縁に入れた絵のようです。
ゆるやかアプローチが優しい風情ですね。
このアプローチの先は池のある庭に続いています。

お昼時だからでしょうか、見学者が少なく
どの部屋も貸し切り状態でゆっくりと見ることができました。
ここで志賀直哉旧居はおしまいにして外に出ます。




~ 志賀直哉旧居前の道 ~

さていよいよ第三の目的、正倉院展会場の国立博物館に向かいます。
この旧居前の道を抜けると10分ほどで奈良公園に着きます。




~ 道路を歩く鹿 ~

奈良公園の近くに来ると、鹿が普通に道路を歩いています。
さすがに車が来ると避けますが、人がいても平気で近くを歩いて行きます。




~ 池で涼む親鹿と仔鹿 ~

この日は鹿にとっては暑かったのでしょうか、
公園内の池に鹿が入って涼んでいるようでした。

仔鹿が私たちに興味津々なのを心配してか、
「そっちへ行っちゃあダメよ!早くこちらにおいで!」
とでも言っているように呼んでいました。




~ 売店前を動かない鹿 ~

博物館の横には甘味処や土産物店などの店が連なっています。
その前から動かずに、観光客らに撫でてもらったり、
一緒に写真に納まったりしているおとなしい鹿がいました。

まるで剥製のように見えますね。
こうして人の近くにいると、鹿煎餅がたくさん貰えるのでしょうね。
モデル料を払っても良いくらいじっとしてくれています。
主人はこの鹿ちゃんと記念撮影をしました。




~ 奈良国立博物館 ~

ようやくやって来ました。
もう午後2時近くでしたので、長い行列もなく団体さんもいなくて、
スムーズに館内に入ることが出来ました。

午前中はおそらく長蛇の列なのでしょうね。
時間に余裕のある方は、午後からの観覧をお勧めします。

次回は正倉院展観覧の様子をお届けします。

※ 参考 パンフレット、室内の説明書き
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