ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』

2008-05-06 22:53:20 | 新作映画
----おおっ、ゴールデンウィークの
最後の邦画にアニメを持ってきたか----。
「うん。
でもこの邦画アニメというのは苦手分野だから、
それを前提にちょっと違う観点で話を…」

----うん。ニャにから話すのかニャ。
「そうだね。
まずチラシのコピー表現から。
『それは、永遠の子供たち
《キルドレ》の物語。』
これがまずぼくに引っかかってしまった。
というのが、この映画、
《キルドレ》とは何かが分からないように作ってあって、
それが<永遠の子供たち>を意味するというのが観客に分かるのは
映画が始まってずいぶんたってから。
しかも『もう一度、生まれてきたいと思う?』というキャッチも
ネタバレに近い」

----ふうん。
でも、そこは実際に観てみないと
えいが
ニャにをそんなにこだわっているのか、
よく分からないニャあ。
それよりこれはどういうお話ニャの?
「うん。それも
実はあんまり知らない方がいいと思うんだけどね。
物語の舞台は、いくつかの大戦を経て、
つかの間の平和を手に入れた、今とよく似た時代。
かりそめの平和を実感するために、
人々は『ショーとしての戦争』を求める。
戦闘機のパイロットとして戦うのは、
年を取らない、思春期の姿のま永遠に生き続ける
《キルドレ》と呼ばれる子供たち。
----と、思わず書いてしまったけど、
映画ではこの前提も、徐々に分かる仕組みになっている。
そこが、いきなり字幕で背景を説明してしまう普通の映画とは
大きく異なるところ。
つまり、この映画は“じわりじわり”と、
その<世界>に親しんでいく作りとなっているんだ」

----ふうん…。
でも今までの押井守作品とは少し感じが違う気がするよね、
「うん。彼は
『この国には今、飢餓も、革命も、戦争もありません。
衣食住に困らず、多くの人が天寿を全うするまで生きてゆける社会を、
我々は手に入れました。
しかし、裏を返せば、それはとてもつらいことなのではないか---と思うのです。
永遠にも似た生を生きなければならないとう状況…』と言っている」

----そうかニャあ。いまワーキングプアとかネット難民とか
日本人の間で増えてるんでしょ?
「そうだね。
もしかしてそこも
ぼくがこの映画に違和感を感じたところかも。
でも、このテーマ、
あるいはアニメ独自の映像、
さらには川井憲次の音についてなどに話題が行っちゃうと、
自分の知識不足がもろに出てしまうから
ここでまた、ちょっと話題を変えることにしよう。
この映画のヒロインの名前が草薙水素。
これ、どこかで聞いたことがない?」

----あっ、草薙素子。
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』 。
「でしょ。この映画、
別に森博嗣という原作者がいるんだけど、
彼は押井守のファンなのかなあ。
あまりにも名前が似ている。
あとジンロウという名前も重要な役で出てきたな。
こちらは、やはり押井守が原作・脚本を担当した『人狼 JIN-ROH』を思わせる。
また、彼の愛犬のガブリエル(ダニエルかも)らしき犬もまた出ていたよ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニャンか歯切れが悪いニャあ」ご不満

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8 コメント

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あらら、アレはネタバレなんですか (よろ川長TOM)
2008-05-06 23:36:13
こんばんわ。私は押井作品は『うる星やつら』以降苦手なんですが、これの予告編からは珍しく「観たいな」と思ったんです。もうご覧になったんですね~。羨ましい。
ただ、仰るキルドレがなんなのかも、永遠の子供たちというキーワードも、予告編でしっかりと明言されてたように思います。

アチャ~( ̄~ ̄lll) やっぱし配給会社の宣伝戦略はド下手ですねえ。

今NHKでやってる『アリソンとリリア』というライトノベ原作のアニメも『昔の地球に似た、どこかの世界の世界大戦』が舞台なんです。そっちは冷戦状態だけど真の平和を求める…というもっと希望に向かう明るさがあるんですが、出てくるメカが1918~1930頃に実際にあった戦闘機たち。
いっぽう、この『スカイ・クロラ』の予告編には日本の震電とドイツのフォッケウルフの何とかという、いずれも第二次世界大戦に間に合わなかった高性能戦闘機が出てきてました。妙な類似性と対称性ですね。
レシプロファンとしては、『オネアミスの翼』以来の空戦シーンに注目してます。観たい!
思わず (たいむ)
2008-05-07 23:06:07
久しぶりの押井作品をとても楽しみにしています。
私は原作を読んでいるのですが、「キルドレ」については、原作でも徐々に・・といった感じでした。なので、あの予告編にはびっくりでしたた。といっても「キルドレ」自体がネタバレと言うわけでもないので、予告編は予備知識の一つとして本編での説明を省き、アクション等に時間を割くのかな?って思っていましたが、そうでもなさそうですね。少し安心しました。

それより声優は大丈夫でしたか?
オーディションとはいえ、俳優の起用と聞いて不安に思っています。俳優としては好きな方々ばかりですが・・・。
■■よろ川長TOMさん (えい)
2008-05-07 23:59:43
こんばんは。
(お昼に一回、お返事を書いたのですが、
外だったこともあり日本語めちゃくちゃでした。
ちょっと書き直させてください)

------------------------------------------

その「ネタバレ」が微妙なんですね。
知っていても楽しめないことはないのですが、
もしも、それを知らないで観たとしたら、
まったく別の楽しみ方ができたのではないかと、
まあ、そう思えるわけです。

ぼくも押井守監督は
「うる星やつら2★ビューティフル・ドリーマー★」以外は、
あまりあわないのですが、
これはとっつきやすかったです。

そういえば、押井守監督は
プロペラ機による戦闘映画を作りたがっていたようです。
この映画ではプロペラが前にある機と後ろにある機があり、
(車のFFとFWみたいな感じでしょうか?)
ビジュアルとしても面白かったですよ。
■■たいむさん (えい)
2008-05-08 00:07:15
こんばんは。

アクションはのっけから出てきますが、
抑え気味でした。

声優は、
『山のあなた 徳市の恋』を観ていたこともあってか、
どうしても加瀬亮の顔が思い浮かんでしまいました。
そういう意味では谷原章介もそうですね。
『長い長い殺人』でのにやけた顔が…。
そのとき『おもひでぽろぽろ』のことがちらっと頭によぎったのも事実です。

意外と分からなかったのは栗山千明。
菊地凛子も、まだあまり出演作がないのが功を奏してか、
すんなり聞くことができました。
こんばんは (ノラネコ)
2008-08-09 01:41:51
私もキャラの名前は気になりました。
元々押井さんに映画化して欲しかったのかもしれませんね。
詩情のある良い映画だったと思います。
個人的に感じたのは、これはある意味裏ポニョ。
世界への閉塞感を、実際に世界を破綻させて、五歳児のピュアな思いに賭けたのがポニョ。
こちらは同じような閉塞感を感じながらも、永遠の子供のピュアな感情を目覚めさせ、少しだけ穴を開ける。
作家性の違いは感じますが、テーマ的には凄くかぶる様な気がします。



■ノラネコさん (えい)
2008-08-09 22:03:59
こんばんは。

>押井さんに映画化して欲しかったのかもしれませんね。

なるほど。それはありえるかもしれないですね。

確かに詩情はあるのですが、
死後の世界のように静かすぎるトーンが
個人的にはちょっと苦手でした。
やっぱり声優・・・。 (Ageha)
2008-08-11 08:37:17
声をきいてその人の顔がうかんでしまうと
ダメですね。
声だけで演技するという感情の込め方が
どんなにすばらしくても、
目の前のキャラの顔が俳優さんになってしまう。
栗山千明さんだけが意識せず聞けたのは
きっと彼女の声をしっかり覚えていないから・・。

この話、原作の「スカイ・クロラ」と
オチが違うんです。
映像化になった段階で押井作品なんでしょうね。
その分、押井さんがこめた思いの強さが
反映された作品になったのかもしれません。
(でもなんでラブストーリーにしたんだ)

今回はどういうわけか、
原作への思い入れが強かったこと
攻殻機動隊があまりに大好きだったこと、
それがこの映画への評価を
かなりシビアなものにしてしまいました。(泣)

戦闘シーンのCGはもう、さすがというか
すごかったんですけどねぃ・・・。
■Agehaさん (えい)
2008-08-12 21:04:52
こんばんは。

そうですね。
最近、日本映画は一人の俳優が
数多くの映画に出演ということがしばしば。
そのため、どうしても
<声>が頭に焼き付いてしまいます。

>原作の「スカイ・クロラ」と
オチが違うんです。

そうなんですか?
しかもラブストーリーじゃないとなると
どんな感じなのでしょう?

空で闘うというと『最終兵器彼女』とか、
あと舞城王太郎の短編にも
似たような空気の作品があった気がします。
(でも、まったく的はずれかも)

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