ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ノン子36歳(家事手伝い)』

2008-10-27 23:08:34 | 新作映画
「いやあ、これは映画以前に
そのキャッチコピーがそそるなあ。
ちょっとフォーンには言いたくはないけどね」

----ニャに。そっと耳打ちでいいから教えてよ。
「う~ん。じゃあいいか。
それはね。
『最後にしたの、いつだっけ?』」

----あらあ~っ。
これって、そんな映画ニャの?
「まあ、そうも言えなくはないけどね。
どちらかというと、
これはそのインパクトを狙ってのものだろうね」

---確かに、観たくなるよね。
「した」という言葉が卑猥。
「こらこら(笑)。
この映画は、かつて東京で芸能人をやってみたけど鳴かず飛ばず。
マネージャーと結婚したものの即離婚。
三十路半ばで出戻り、
実家の神社で家事手伝いのノブ子(通称ノン子)が主人公。
そんな彼女の前に、ある日、若い男マサルが現れる。
このあたりの描き方が、
地方の駅を強調するものだから、
ちょっと石井隆の『死んでもいい』を思い出したけどね」

----へぇ~っ。
ということは
彼は神社の仕事を手伝って住み込むの?
「うん。確かに住み着くことは住み着くけど、
彼には一応の目的がある。
このマサルは
神社の祭りでヒヨコを売って
ひとやま当てようと考えているんだね」

----でも、そういうのって
勝手にやれないんでしょう?
テキ屋とかいう人たちが仕切ってるんでは?
「うん。土地の顔役(津田寛治)がいるんだ。
ところがこのマサルというのが甘くって、
こういう顔役はヤクザみたいなものだから、
一生懸命に話せば最後は大丈夫なんて思っている。
映画は、そんな彼がこの地方の町にやってきたことで、
そまでだらだらと生きてきた“ノン子36歳(家事手伝い)”のココロに
さざ波が起こるさまを見つめていく。
しかもそこに元夫で元マネージャーまで現れ、
言葉巧みに迫り、
昔の体の感触を彼女に思い起こさせるんだ」

----それって
いやらしい言い方だね。
「(汗)ちょっとヤバかったかな。
でもこの映画、その“いやらしい”というのがピッタリ。
セクシーとかエロチックとか言うのでなく、
もろエロってかんじ。
そうそう言うのが遅れたけど、ノン子を演じるのは坂井真紀。
彼女が猥雑なまでの生々しい女の性を体中から発散させるんだ。
また、それを引き出す元夫役の鶴見辰吾がエロい。
得にての這わせ方……(大汗)。
照明もアンダーで、
そのシーンをくっきり見せているわけではないんだけど、
すえた匂いの空気がスクリーンに充満するんだ」

----へぇ~っ。監督は誰ニャの?
「あの大問題作『鬼畜大宴会』の熊切和嘉。
あのときは女性をそれこそ全裸で写していて
度肝抜かれたけどね」

----そのエロ以外はどうニャの?
「注目してほしいのがオープニング。
バーでノン子がグラスを持つ手のアップ。
そこからカメラが引くとカウンターの後ろにバーのママ・富士子(新田恵利)。
さらにカメラが引くと、
その富士子がカウンターの後ろから回ってノン子の手前に。
このワンショット撮影は、ワクワクしたね。
『これは普通の映画ではない!』と監督が宣言しているみたいで。
それだけにプレスはラストを書きすぎ、クライマックスを見せすぎ。
なにも知らないで観たら、
けっこうスリリングな映画体験ができるだけに残念だね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは観ちゃダメなのかニャ」ぼくも観たい

※R-15だから猫年齢だと大丈夫だ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ノン子36歳 (ketchup36oz)
2008-12-02 18:02:40
東京フィルメックスで、僕も観てきました。
個人的には、撮影が「天然コケッコー」の近藤龍人さんだたので、時折はいるリリカルなシーンが心地よかったです。
でもこれ、30代の独身の女性たちが観て、どうなんでしょうか…明日が来るのが嬉しくなるのかな?!
■ketchup36ozさん (えい)
2008-12-03 10:41:05
こんにちは。

撮影に着目されて観るなんて、
通ですね。
『天然コケッコー』は確かに撮影が素晴らしかったですね。
地平線がしっかりしていた記憶があります。
そうか、だから風景の切り取り方が上手かったんだ。

う~ん。この映画、
20代の人が明日を考えて観るというよりも、
同年代の人が、(一部)共感するって感じかなと思いました。



演出は良いけれど (Kei)
2009-04-06 01:17:03
こんばんは。
映画芸術ベストワンという事で見てまいりました。
熊切監督の演出テクニックは、ご指摘のオープニングでも分かる通り、うまくなったと思いますが、マサルという青年の人物造形がおざなりで期待はずれでした。祭り、ぶっ壊しちゃいかんでしょう。
エロい描写で、昔のロマンポルノやATG作品を思い出してしまいました(笑)。そういう所が映芸好みだったのでしょうかね。
■Keiさん (えい)
2009-04-06 12:25:39
こんにちは。

あっ、映画芸術見ていないです。
なるほど、あの雑誌の好きそうな作品。
でも、ベストワンは驚きですね。

そうでしたそうでした。
オープニング映像は、
凝りすぎなくらいに凝っていました。

マサルの設定はぼくも酷かったと思いますが、
ああでもしないと、それこそ
昔どこかで観た映画と同じになってしまうからかもしれないですね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。