ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『永遠のこどもたち』

2008-09-30 11:12:12 | 新作映画
(原題:EI Orfanato)

----『永遠の子供』って
ピーターパンなんかに使われる言葉だよね。
このポスターからは
そんなイメージがまったく伝わらないけど…。
「実はもっとショッキングなのもあるんだけどね…。
原題は『孤児院』。
日本の配給や宣伝サイドはホラー色を払拭しようと、
子供たちが庭で『だるまさんが転んだ』みたいな遊びをしているヴィジュアルとともに
このピュアな日本語タイトルで女性の映画観客を誘引しようとしているみたいだね」

----でも実際はかなり不気味なわけ?
「不気味という言葉が一番的確かどうかはわからないけど、
ショッキングなシーンは多のは確かだね。
物語は、次のようなもの。
海辺にある孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)。
30年後、彼女は閉鎖されていた孤児院を買い取り、
障害を持つ子どもたちのためのホームとして再建するために、
夫カルロスと幼い息子シモンとともに移り住む。
ところが広い屋敷の中、遊ぶ相手がいないシモンは
イマジナリーフレンドを作り上げ、
まるでそこに相手がいるかのように話しかけたりする。
そんな中、いよいよホームのオープンの日が…。
しかしそのパーティのさなか、
シモンが忽然と姿を消してしまう。
その直前に家を訪ねてきた怪しい老婆。
彼女がこの失踪に関係あるのでは?
ラウラは必死に我が子の行方を探すのだったが…」

----うわあ、それはオモシロそうだニャあ。
「でしょう。
ぼくは試写状に書かれたストーリーを読んだだけで
少しでも早く観たくなったもの。
監督はスペインで短編映画やCMで活躍している新鋭J.A.バヨナ。
彼のシナリオを読んで、
あのギレルモ・デル・トロがプロデュースに名乗り出たと言うから、
その才能のほどは折り紙付きだ。
デル・トロいわく
『この作品が、単純に、呪われた屋敷、
幽霊、パラレルワールドなどの要素を元に
派手に作り直したものではないと分かった。
稀なことだが、このシナリオは真に深みのあるものだったのだ』」

----それだけでも、十分にオモシロいのにね(笑)。
「だよね。しかしデル・トロはさらにこう続けるんだ。
『なにしろ特別な残虐シーンなどにまったく頼ることなく、
観客を恐怖ににおののかせることに成功している。
そしてこの作品は、
超常現象ものとしてありがちな演出とは一線を画し、
愛する者を失った喪失感を最高に美しく描いている」

----ということは、この母親の気持ちが
映画のキモになっているんだニャ。
「そういうことだね。
ここに霊媒師(なんとジュラルディン・チャプリン!)まで登場し、
彼女に愛ある助言をする。
ところが周囲は、ラウラのことを
子供思うあまりに狂ってしまった母親としか見ない。
そして霊媒師のことはインチキと決めつけるんだね。
映画としては、
超常現象か、彼女の思い込みか、
そのどちらかは、はっきりとは明示しないから
観客の心は揺れっぱなし。
ミステリーのように切れそうな糸をたぐりながら
真相に向って隠されたベールを一枚一枚はがしていく。
その快感は、まさしくこれぞ映画という感じ。
その中には、突然のアクシデントで
糸がプツンと途切れてしまうところもあるしね」

----ふうん。で、タイトルの意味だけど…。
「これがほんとうにうまい。
最後にすべて分かるよ。
とにかく期待して観てね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニャンだか、ドキドキしてきたニャあ」いいねぇ

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22 コメント

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かくれんぼする人この指とまれ! (亜蘭真 主美士)
2008-11-26 02:22:21
おひさしぶりです。ようやくカキコミができるようになりました。(9月の終わりと10月のはじめに、我家のフクロモモンガの女の仔、ポヤポヤとヴェヴェが続いて他界しました、で、49日間{それ以上になりましたが}カキコを自粛してました。)で、活動再開です。鬱陶しいかもしれませんが・・・。それで、カキコミやめてて何で復活しようかとかんがえていましたが、内容的にも、同じ喪失感を感じられる作品ということで、これにしようと!!ただ、この作品については、以前に何かの作品のなかで、ふれていましたので、どうしようかと、ただ。そのときは日本語のタイトルはついていませんでした。このタイトルは実にすばらしいです。
特に、たちのところが!!
で、作品ですが、ココのところ、凄く出来のいいホラーを送り出している(RECとかeskalofrioとか)スパニシュホラー(この作品は、ホラー食を前面に押し出さないプロモをするんですね?もったいない感じがするくらいですね。ただ能ある鷹は爪隠すということですか!!)ということで、アメリカンホラー系統の直接的な驚かせ方でなく。いわば昔から日本人のなかにある伝統的な幽霊話のノリで、来るぞ繰るぞという緊張感もあり、ある伝統的な昔からある遊びがベースかくれんぼとかの。(あえてアチラを隠しましたが)それも含めて
我々にはすごく肌が合う気がします。そう、湿気の湿り具合が最高です。(晴れているのに外の空気感もしめっぽい)その気配が喪失感と母性愛をいっそう際出させています。初監督作にしてこの出来はすごいです。今後期待していきましょう!もうじき公開なので、たのしみです。多分、良い反応がかえってくることでしょう!ただ、宣伝戦略うまくいっているのかなあ?
ひと月半カキコミしてなくて、ココに書くのが最初なんて。。。もうちょっとで公開というのに?
まあ、亜蘭真は凄くオススメです。

ところで、ロムっていて気づいたのですが、えいさんのカキコで、色をつかいわけていますが、あれ意味があるんですか?評価によって色分け?それか作品の雰囲気で?(エコっぽい作品にはミドリ色とか??一つの作品でもいろんな色でカキコしているのもあるし??
この作品同様に謎ですな!!猫好きなので、ただの気まぐれとか???でも、これは一番つまらない答えですよね???兎に角?????
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■亜蘭真 主美士さん (えい)
2008-11-27 00:42:15
こんばんは。
どうされていたのかと思っていました。
なるほど、
そのような事情がおありだったのですね。
ぼくも猫を亡くしたことがあるので、
その喪失感は……。

ご冥福をお祈りします。

>色をつかいわけていますが、あれ意味があるんですか?

おおっ。意外とこのご指摘は亜蘭真 主美士さんが初めてです。

正解は「雰囲気」です。
たとえば、プレスに使われている色、ポスターなどの色も参考にします。
とはいえ、バックに文字が溶け込んで読めないときは
その限りではありません。

なお、一つの作品で色がいくつも使ったのは
4人の男女の絡み合いだった『アルフィー』と
画面内の配色に似せた『シェルブールの雨傘』です。
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Unknown (mig)
2008-12-21 14:01:25
えいさんこんにちは。
ご覧になってましたか~!

これ楽しみにしてたので初日に行ったんだけど
ガラガラでした15人くらいかな。
その前の回観た人もガラガラだって、、、。

単なるホラーというんじゃない、
母の想いが描かれた良い作品でしたね。
好みです。
怖いのダメな人にも見て欲しいなぁ。
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こんばんは★ (dai)
2008-12-22 16:50:46
えいさんもかなり満足されたようですね☆
本当に意外な良作でした!!
タイトル(邦題)は妙に巧すぎるように
感じてしまいましたw


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■migさん (えい)
2008-12-22 22:49:30
こんばんは。

ガラガラですか!?
こんなオモシロい映画なのに…。
個人的には『パンズ・ラビリンス』よりも
こちらが好きです。

やはり、賞とか絡まないと難しいのかな。
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■daiさん (えい)
2008-12-22 22:59:56
はい。大満足です。
このタイトル、
観る前は、そんなに深く考えていなかったのですが、
あとで考えると
上手すぎる-----
ちょっとネタバレだけど。
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こんばんは (未来)
2009-01-18 00:07:04
こんなにも怖くて心に響く深い作品には出会ってないような気がします。
特別な残虐シーンなんてあまりないのに、ほんと怖かった・・・
結構みなさんの評価も高いようなんですが、
私が観たレディス1週目は思ったほど入りが良くなく
これって宣伝不足?もったいないです。。
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ベニグナ (にゃむばなな)
2009-01-18 15:50:46
ソーシャルワーカーのベニグナさんなんて存在自体がもはやホラーでしたよね。
倉庫に入ってふと後ろを見たらあの人がいたなんて、怖すぎます。
しかも最後は『ミラーズ』を彷彿とさせるお姿に・・・。

でも映画としては怖さやドキドキ感があれど、最後には涙してしまうほど素晴らしいものでした。
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■未来さん (えい)
2009-01-18 17:07:49
こんにちは。

この映画、最初にプロットをちらり読んだだけで
とてもオモシロそうな気がしたのですが、
まさかそれに加えて、
こんな深みのあるドラマまであるとは思ってもいませんでした。
観たら、だれもが唸らされる、
そんな見事な作品だけに、
もっとヒットしてほしいです。
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■にゃむばななさん (えい)
2009-01-18 17:17:40
こんにちは。
なるほど『ミラーズ』ですか。
でもやはり格の違いを感じました。
ただ怖がらせるだけじゃなく、
母親の悲しみがひしひしと
空気感として伝わってくる。
ほんとうに素晴らし型tです。

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