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ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ローズ・イン・タイドランド』

2006-06-20 22:38:13 | 新作映画
----テリー・ギリアム、精力的だね。
この前、『ブラザーズ・グリム』が公開されたばかりじゃなかった?
「うん。あの呪われた『The Man Who Killed Don Quixote』の不幸以来、
すっかり表舞台から姿を消していたと思ったら、最近またまた大活躍。
やはりただ者じゃなかったね。
この『ローズ・イン・タイドランド』は2004年秋、
『ブラザーズ・グリム』の編集が中断されている時に撮影されたらしい」

----映画ってそんな短期間で撮れちゃうものニャの?
「物語がほとんど一ヶ所で展開。
<ローズの幻想的な脳内冒険>という
その内容が内容だけにポストプロダクションには
けっこう時間がかかったと思うけど、
限定された場所での物語は
こういうときにはいいかもね」

----脳内冒険?それってどんなお話ニャの?
キャロル・ルイスの『アリス』にタイトルが似ているけど?
「主人公はジェライザ=ローズという名の女の子。
彼女には元ロックスターでジャンキーのパパと、
自分勝手なママがいる。
ところがそんなある日、ママが急死。
ローズはパパと一緒に今は亡きおばあちゃんの家へ。
しかし、そこでもパパはドラッグで“バケーション”へ。
見知らぬ土地でひとりぼっちになったローズは、
4体のバービー人形の “頭”と一緒に 冒険を始める」

----えっ、いま“頭”って言った?
「言ったよ(笑)。
ローズは、このバービー人形の頭を
指の先にはめて頭の中で会話している。
このブラックな感覚がテリー・ギリアムらしい部分。
この他にもローズがパパにドラッグ注射を討ったり、
人形の頭の中に脳みそが入ってきたり、
ミイラになった死体の顔がひしゃげたりと、
インモラルな映像が洪水のように溢れ出す」

----いわゆるダークファンタジーってわけ?
「いや、その言葉
ダークファンタジーが持つ湿った感触は
この映画にはまったくと言っていいほどないね。
実際にそう言う言葉があるかどうかは知らないけど、
ぼくはこれを<ブラックファンタジー>と呼びたい。
昔からそうだけど、
テリー・ギリアムの映画って、とにかくけたたましい。
たとえそれがファンタジーであっても狂騒に満ちている。
それでも『未来世紀ブラジル』や『12モンキーズ』のように、
ペシミスティックな要素が絡んで物語にタメが作れたときには、
とんでもない傑作となるんだけど……」

----これはどうだったの?
「どことなく『ラスベガスにやっつけろ』を思い出してしまった。
最初から最後までハイテンションで突っ走るんだ。
後で調べたら
脚本もギリアム&トニー・クリゾーニ。
この『ラスベガスをやっつけろ』コンビだったね。
あっ、それでも巧いなと思ったのはシルエットの使い方。
ローズばかりではなく観客の視覚をも錯誤させるその映像は
彼の才気の片鱗を見せてくれたよ」


          (byえいwithフォーン)

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※テリー・ギリアムはやっぱこれでしょ。


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20 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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気になってます (charlotte)
2006-06-21 21:00:13
こんばんは。

予告編で見てからかなり気になってます。

バービーの頭だけってちょっと不気味。

その「ブラックファンタジー」なる映像と、かわいらしいローズのギャップがまた面白そうです。
返信する
■charlotteさん (えい)
2006-06-23 00:51:40
こんばんは。



不気味なシーンは、まだまだあります。

ホルマリン漬けの×××とか----。

この監督の<毒>はかなりのもの。

確かにロースがかわいいだけに

それがよけいに浮き上がりますよね。

返信する
これは・・・? (とらねこ)
2006-07-02 19:34:47
私も、この映画予告編を見た時からワクワクしていました



早く公開が待ち遠しいです!

「未来世紀ブラジル」ああ、また見たいです・・・。

私は、「フィッシャー・キング」がすごく好きです
返信する
■とらねこさん (えい)
2006-07-02 22:48:03
こんばんは。



そうなんです。

キャストが『フィッシャー・キング』と同じジェフ・ブリッジス。

それだけでもドキドキしてしまいますよね。
返信する
いまひとつ・・・ (ノラネコ)
2006-07-12 01:05:57
個人的には、ギリアムに最盛期のパワーはもう無いかなという気がしました。

予算不足もあったんでしょうが、やりたい事に表現がついていってない様に見えて、今ひとつ何がやりたかったのか判りませんでした。

ただジョデル・フェルランドは凄い。

彼女を見い出して、存分に生かしたのは流石です。
返信する
えぇ、確かに・・ (kaoritaly)
2006-07-12 08:11:04
ブラックファンタジーでしたよね。



笑えるけどブラックでキツイなぁ~と思いましたよ。



映像として、その世界感はブラザーズ・グリムと違ってギリアムらしいと思いましたが、ちょっと後半は・・あとで悩まされました。

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■コメントありがとうございます。 (えい)
2006-07-12 23:27:29
■ノラネコさん



こんばんは。





ノラネコさんがご自分のところに書かれていた



「ローズの想像力が生み出す不思議な世界の描写が、殆んどシークエンスでなくカットでしか描かれない」は、

まさにこの映画の本質をついた言葉だと思います。

『未来世紀ブラジル』にはシークエンスがあったなあ。





■kaoritalyさん



こんばんは。

ブラック、そしてシニカルでしたね。

ジェフ・ブリッジスのおなかがふくらんでいるのは、

あまり見たくない絵です。

返信する
最近ダーク好き (charlotte)
2006-07-13 22:31:47
見てきました~!

好きですね、こういう妄想系。笑

子供に返り楽しんできました。

ここまで想像力豊かな子供が今どの位日本にいるのか・・・こういう想像力なくして未来の映画界はありえません。笑

と、大袈裟ですが。豊かな心こそ子供たちには必要かなって思ったりもしました。

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■charlotteさん (えい)
2006-07-14 00:05:19
こんばんは。



とても気に入られたようですね。

なるほど<妄想系>ですか。

これはいい言葉ですね。

これから使わせてもらおうっと(笑)。
返信する
少女の涙 (パフィン)
2006-07-14 21:39:42
えいさま、こんばんわ。



ジェライザ=ローズは何度も読み返している

「不思議の国のアリス」をお手本にして厳しい

現実に対処しようとし、その結果、空想の迷路に

迷い込んでいたのだとラストシーンで思いました。

返信する

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