ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『パラノイドパーク』

2008-02-17 20:47:33 | 新作映画
(原題:Paranoid Park)


「こういう映画がいちばん苦手だなあ」
----ん?これってガス・ヴァン・サントの新作だよね。
確か、事故とはいえ人を殺してしまった少年が
後になって、その事実の重さに気づく…そんな話じゃなかった。
「そう。一言で言えばね。
撮影にクリストファー・ドイルを迎えていて、
それだけでこの映画が、
お話を語るタイプのものじゃないことが分かる。
映像で表現領域を広げていってるんだ」

----なんだ。分かってるじゃニャい。
「うん。このくらいはね。
でも、海外、特にフランスのレビューなんか読むと、
あ~あ、自分はなんにも分かっていないと落ち込んでしまう」

----たとえば?
「その前に、このタイトルの意味から。
この映画は、ポートランドに実在する
バーンサイド・スケートパークというのが舞台。
もともとは麻薬密売人や娼婦がたむろしていたところに、
スケートボーダーや地が勝手にセメントを流し込んで作ったらしい。
この主人公の少年アレックスは、
ある日、そのパークで不良グループに声をかけられて
貨物列車の飛び乗りに誘われる。
ところが一人の警備員が彼らに気づき、
警棒で殴って降ろそうとする。
スケートボードで警備員を振り切るアレックス。
そのとき、警備員はバランスを崩して別の列車の下敷きに。
この後の映像が凄まじく、息を飲んでしまう」

----お話だけだと、分かりやすそうだけど…。
「じゃあ、そろそろフランスのレビューを紹介。
まず『ル・モンド誌』
『殺人が起こり、アレックスがその重大さに気づくまでには時差がある。
(中略)
本作の演出の原則は、アスファルトの危険に対峙するスケートボードの原則でもある。
ジャンプの完璧な空中芸の高揚感、
けたたましい音をともなう着地による現実回帰、
その相反する両極間の往復運動は、
我に帰ったアレックスの現実回帰の衝撃度に連動している」

----スゴいこと言うニャあ。
「次に『カイエ・デュ・シネマ誌』。
『原作では主人公は現実の世界との直面を余儀なくされ、
自分の行為の責任をとることで、
イノセントな時代との決別を迎えるが、
映画では、
事故がむしろヴァン・サントの小天使を解放し、
テーマパーク(遊園地)に姿をかえた世界の運動や物質の
美学的な発見へと少年を誘うのである』」

----頭、痛くなりそう。
「ぼくなんて、この映画、何か言うとしたら。
ヒッチコック『サイコ』の引用としてのシャワーのシーン、
そしてフェリーニ映画の音楽くらい」

----えっ?フェリーニ映画?
「うん。『魂のジュリエッタ』と
『フェリーニのアマルコルド』の音楽が使われているんだ。
そこはちょっと驚きだよ」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「よく分からないニャあ」小首ニャ

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※スゴいのは確かだけ度

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