----これジャン・レノとは思えないね。
髪はシルバーだし、顔もいつもより厳つい。
「うん。実はこれに加えて十字架のタトゥまでしているんだ。
最初、ジャン・レノ主演のアクションと聞いて
あまり期待はしていなかったんだけど、
これは意外・・・と言っては失礼か。
なかなかの拾い物だったね」
----ジャン・レノって『レオン』と言う名作があるよね。
どうして期待しなかったの?
「だってあの作品以降、
彼の主演映画はどれもぱっとしない。
あの重たそうな瞼そのままに、
シャープさに欠けた寝ぼけた作品が多かった。
それでも監督が『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のクリス・ナオンと聞いて
少し興味が出てはいたんだ。
リュック・ベッソンが製作に回ったヨーロッパ・コープ作品の中で、
あの映画は群を抜いてオモシロかったからね」
----でもあの映画も構図は『レオン』そっくり。
だからオモシロく感じたんじゃないの?
ま、いいや。で、結果はどうだったの?
あ、そうか拾い物だったね。
「この映画、実はミステリー仕立てになっている。
一つはマインド・コントロール、
そしてもう一つは政治色を持ったトルコの新興宗教集団。
この二つの話が別々に進み、
やがてそれが一つになると言う構成。
まあ、それだけならよくあることかもだけど、
それぞれの話が凝っていて、
それだけでも一本の映画として成り立つくらいよくできている。
原作は『狼の帝国』。
『クリムゾン・リバー』のジャン=クリストフ・グランジェの
ベストセラーと聞けば、なるほどそれも納得だ」
----どんな話なの。さわりだけでも教えてよ。
「アンナという名の女性。彼女はなぜか夫の顔を覚えていない。
しかも夫に子供が欲しいと言うと、
夫は『お前が望まないから作らなかった』と、
自分が言うはずもないことを言う。
このあたりでは、また『頭の中の消しゴム』かとも思ったね。
時を同じくしてパリ10区のトルコ人街では連続殺人事件が発生。
3人の犠牲者は身元が判明できないほどに切り刻まれている」
----ふうむ、これは二つを結びつけるのが難しそうだ。
「でしょう?
しかもここまでは言ってもいいと思うけど、
その女性アンナは最初、夫が整形したのではないかという疑いを抱き、
それがきっかけでとんでもない<事実>を知ってしまう。
そして彼女がその<事実>に気づいたとたん、
警察の治安部隊が動き出す」
-----ひえ~っ。どうなるんだろう?
「ところが彼らに対し、アンナは互角以上の戦いをやってのける。
逃げ方も堂に入ってるんだ。
もちろんその理由も後に明らかになるけどね」
----ふ~む。それはそうとジャン・レノはどこに出てくるのよ?
「彼が登場するのはもう一つの連続殺人事件の方。
刑事局の若き刑事ポール・ネルトーは
トルコ人の裏社会に精通し組織からも一目置かれているジャン=ルイ・シフェールに接触。
このシフェール、ダーティな捜査のやり口から暴力と汚職の噂が絶えない」
----分かった。それがジャン・レノでしょう。
『クリムゾン・リバー』シリーズでも若手刑事と組むものね。
「正解(笑)。
ところが今回は、かなり強烈。
トルコ人の組織に乗り込んで
ボスに白状させるため指を切断したりまでする。
彼の動き自体がミステリアスで、
その真意がどこにあるか分からないところが
この映画最大のポイント。
彼は果たして善なのか悪なのか?------
そのキーワードとなるものが
いつ映画に出てこないとも限らないため、
観る方はかなり緊張を強いられる」
----ニャルほど、そう言うことか。
「映画を通してずっと雨が降っているんだけど、
映画から受ける印象は、『セブン』のように陰鬱ではなく逆にパンキッシュ。
というのもシフェールは花柄のシャツなんかを着ているんだ。
まじめに捜査しているようにはとても感じられない。
いかにも裏に何かありそうな感じだ。
この画作りの妙が観る方の頭を混乱に陥れる。
映像が物語を牽引していく映画、
やはりこれはぼくの好きなタイプの作品だな」
(byえいwithフォーン)
※意外な拾いものだ度
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
※画像はフランスのサイトのwallpaperです。
髪はシルバーだし、顔もいつもより厳つい。
「うん。実はこれに加えて十字架のタトゥまでしているんだ。
最初、ジャン・レノ主演のアクションと聞いて
あまり期待はしていなかったんだけど、
これは意外・・・と言っては失礼か。
なかなかの拾い物だったね」
----ジャン・レノって『レオン』と言う名作があるよね。
どうして期待しなかったの?
「だってあの作品以降、
彼の主演映画はどれもぱっとしない。
あの重たそうな瞼そのままに、
シャープさに欠けた寝ぼけた作品が多かった。
それでも監督が『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のクリス・ナオンと聞いて
少し興味が出てはいたんだ。
リュック・ベッソンが製作に回ったヨーロッパ・コープ作品の中で、
あの映画は群を抜いてオモシロかったからね」
----でもあの映画も構図は『レオン』そっくり。
だからオモシロく感じたんじゃないの?
ま、いいや。で、結果はどうだったの?
あ、そうか拾い物だったね。
「この映画、実はミステリー仕立てになっている。
一つはマインド・コントロール、
そしてもう一つは政治色を持ったトルコの新興宗教集団。
この二つの話が別々に進み、
やがてそれが一つになると言う構成。
まあ、それだけならよくあることかもだけど、
それぞれの話が凝っていて、
それだけでも一本の映画として成り立つくらいよくできている。
原作は『狼の帝国』。
『クリムゾン・リバー』のジャン=クリストフ・グランジェの
ベストセラーと聞けば、なるほどそれも納得だ」
----どんな話なの。さわりだけでも教えてよ。
「アンナという名の女性。彼女はなぜか夫の顔を覚えていない。
しかも夫に子供が欲しいと言うと、
夫は『お前が望まないから作らなかった』と、
自分が言うはずもないことを言う。
このあたりでは、また『頭の中の消しゴム』かとも思ったね。
時を同じくしてパリ10区のトルコ人街では連続殺人事件が発生。
3人の犠牲者は身元が判明できないほどに切り刻まれている」
----ふうむ、これは二つを結びつけるのが難しそうだ。
「でしょう?
しかもここまでは言ってもいいと思うけど、
その女性アンナは最初、夫が整形したのではないかという疑いを抱き、
それがきっかけでとんでもない<事実>を知ってしまう。
そして彼女がその<事実>に気づいたとたん、
警察の治安部隊が動き出す」
-----ひえ~っ。どうなるんだろう?
「ところが彼らに対し、アンナは互角以上の戦いをやってのける。
逃げ方も堂に入ってるんだ。
もちろんその理由も後に明らかになるけどね」
----ふ~む。それはそうとジャン・レノはどこに出てくるのよ?
「彼が登場するのはもう一つの連続殺人事件の方。
刑事局の若き刑事ポール・ネルトーは
トルコ人の裏社会に精通し組織からも一目置かれているジャン=ルイ・シフェールに接触。
このシフェール、ダーティな捜査のやり口から暴力と汚職の噂が絶えない」
----分かった。それがジャン・レノでしょう。
『クリムゾン・リバー』シリーズでも若手刑事と組むものね。
「正解(笑)。
ところが今回は、かなり強烈。
トルコ人の組織に乗り込んで
ボスに白状させるため指を切断したりまでする。
彼の動き自体がミステリアスで、
その真意がどこにあるか分からないところが
この映画最大のポイント。
彼は果たして善なのか悪なのか?------
そのキーワードとなるものが
いつ映画に出てこないとも限らないため、
観る方はかなり緊張を強いられる」
----ニャルほど、そう言うことか。
「映画を通してずっと雨が降っているんだけど、
映画から受ける印象は、『セブン』のように陰鬱ではなく逆にパンキッシュ。
というのもシフェールは花柄のシャツなんかを着ているんだ。
まじめに捜査しているようにはとても感じられない。
いかにも裏に何かありそうな感じだ。
この画作りの妙が観る方の頭を混乱に陥れる。
映像が物語を牽引していく映画、
やはりこれはぼくの好きなタイプの作品だな」
(byえいwithフォーン)
※意外な拾いものだ度
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※画像はフランスのサイトのwallpaperです。
しちゃいました。
「雨」に関しては、全く意識しなかったので、
なるほど!と思いました。
映画の場合、雨のシーンはそのほとんどが
降雨装置を使って行なわれます。
映画に情感が出ることと、
あとスタッフ&キャストの意識が映画に集中するからで、
故・伊丹十三監督は、
そのスタッフへの効果も狙って
新しい映画を作るときには
雨のシーンから撮影を始めたりしていたこともあるそうです。
というわけで、
雨のシーンには何か意味があると思った方がよく、
映画で雨が降ると
いつも私は、おおっと気にしてしまうのでした。
ほどほどのジャン・レノが功を奏した?
のでしょうか。
それにしてもキャラの顔が濃いですね。
バター顔の男たちだらけ。
あと、あのトルコの偶像が怖かった。
もう一度じっくり観てみたいと思います。
ぼくはこの映画のジャン・レノは
その汚れぶりが好きです。
他の映画では、
いくら崩してもダンディが残っていたのに
この映画には微塵もない。
そこがオモシロかったです。
ジャン=レノ渋かったなぁ~~。
ジャン・レノがいつもと違った所が私も好きです。
こういう方が好みかも。
まじめそうではないけど、やり方はどうあれちゃんと仕事をしているご様子(笑)でも、やりすぎ。相手は痛そう…!それにフランス人て傘をささないのかしら??
結構疲れましたが良質な作品だと思います。
ジャン・レノってその名も雑誌『レオン』のように、
スーツを着こなすダンディなおじさんのイメージ。
でもこういう汚れ役、なかなかあっていました。
コメントありがとうございます。
『キング・コング』評、ちらり読ませていただきました。
でもまだ観ていないので寸止め。
楽しみにしています。
ダーティーな刑事を演じているジャンレノ素敵でしたね。
映画を観ていてストーリーにかなり引き込まれたので、原作も読んでみたいなって思いました。
ジャン・レノって狙いすぎている気がして、
これまであまり好きではなかったのですが、
ここまでダーティに徹し、
ハードボイルド色を前面に出していると、
やはり引かれるものを感じてしまいます。
う~ん。結局、実力派だということなんでしょうね。