ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

近江鉄道の今後は?

2019年07月31日 23時31分30秒 | 社会・経済

 昨日(2019年7月30日)の3時付で、朝日新聞社のサイトに「滋賀)近江鉄道の存続方針、県など参加の法定協で議論へ」という記事が掲載されました(https://www.asahi.com/articles/ASM7Y3Q1DM7YPTJB002.html)。

 近江鉄道は西武グループの会社ですが、鉄道事業の赤字が1994年度から24年度連続しています。2017年度の赤字は3億5千万円を超えています。同年度の輸送人員は約479万人ですが、かつてレールバス(富士重工業製のLE-10形)を導入したこともあるほどですので、輸送密度の低さがうかがわれます。私は、東海道新幹線を利用する際に車窓から眺めたことがあるくらいで、一度も利用したことはないのですが、沿線の様子からして乗客は多くなさそうであると感じました。

 同社が沿線自治体に協議を求めたのは2017年12月のことで、2018年12月になって近江鉄道、滋賀県、沿線の10市町、大学教授などによる調整会議が発足となりました。2019年2月4日には、東近江市役所において調整会議の会合(第2回)が開かれており、10月に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(以下、地域公共交通活性化法)第6条に基づく法定協議会を設置する方針が示されていました〔2019年2月5日13時14分付で京都新聞社のサイトに掲載された「赤字の近江鉄道、存廃めぐり法定協設置へ 沿線の滋賀10市町」(https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190205000077)によります〕。

 そして、7月29日、再び調整会議の会合が開かれ、近江鉄道の運営体制については10月に設置される法定協議会に委ねることが確認されました。8月末には首長会議が開かれ、その上で法定協議会が設置されることとなります。

 法定協議会ではアンケート調査、パブリックコメントなどが実施され、2020年度中に地域公共交通活性化法第5条に基づく地域公共交通網形成計画が作成されることとなっているようです。また、2022年度には「新たな運営体制に転換するスケジュールを想定している」とのことです(上記朝日新聞社記事によります)。

 近江鉄道は鉄道事業の分社化を一つの選択肢として示したようです。これは静岡県の岳南鉄道や島根県の一畑電気鉄道などでも実施された方法で、岳南鉄道の場合は不動産事業などを岳南鉄道自身が保有し、鉄道事業を子会社の岳南電車に移管しました。一畑電気鉄道も同様です(ちなみに、分社化を先に行ったのは一畑電気鉄道です)。ただ、この場合には上下分離方式が採られる可能性もあるので、滋賀県や沿線10市町の経済的(財政的)負担も考えられます。一畑電車については、分社化したところで乗客減少の傾向は変わっておらず、延命治療のようなものにすぎないのかもしれません。

 他の選択肢は、路線バス化、BRT化です。通勤、通学の事情にもよりますが、BRT化の可能性もある、というより、BRT化が最善かもしれないと考えています。輸送量によっては鉄道を維持する意味がないからです。また、鉄道よりバスのほうが機転が利くという事実も否定はできないですし、鉄道の運転士になるよりは自動車の運転免許を取得するほうが容易であるということも指摘しておく必要はあるでしょう(但し、大型自動車免許、二種免許となると少々話は変わりますが、私も二種免許を取得しようと思えばできますし、大型自動車免許も同様です)。

 西武グループがどのように考えているのか、よくわからないのですが、近江鉄道の鉄道事業の存続については消極的な姿勢を見せている、ということなのでしょう。

 これは、一度、近江鉄道の実情を見に行く必要があるでしょう。近鉄の路線であった内部線・八王子線の時のように

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