薄紫のカーテンをひき
月を縛ってしまおう
わずかな光でも
人間の痛みを照らそうとする
甘い月の光を
永遠に遮ってしまおう
人間はもう
あんなものはみんな嫌なのだと
言ったのだ
憎悪の生えてくる根元には
痛い傷がある
いやなことをしてしまった
馬鹿なことをしてしまった
二度とあんなことになりたくない
痛い記憶の暗闇を
強引に狭めて
虚無の奈落に落とし込もうとした
そうすればするほど
月が憎くなったのだ
永遠に愛しているよと
涼やかな光を垂らしてくれる
あれが嫌になったのだ
あまりにきれいだから
わずかな光でも
自分の傷はくっきりと見える
嫌だったのだ
嫌だったのだ
あれを思い知るのは
自分はなんでこんなに
馬鹿で醜いのかと
なんでこんなに小さいのかと
全身が奈落の傷に染まり
自分そのものが嫌だという憎悪を
人間は月に向けて
月を消したのだ
もう二度と
あんなものはいやだと言って
もう二度と
もう二度と
こんな自分を思い出すのは
いやだと言って
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