月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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プロキオン・11

2017-06-26 04:14:58 | 詩集・瑠璃の籠

紺青の冬空に
白い小犬の星は澄む

蝉の鳴かぬ夏はない
雪と氷の静寂に冬は忍ぶ
春はほほえみ
秋は目を伏せる

かなしいものたちよ

小さいものたちよ

おまえたちの生きる痛みは
どのようなものだろう

いたいと
おまえが感じられるようになるまで
神がおまえのために
何をしてくださったかを
おまえはいつ
知ることができるだろう

空に流れる銀河の音を
耳ではない耳によって
聞くことができるようになるのは
いつのことだろう

何も知らない阿呆でいられる間は
おまえたちは常に
神のむねを泳いでいる
そのかわいい暮らしを
その幸福を
いつ
いとおしむことができるだろう

わたしは
おまえたちを見る
愛をつつんだ
澄んだ悲しみに高まる
それが
厳の目というものだ
悲しみに似ている

小さなおまえたちも
はるかな時の向こうには
このわたしのようになるのだ

おまえたちを
頬にふれるまで見に来ていた
月の暖かな愛を
いつ
おまえたちは知ることができるだろう
赤子のようにかわいい
あの愛を

あれの
正体を

おまえたちはいつ
知ることができるだろう




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