月の岩戸

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アポリュオン・3

2018-02-24 04:14:38 | 詩集・瑠璃の籠

人間の目をしたものは助かるだろう
そうでないものは破壊されるだろう

人間の紋章であるその目が
過ぎ越しのしるしとなる

馬鹿なことをしすぎて
人間のしるしを失ったものは
激しく悔いるがよい

破壊されたものは
すぐに死にはしない
消滅することもない

自分自身の残骸として
おめおめと生きることになる
この世の縁にすがりつき
人間を落ちたものとして
馬鹿にされながら
恥をかきながら
生きる

水を飲むことにさえ
脅えを感じる
食べ物を買う時にさえ
いやなことをいわれる

二度とない
人生の
最後の残りを
馬鹿の末路を
神話の中に描くために生きる

なぜそんなことになったのか
馬鹿が何も知らないくせに
偉そうに言ったからだ
おれはなんでもできると
悪こそが世界の覇者なのだと

おまえたちが永遠の恥をかかないために
最後まで守ってくれようとした月を
消したからそうなったのだ
愚か者め
思い知るがよい

絶望の淵にいて
だれにも相手にされず
なにもできない馬鹿と言われながら
人間ではなくなった人間の
残骸として生きることを
存分にかみしめていくがよい




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