月の岩戸

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アルデバラン・40

2018-02-25 04:14:40 | 詩集・瑠璃の籠

低空に吹きだまる闇の中で
永遠に幸せになろうとしても
できはしない

おまえは自分だけが幸せになろうとして
すべてのものをみなから奪うからだ

花に住む妖精のように
時折おまえを訪ねる愛の光を
カタツムリのように捕まえてつぶし
ガラクタと一緒に捨てて
何も思うことができないからだ

今のおまえには
自分の苦しみしか見えない
閉じた自分の中で
いやらしい孤独を塗った
性欲の染み込んだ羨望の柱に
巣くう白蟻のように
自分を噛んでいることしかできない

その苦しみから逃げようとして
おまえはいつも
うらやましい他人からものを盗むのだ
時には
決して盗めないものを盗もうとして
むごく人を殺すのだ

苦いことをし続けている限り
どんなにごまかしても
おまえは幸せになれはしない
もうやめよ

おまえが抱きかかえている
幸福の種だと思い込んでいるもの
そのものが
おまえの不幸なのだ

そんなものはかなぐり捨て
裸のまま
愛に飛び込んでくるがいい
拙いことを恥じるではない
必ず生きる場所はある

裸のままの自分で
おまえにできる清いことをするだけで
おまえはずっと幸せになれるのだ




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