サビク・３５

心から愛しているものが
消えてしまう
永遠に見えなくなる
それほどつらいことはありません

あの人に会いたくとも
会えなくなるのだ
声を聞きたくとも
聞けなくなるのだ

あきるほど見て知っている
あの人のまなざしも
あきるほど聞いて知っている
あの人の言葉も
もう二度と
感じることができなくなるのだ

あの人がいれば
幸せだった時を
すべて失うのだ

時に苦しいことがあっても
そこからまた
新たなものが芽生えてきた
美しい思い出ができた
人というものは
誰かとかかわりあって
自分をも美しくしていくものだから

あの人がいただけでできていた
すべてのことがもう
できなくなるのだ

あなたがたは
そんなものを失ったのだ
愛していたのに
愛するのがいやだと言って
奴隷にならなければ許さないと言って
存在をすべて拒否したのだ

そこから生まれる
氷よりも冷たい寒さを
永遠に着ていかねばならない
脱ぐことはできない

心から愛しているものを
それゆえに激しく憎悪し
抹消してしまった

そのことから起こるすべてのことを
味わっていきなさい