月の岩戸

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ヴィンデミアトリックス・32

2018-02-07 04:14:09 | 詩集・瑠璃の籠

木のこずえに釣り糸を垂らして
魚を釣ろうとした馬鹿な女が
総勢で人類を落ちた

自分よりかわいい女に嫉妬して
始終影からのぞきながら
今にも浮気をしないかと
今にも夫を馬鹿にしないかと
見張っていたのだ

目を皿のようにして
神のあらをさがす
果てしない枯れ野を迷い
宝石の居城を探す

塗りこめた闇に
本当の自分を隠し
たくみな嘘を衣にして
野獣のような美女になり
すべての男を従わそうとする
馬鹿な女はすべてが落ちた

枕辺にささやく
死のさざなみに触れながら
それにしびれて
どんどん自分が老いていく
どんどん自分が醜くなっていく
脅えた女は
ああ
あの女を不幸のどん底に
叩き落してやると
永遠に呻き続けるのだ
馬鹿な女は逃げるところがない

吐き積んだ醜い糞の中に埋もれ
それを全部食うがいいと言われ
糞ごとこの世界を追い出される

涼やかな美の大樹の
金色の豊かな梢で
魚を釣ろうとしても
何も釣れはしない

女の甘さというのはそういうものだ
実に愚かで醜い




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