月の岩戸

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アルドラ・8

2017-06-28 04:14:44 | 詩集・瑠璃の籠

幼児性のプライドの正体は
暗黒期に生じる弱さゆえの痛みです

まだ小さく
おのれの輪郭さえ不確かなものは
ただ外界への恐怖にのみ動かされている
自分を守るという概念さえまだなく
痛いということに
反応して動く

そこから自己保存欲というものが発展し
おのれのみを偉大だと感じる
幼児的な自己ができるのです
彼は自分が自分であるというだけで
何でもできると思っている
外界にあるものは馬鹿だと
単純に思っている

高山の巌の上に立つ虎は
自分を世界の支配者だと思っています
世界はすべて
自分のものだと思っているのです

自分というものは
そういう自分自身の単純な唯一性の門をくぐって
生まれてくるのです

黎明よりはるかに前の
暗黒の段階にいる自己の
単純な独裁性を頼り
すべてを馬鹿にしてしまうのが
幼児性のプライドというものです

自己存在は他者の存在を知り始めると
恐怖というものを感じる
その恐怖に圧倒される前に
自分を守ろうとし
その杖として
幼児性のプライドを採用する
自分は自分であるゆえに
絶対に偉いのだと
それに歯向かう者は絶対に悪なのだと

これはもちろん
自己存在の幼期には役に立ちますが
いつまでもこだわっていれば害になります
自分を守るためにだけ
あらゆる他の存在を愚弄し
世界をかき乱す悪に発展するのです
ですから自己存在というものは
切のいいところで
それを捨てなければならないのです
空蝉のように

弱いものだと信じ込んでいる自分を
守るために
あくまでもそのプライドを守り
他者を愚弄する態度を改めなければ
自己存在は究極の限界を越えます
自分というものを馬鹿にしすぎて
自分ではないというものになってしまうのです

自己存在は勉強を怠ってはなりません
あらゆる存在を知り
その悲しみを知り
愛することを重ねていかなければ
永遠の幸福にはたどり着けない

その着古した毛布のようなプライドは
もう捨てなさい
持っているだけで
あなたは自分を滅ぼしていることになる
嫌なことではない
それは捨てたほうがいいものなのです
捨てたほうがずっと
幸せになれるのです




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