月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ルナ・32

2017-06-07 04:15:53 | 詩集・瑠璃の籠

潮騒は
永遠の岩戸の
蓋のようだ
やわらかいのに
すぐにくずれてしまうのに
繰り返し絶え間なくやってきて
わたしを閉ざしてしまう

もうわたしは
永遠に会えないのだ
あなたがたとは

はるかな昔に
厳しい冬の時代に
吹雪を避けて閉じこもった洞窟の中で
わたしと抱き合ったことを
あなたは覚えているかい

あなたはおびえていて
とても寒いのがつらくて
わたしに甘えてきたのだ

わたしは
そんなあなたが
たまらなくかわいくて
抱きしめてしまったのだ
ささやいたことばを
覚えているかい

愛しているよ
いっしょにいよう
抱き合いながら
助け合いながら
みんなで耐えていくのだ

あのとき
耐えていけたね
なんとかしていけた
つらいことはいくらもあったけれど
みんなで生き抜けたのだ

わたしはもう
すべてを忘れていく
だがあなたがたは
覚えていてくれるだろうか
遠い遠い昔
深く愛し合ったことがあった
あの冬の洞窟のことを




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