ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

子宮頸がんワクチン、11~14歳へ優先接種を 日本産科婦人科学会など3学会が提言

2009年10月19日 | 婦人科腫瘍

子宮頸がんワクチンが正式承認され、年内にも発売されます。日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本婦人科腫瘍学会は、11歳~14歳の女子に優先的に接種し、費用は公費負担にするように連名で提言しました。ワクチン接種により、将来的に子宮頚がんが7割以上減ると見込まれるので、接種費用を公費負担としても医療費は抑制されるとしています。

ワクチンは3回の接種が必要で、全額自己負担だと3~4万円かかります。欧州や豪州、カナダなど26カ国では全額公費負担または補助が行われていて、接種率が9割に上る国もあります。厚生労働省は接種費用をどうするのかまだ決めてませんが、もしも全額自己負担ということになったら接種率はかなり低くなってしまうことでしょう。

子宮頚がんはありふれた病気で、当院でもほぼ毎週のように新たな子宮頚がんが見つかり、多くの子宮頚がんの手術(円錐切除術、単純子宮全摘術、広汎性子宮全摘術など)を実施していますし、放射線治療も多く行われています。子宮頚がんで亡くなる患者さんも毎年少なからずいらっしゃいます。

子宮頸がんワクチンを11歳~14歳の女子に公費負担で接種するという政策は、国家戦略として、次世代での子宮頸がんの発生率を減少させる試みです。決して税金の無駄遣いにはなりません。ぜひとも公費負担にしていただきたいと思います。

子宮頸がん予防ワクチン承認決定、国内初

****** 読売新聞、2009年10月16日

子宮頸がん予防ワクチンの製造販売を承認…厚労省

【要約】 厚生労働省は16日、子宮頸がんを予防するワクチン「サーバリックス」の製造販売を承認した。子宮頸がんワクチンの承認は国内初。子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、7割を占める2種類のウイルス感染を防ぐことができると期待されている。ただ、ワクチンは3回の接種が必要で、費用は4万~6万円程度かかる見込み。日本産科婦人科学会などは同日、政府に対して11~14歳女児への無料接種などを求める声明を出した。子宮頸がんは、年間1万人以上が新たに発症し、約3500人が死亡している。特に近年、20~30歳代の若い女性で発症者が増加している。

(読売新聞、2009年10月16日)