goo

カラムシ・1~開花

 蓮生寺公園の藪に蔓延っている「カラムシ(苧・茎蒸)」。イラクサ科カラムシ属の多年草で雌雄同株。雌花序は茎の上部に付き、雄花序は下方に付く。写真は雄花で4つの花被片と4つの雄蕊がある。別名には「マオ(苧麻)」「チョマ(苧麻)」「アオソ(青苧)」などいろいろあるようだ。
 カラムシは茎から丈夫な繊維が取れるため、有史以前から栽培されている。戦国時代では、上杉謙信の越後の国が一大産地だったため、謙信はこの栽培を奨励し、上杉家が米沢藩に転封された後も栽培は続けられた。のちに米沢藩の特産物になった青苧の専売を巡って2派が争う “青苧騒動” も起きている。
 木綿の普及でその需要は次第に減っていったものの、新潟県南魚沼市や小千谷市で生産される “越後上布(えちごじょうふ)” や、縮織の “小千谷縮(おぢやちぢみ)” の伝統は引き継がれており、これらは昭和30年(1955年)に国の重要無形文化財に指定され、更に平成21年(2009年)にはユネスコの無形文化遺産にも登録されている。越後上布は軽く透けるような薄さの布で、これはカラムシの皮を剥ぎ、繊維だけにして乾燥させたもの(青苧)を、更に爪で裂き、口に含みながら撚りつないで出来る。
 新潟だけでなく、静岡では明治時代初期に、清水の次郎長が富士山裾野の開墾地で行った社会事業でもカラムシ栽培が行われていた。(日本経済新聞社:諸田玲子著『波止場浪漫』より)
  一方 “ちりめん” と呼ばれる織物があるが、その原料は絹糸であり、これは丹後地方の “丹後ちりめん” や、滋賀県長浜の “浜ちりめん” が有名。以前も触れたが、水戸の黄門様がドラマの中で身分を隠すために “越後のちりめん問屋のご隠居” を名乗ったが、ちりめんの産地は丹後や長浜であり、おそらく越後には “ちりめん問屋” は無く、あるとすれば “ちぢみ問屋” だったと思われる。
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )

ホオノキ・3~果実

 モクレン科モクレン属の「ホオノキ(朴の木)」。樹高は20メートル以上にもなる落葉高木で、初夏に直径20センチほどの花を咲かせ、秋に長さ15センチほどの果実が熟す。果実は袋果が集まった集合果で、熟すと中の種子が糸でぶら下がる。出来れば次はその様子を観察してみよう。
コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )