奇想庵@goo

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ガンパレの思い出その1

2007年02月13日 23時07分30秒 | アニメ・コミック・ゲーム
2月の目標である、毎日1記事。しかし、ピンと来るテーマが浮かばなくて焦る。そこで、過去何度か書いた気もするが、私にとって特別なゲーム、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』のことを取り上げる。

2000年9月。
ゲーム好きではあったが、その当時は無難なタイトルしかプレイしてなかった頃だ。たまたま、新しいゲームがやりたくなった。当時ファミ通を購読していて、クロスレビューでそれなりに評価の高かったソフトに興味を持ったのが始まりだった。ネット環境にはあったが、週に2、3回しか繋がない生活だったのだが、その時何故かそのソフトのサイトを訪れた。FF9はネット情報を頼りにプレイしたりしたが、ゲームのためにネットで調べるなんてことはほとんどしなかったのに、本当に気まぐれだった。行った先は発売元のSCEIのサイトで、それを見て購入を決意した。
発売日当日。地元には売ってなくて、梅田で買った。たぶんそれが最後の一本だったと思う。すぐに引き込まれた。そのことを友人に話すと、「電撃PlayStation」で攻略記事が載っていると教えてもらった。電プレを買うのはそのときが初めてだった。今も大事に取ってあるVol.156号。6ページにわたる攻略記事と、4ページのはじめて物語。そして、ここに小さくアルファ・システムの公式サイトが記載されていた。

私にとってガンパレは、プレイ時間は実はそう多くない。エヴァがそうだったように、ガンパレは、ガンパレを巡る言説こそに引き込まれていった。もちろんゲーム自体が面白かったのは確かだ。欠点もあるが、独自性は魅力的だし、キャラクター、システム、シナリオどれをとってもユニークで楽しかった。
でも、それと同時に、あるいはそれ以上に、楽しかったのがネット上でのガンパレだった。初めて公式サイトを訪れたのは10月中旬頃だったろうか。最初はROMだった。ネットは当時は見るものであって、参加するものではなかった。その頃、公式サイトでは、訪問者にこのゲームの「ガヴァナー」(統括者?)であった「やがみ」さんが懇切丁寧にレスをつけていた。それだけで驚きだった。
初期出荷分はすぐに売り切れ、追加生産分もなかなか出回らずに入手困難と言われた時期だ。発売延期の余波で広告費がほとんどなくなってしまったゲームだったが、ネットを通じた口コミなどで、徐々に広まりつつあった。当時のプレイヤーはこのゲームを埋もれさせてはならないという使命感さえ覚えていた。私も友人に買わせたりしたが、そんな思いを抱かせるゲームだった。

電プレのプッシュはあったものの、他のゲーム誌は完全に沈黙していた中で、まったく無名のゲームを支えたのはファンの熱意だった。当時その中心が公式サイトだったことは間違いない。公式サイトの掲示板で取材の申し込みが行われるなんて滅多にあるものじゃない。何人かのライターたちは、場違いな場でこのゲームをプッシュした。BL系雑誌の『JUNE』やアメリカンフットボール専門誌『TOUCHDOWN』で熱心にこのゲームが取り上げられた。またSFオンラインの記事もその熱意は相当なものだ。
事件が起きたのは12月に入って間もなくのことだ。世界の謎掲示板で繰り広げられたゲーム・ガンパレ23。ゲームの設定をもとにそこに仕掛けられた7つの論理トラップを解くという一種のテーブルトークゲームが行われた。それは製作者からのボーナスゲームと言えるものであったが、そこで明るみにされた様々な裏設定の数々への強烈な反発も巻き起こし、ファン層の二極化が引き起こされたのも事実だ。
私はこのゲームに夢中になった口である。リアルタイムで進行する知的ゲームなんてそう体験できるものじゃない。参加しないともったいない。この頃には毎日ネットに接続するのが当たり前になっていた。また、当時はテレホだったので、夜11時以降しか繋いでいなかったのに、このゲームに参加するため、時には昼も繋いだりしていた。まあひどい風邪を引いてしまって、実際に書き込めたのは2回きりだったのだが。

公式サイトの常連が参加するチャットがあった。ガンパレのファンサイトの草分けとも言えるサイトで、公式でもほとんどROMだった私にとって憧れの場所だった。謎ゲームが終わった後、そのチャットに「やがみ」さんが降臨したのを見たときは、本当に羨望の眼差しだったと思う。とうとう一度もそのチャットに書き込むことはなかった。

2000年のうちにそのゲームも終わり、公式サイトの騒乱は落ち着くかに思えた。しかし、それはまだ祭の前夜祭に過ぎなかった。謎ゲームは製作者が作り出した祭だったが、2001年になって公式サイトの掲示板のひとつ、ファンパレで繰り広げられた祭はファンの手によって自然発生的に行われた祭だった。
1月から3月にかけて、ファンたちは記事を書き込みまくった。しかも、驚くべきことに煽りや荒らしはほとんどなかった。ゲームへの思い、キャラへの愛、ファン同士の交流、様々なネタ、ありとあらゆることが詰め込まれ、独特の場を作り上げた。年末あたりから入手が容易になり、それによって増えたプレイヤーややり込んだプレイヤーたちが融合した時期。ゲーム大賞ノミネートなど、最も勢いに乗っていた時期。攻略本の発売やCDドラマなど新展開が見え始めた時期。まさに祭と呼ぶにふさわしい時期であり、楽しむためならなんでもありな時期だった。
この祭が私に書き込む喜びを教えた。レスをつける楽しさ。更にスレッドを立てる面白さ。何よりレスをもらう喜び。みなが仲間意識を持ち、しょーもないスレッドにも熱心にレスをつけてくれて本当に嬉しかった。時にはその日のうちに過去ログ送りとなることもあり、まめに見続けた。そして、いつしか私も常連の端くれになっていた。