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『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』第7話

2007年02月21日 20時01分07秒 | アニメ・コミック・ゲーム
期待外れ、と言わざるをえない。

『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』には3つの問題が始めからある。お約束に流されず、テーマをしっかりと見据えて、それを描き切ることで独自性を出すという高い目標を抱えるがゆえに、大きな課題を抱えることとなった。

1つ目は、まなびの問題。この物語はまなびだけのものではないことは、前々回、前回の話で示したところだ。しかし、他の「普通」の生徒たちを変える力は常にまなびから引き出されてきた。まなびに頼った演出は、まなびを万能化してしまう危険を孕むが、まなびを描かずには物語を進めることはできない。そして、まなびをどう描くかは非常に繊細な問題だ。3話続けて、まなびを正面から描けなかったことは、かなり不安の感じさせることとなった。

2つ目は、乗り越えるべき課題が何かという問題だ。目標の学園祭に向かって順調に進展していたまなびたちだが、当然それに対する試練は用意される。その試練を安直に堕さないことが求められていたが、残念ながら最も悪い手を選んでしまった。学園もので、大人、特に教師よりも更に上の存在を出してしまうと、もうお約束の構図と言ってしまうしかない。現実には、生徒が教師に働きかけることはできても、それより上は虚構の世界でなければ接点を持ち得ない存在だからだ。
狭い世界の中にだっていくらでも試練は用意できる。生徒たちに歓迎されている学園祭という現在の状況だって、生徒たちひとりひとりの心の温度差だってあるだろうし、提示される部分と実際に自分たちでやる部分では違うのだからいろんな軋轢だって生じるだろう。そうした細かなこと、身近なことを丁寧に描くことがこのアニメの主題足りえるはずだ。
今回の件がどう決着するにせよ、この作品への評価が確実に落ちたことはもう変わらない。やってはいけないことをやってしまったのだから。

3つ目は、描き方それ自体の問題だ。学園祭に向けて頑張っている面々、という状況をどう見せるのか。はっきり言ってこの7話の演出は、過去にあった困難な状況の焼き直しに過ぎない。机に向かって頭を悩ませている姿はもういらない。同じ演出では彼女たちの頑張りは伝わってこない。もっと具体的な行動を用意して、それを実行している姿を見せないとダメだ。
今回はソフトボール部の練習と絡めて描こうとしていたが、正直見るも無残な出来だった。小手先の演出でごまかすのではなく、もっとまなびたちを行動させなければ何も伝わらない。

3つの問題は、簡単に言えば、誰が、何と、どう戦うかという話だ。夏休みが終わり、今回はそれをはっきりと示すべき話となるはずだったのに、それを最悪の形にしてしまった。
予想以上の出来で期待が大きく膨らんでいたが、今回の話でその期待が弾けてしまった。理事長だの合併だの、そんなどうでもいい話より、もっと理想の学園祭の形を追求して欲しかった。もっとささいな人と人との関わりを描いて欲しかった。少しずつ少しずつ積み上げてきたものを崩してしまうのはあっという間だ。