東京電力は17日、福島第一原発事故で未解明になっていた部分の調査結果を発表した。2号機では、原子炉の圧力を下げるための「逃がし安全弁」が高温や高圧で作動しなかった可能性が高いとした。また、3号機の格納容器に「比較的大きな漏洩(ろうえい)口」が開いた可能性が高いことも明らかにした。

 逃がし安全弁は、原子炉圧力容器内の蒸気を圧力抑制室へ逃がすことで原子炉を減圧する重要装置。東電によると、2号機では事故発生からしばらく機能していたが、核燃料が大きく溶け落ちたとみられる2011年3月14日深夜の後、開く操作をしても減圧できなくなった。

 東電の分析では、格納容器の圧力が高くなりすぎて弁を開けにくくなったことに加え、弁の部品であるフッ素ゴム製のシール材が長時間高温にさらされて劣化し、弁を動かすために送り込む窒素ガスが途中で漏れた可能性があるという。このシール材の耐熱性能は約170度で数時間だった。柏崎刈羽原発の逃がし安全弁ではシール材を耐熱性が高いものに交換する方針。

 また、3号機では13日夜以降、格納容器から圧力を逃がすベントの操作をしても圧力が下がりにくくなり、15日には建屋から蒸気が上がるのも確認された。東電は、格納容器の上ぶた部分のシール材が高温で劣化し、高濃度の放射性物質を含む蒸気が外部に漏れたと推定。2号機だけでなく3号機でも、格納容器から直接漏れた可能性を認めた。(東山正宜