馬糞風リターンズ

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トムラウシ遭難事件の事

2009年09月17日 | ぼやき
先週、11日から13日の間、北海道の仲間たちが大阪に集まり楽しい同窓会をしました。その中に「自然探査クラブ」のOBが4名参加していました。彼等は、今でも年に数度、北海道の山歩きをしています。
7月の「トムラウシ山遭難事故」の報告を聞きました。
時系列で事実だけの報告を、それから実際に事故ルートを歩いての問題点を検証することになりました。
  7月15日 天候は一変し大雨。白雲岳避難小屋から16km先のヒサゴ避難小屋まで8時間かけて雨の中をずぶ濡れになり歩く。

 僕の経験からしても2000m以上の高地を、しかも平坦ではない山岳のルートを16km歩くのは、余程の体力がなければキツイと思います。
まして、雨と風の中では、現役の学生でも「目一杯」の距離です。
この一行は、全員50~60歳台の男5名女10名です。
 僕がトムラウシに入っていた頃は「ヒサゴ避難」はありませんでしたが、この小屋で、一行は衣類を乾かすこともできなくて、寝袋もびしょびしょ、風雨が激しくて睡眠もとれなかったそうです。
 この時点で、この一行は遭難したのと同じ状態です。
それを、早朝台風並の天候の中、岩がゴロゴロした稜線を踏破しようとします。
風速20~25mの強風をモロに受けて転ぶ人が続出。這うように風雨にさらされ体力を消耗し、体温が風に奪われて悲惨な状況になったそうです。

 いろいろ検証されています。どれも正しいと思います。
しかし、基本的に欠落しているものがあるように思います。

 話は飛びますが、「高層マンションで大きくなった子供」は「高さ」に対する恐怖心が全くないそうです。
安全安心の平和な日本では、危険に対する実感が消失しているのかも知れません。
僕等は、整備された平坦なハイキングコースでも、10km歩け、と云われたら、先ずお断りします。それだけの体力が無いのを十分知っているからです。
 猛獣のいるサファリーに無防備で入れば、虎やライオンに襲われるのは当り前ですが、ディーズニランドにいる調教された猛獣ばかり見ていると、その恐ろしさを忘れてしまうのかも知れません。
 どんな山でも山に登れば、危険があります。
ハイビジョン映像で、大雪の景色を見ていると、大雪の恐ろしさを想像するのは難しいかも知れません。
しかし、本来的には、人間は危険に対して本能的防御する能力があります。
所が、最近の日本人には、その本来備わっている危険に対する防護能力が欠落しているようです。
 高層マンションで育った子供が、高さに対する恐怖心が無いように、安心安全な環境で生活している日本人は、危険に対する恐怖心が無くなっているようです。
自然からも距離が遠のき、自然の営みを知ることも少なくなり、ヴィジュアルで疑似体験ばかりしてしまった結果かも知れません。

 日本人にサヴァイヴァル能力は無くなってしまったのかと慄然とする思いです。
写真は「ヒサゴ避難小屋」の前の岩だらけの登山ルート。
自然探査OBの後輩より提供

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1 コメント

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10kmのウォーキング (おおた)
2009-09-18 00:30:44
この年になれば、平坦な道の10kmハイキングは、敬遠されますか。まして13kmとあれば、竹之内街道の散策も、やっぱりダメなのでしょうか? 
 メールで正式に申し込みのあったのは、シャープ時代の友人だけです。回数を、4~5回に分け、平均8km程度に計画変更する案もありますが、場所によっては、史跡のほとんどない区域もでてきます。
 部分的な史跡めぐりではなく、全工程を歩くことに意義を持っての計画ですので、参加者は限られてくるのかも知れませんね。

 何人が参加してくれるのか、今暫く待ってみようと思います。
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