今週の “NHKプレミアムシアター” は、「ベルリンフィル・ヨーロッパコンサート in ラトビア」の模様が放送され、とても感慨深く鑑賞しました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって 当初のウクライナ開催から急遽ラトビアへ変更になり、ウクライナとの連帯とヨーロッパの平和的共存を表明する演奏会として、プログラムにはラトビア、ウクライナの作曲家の作品やウクライナの戦争を扱った作品、ロシアの圧政下から祖国の独立を願った作品などが演奏され、自由と平和のメッセージが発信されました。
<曲目> ヴァスクス 作曲「ムジカ・ドロローサ」
シルヴェストロフ / カラビッツ 作曲「エレジー」
ベリオ 作曲 「フォーク・ソングズ」
ヤナーチェク 作曲「タラス・ブーリバ」
シベリウス 作曲 交響詩「フィンランディア」
EUによるロシアへの経済制裁の一環として、ラトビアの隣国リトアニアが、ロシア本土から飛び地“カリーニングラード”への貨物列車の通過を拒否したことに対し、プーチン大統領がベラルーシへ核弾道ミサイルの配備を示唆したことから、旧ソ連に占領された歴史を有するバルト3国のロシアへの警戒感がさらに高まる中でのラトビア開催は、北欧諸国の結束をより強固なものにするための絶好の機会となりました。
ラトビアが生んだ世界のデーヴァ “エリーナ・ガランチャ” は、ウクライナへの連帯を示す “青と黄色” の衣装で登場。
ガランチャはロシアのウクライナ侵略が始まった直後に、自身のFacebookへの投稿で侵略を激しく非難、ロシアでは今後出演しないことを明らかにして、いち早くロシアへの抗議の声を上げた勇気あるアーティストの一人です。
<Facebook>
親愛なる皆様へ
先週の木曜日、ウクライナへの攻撃の初日に、私は今後ロシアでのコンサートから完全に撤退したことをお知らせします。
民主的で独立した国家であるウクライナ、そしてヨーロッパの開かれた社会全体に対してロシア政権が行った犯罪的戦争に照らして、私の名前をその国のイベントに関連づけることは無責任であり、非常に不道徳であると思います。
私は、たとえプーチンとその政権を支持する人々が、オープンで正直な声明を出せないという罠にはまったとしても、支持することはできない。
ラトビア人である私は、侵略と占領が何であるかを知り、母親である私は、子供たちに道徳の意味を教え、私はウクライナの自由と独立のために声を上げて立ち上がるのです。戦争は解決策ではありません。
歴史が示すように、私たちはどの政治指導者のイデオロギーに従うかを選択することができますし、そうすべきです。
ウクライナとウクライナの仲間たちのために、私は心を痛めています! ウクライナでの戦争にNO!
フィンランドとスエーデンのNATO加盟が現実味を帯びる中、プーチン大統領はこれに強く反発し軍事的プレゼンスを強化する可能性について示唆。
フィンランド出身の作曲家シベリウスの交響詩「フィンランディア」は、占領下当時ロシアからの独立の機運を高め、今も第二の国歌と呼ばれ人々の心の拠り所となっている。
PMFで人気者のホルン奏者 “サラ・ウィリス” が、公演終了後にメンバー同士でハグを交わす姿が映し出され、いつも変わらない彼女のフレンドリーな一面が印象的でした。
コロナ禍でここ3年間PMFの開催はなく、教授陣として彼女が来札される機会もありませんが、あの茶目っ気たっぷりな “ウィリス” にもう一度会いたいものです。