先日、ゴルフ観戦の帰りの電車内で、ある事件が起こりました。
快速エアポートの前方ドア付近で吊革につかまっていた若い女性が突然倒れ、その一部始終を目の当たりにすることになったのです。
救急隊が来るまでの間、一番前の座席に居あわせたサングラスの女性が介助に当たったのですが、その対応ぶりが実に見事でした。
サングラスを外して膝ま付くや、『大丈夫ですか?』『わかりますか!』・・・(意識の有無確認)
『誰か車掌さんに連絡して!!』・・・(伝言式に前後の車両へ叫び声がリレーされ伝わって行く)
『どうされました?』『暑いですか?』『お水飲めますか?』・・・(身体状況の把握)
周りの乗客が差し出したペットボトルの水を4口~5口ほど与え、扇子で扇ぎながら『救急車呼びますから大丈夫ですよ!』と落ち着かせる。
やがて電車が新札幌駅に到着すると、何人かの乗客たちがホームに降りて大声で駅員に緊急事態を知らせる。
駅員が3人乗り込んできて状況を把握したあと救急車を手配。
救急隊が到着するまで15分程度かかったが、その間ずーっと扇子で扇ぎ、再び水も。『もう大丈夫ですよ!』『救急車が来ますからね!』と励まし続ける。
救急隊が駆け付けると、聴きとった『①暑くて目眩したこと、②妊娠されていること、③独り旅であること』を簡潔に伝え、持ち場を交代して一旦ホームに降りた。
あの状況下で、ここまでの情報をよく把握できたものだと感心するとともに、この人はただ者ではないと思いました。
一通りの救急処置が終わり担架でホームに運び出されると、救急隊と一言二言交わした後、何事もなかったかのように再び乗り込んできて、その涼しげな眼元にサングラスをかけ元の座席に腰を下した。
電車は20分ほど遅れて新札幌駅を発車すると、車内放送で『重病人発生のため遅れたことをお詫びします。介護にご協力頂いたお客様に御礼申し上げます』のアナウンスが流れた。
思わず『good job!』と手を叩いていた。すると車内全体に拍手が広がり、何とも言えない温かい空気に包まれた。
彼女はサングラスを持ち上げて軽く腰を浮かせて会釈した後、スマホを手に取り何やら連絡を取り始めた。
誰かに約束にでも遅れるれる旨の連絡だったのだろうか?
札幌駅に着くと急いで電車を降り、颯爽とホームの人波に消えて行った。
それにしても世の中には凄い人が居るもんだ。
救急隊が来るまでの間絶えず声を掛け続け、不安を和らげ、励まし、落ち着かせることに心を配っていたように感じました。
自分も幾つかの職場で3~4回ほど応急措置の講習を受け、最低限の心得はあったつもりですが、何かお手伝いしようにも、あまりにもテキパキして手を出すスキもなく、『あぁ、ここはこの人に任せておくのが一番なんだ!』と思ったほどでした。
『もしかして医療関係者だったのだろうか?』などと思いを巡らせながら、車窓から外を眺める自分でした。