40年ぶりの旭岳
朝7時、札幌駅北口にツアー客が次々と集合、皆さん装備は万全のようです。
バスツアーを選択した理由は、①帰りにビールが飲めること、②運転せず寝て帰れること…等々
「そんなに楽したけりゃ最初から山なんか行くなよ!」と言われそう…でも行きたい!!!
10:30 旭岳ロープウェイ山麓駅到着、絶好の
で、ライブ映像でも頂上までくっきり見えます。
山麓駅から100人乗りのロープウェイで10分間の空中散歩、眼下には森林限界がはっきりと見て取れました。
入念に
してトレッキングスタート、頂上に
が掛かって来ました。
まだこんなに雪渓が残っています。
夫婦沼へ向かいます。
擂鉢池…なるほど!
鏡池…確かに名のとおり。
もっと眺めていたいけど、そこがツアーの泣き処
でも、歩きながらも楽しめます
頂上の雲が西の方へ…ヤバいかも?
東に目を移すとこんな感じ…花の名前忘れてしまいました。
向こうの山々は頂までくっきり見えているのですが…
エゾオヤマリンドウ…汚れきった爺の心も洗われそう?
この辺りまで来ると、あの名言「富士山に登って山の大きさを語り、大雪山に行って山の広さを語れ!」を実感します。
それらしい雰囲気は漂ってきましたが…
まだまだ、こんなものではない筈!
整備された木道を渡って、どんどん進みます
期待がだんだん膨らんできます。
エゾコザクラ。
「ちょっと止まって!」
(山岳ガイドさんが撮ってくれました)
しゃっこ~い!
“大塚・小塚” が近づいてきたら大群落まであと少しのはず…
分岐点まで来ました。
チングルマの群落が広がって来ましたが、天候が少し心配です。
木道を渡って更に進みます
「神々の遊ぶ庭」とはこのことか…
ハイマツのトンネルを抜けると…
そこには天空の花園が…見渡す限りチングルマの大群落です!
ため息しか出ません!!!
思わず、ガイドさんに「一枚撮って!」とおねだり…
急いで分岐まで戻って昼食、ガイドさんががしきりに天候を気にしています。
ツアー食、やっぱ
が一番!
山岳ガイドさんと隣り合わせで食べました。
高知県出身の元OLで数年前に北海道転勤を命じられ、一旦は断ったそうですが、上司から1か月間だけでも行ってくれと頼まれ、それがきっかけで北海道の雄大な自然に魅了され、山岳ガイドを始めたそうです。
話題を「よさこい祭り」に振ると、四万十から高知市内まで遠いので本場の「よさこい」は観たことがなく、北海道に来て「Yosakoi ソーラン」が初体験だと笑った。夏は暑い四万十を避けて北海道で過ごし、冬は雪かきのない四万十に戻る生活が20年以上も続いているとか…。
最初は小うるさい婆だと思ったりもしたが、話してみると意外に可愛い一面もあり、山岳ガイドとしてのキャリアも一線級のようでした。
帰り道はヒクマとの遭遇を想定して女性を真ん中に挟んで隊列を組み直し、万が一遭遇してしまった場合の対処方を実践さながらの訓練で教わりました。
恥ずかしながら、私のトレッキングシューズの靴底が剥がれそうになったアクシデントにも、「多分一人くらいはそういうバカが居るだろうと思って…」とザックから粘着テープを取り出して、つま先までグルグル巻きに補強してくれました。お礼に携行食の
を差し上げると、「食べごろに熟していて美味しかった」と、型通りのお世辞も忘れません。
有能なガイドさんゴメンナサイ!そしてアリガトウ!
ガイドの予感
が的中して、「危険だから急ごう!」の声に促されて下山を開始。
霧で道を見失うと、こんな所でも簡単に遭難するそうで、先日も一人亡くなったばかりとか…
鏡池も朝の表情とは一変、あなどれません!
でみ、ここまで来れば大丈夫! 6Km / 5時間のトレッキングは無事終了、お疲れ様でした。
ガイドさんに見送られて16時に現地を後にしました。
車中
と心地よい疲労感で半分くらいは
…
シーズンにまた来ま~す!
■Flashback 40 Years
ちなみに40年前の旭岳初体験はこんな感じ…
労組主催の「平和友好祭(キャンプ)」に参加するため支笏湖モーラップへ向けて、独身寮仲間3人で北見を出発したのは深夜1時。明け方から雨脚が強くなり支笏湖に着いた時は土砂降りで、「平和友好祭」は中止になり現地解散となりました。
4日も有給を取ってきたので、急遽予定を変更して函館に向かいました。五稜郭や函館山の夜景を楽しんだ後、函館山の中腹にて車中泊。
翌朝、阿部ちゃんが突然「旭岳に登ろう」と言い出し、大沼や洞爺湖を周遊しながら夕方勇駒別に到着。3人ともキャンプのつもりで出て来たので所持金は僅か。連夜の車中泊で、3人では脚も満足に伸ばすことができず完全に睡眠不足。
早朝ロープウェイで姿見駅まで登り、そこから旭岳頂上を目指すも連夜の睡眠不足がたたって体調は最悪。
途中、小学生の集団に追い越され岩陰で休んでいたら、急にガスが立ち込めて辺りは真っ白。急に静寂が訪れたように気が遠くなり、汗がスーッと引いて、このまま眠ってしまいたいと思うほど心地よく、まるで別世界にでも行ったかのような錯覚に陥りました。(生まれて初めての体験)
「大丈夫か!」の声に目を覚まし、阿部ちゃんにザックを担いでもらい何とか登頂を果たしたました。フラフラになって下山したとたん、今度は「あと2日有給あるから利尻岳に登ろう」と来た。唖然として返す言葉もなく一路ノシャップ岬へ。一人は上川で途中下車して北見へ帰ったので、その夜の車中泊は二人っきりだったので思いっ切り足を伸ばして寝れました!
快晴の朝、日本最北端の碑と氷雪の門に祈りを捧げた後、稚内港からフェリーで利尻島へ。この日の朝食は久し振りに温かい「かけ蕎麦」にありつけました。
鴛泊コースは船を降りてすぐの海抜0mから登山が始まります。歩けども歩けども登山道まで行き着けません。今度は阿部ちゃんの足取りが重い。無理もない北見を出てから運転しっぱなしのうえ、寝不足と栄養不足でさすがの山男も限界なのか。昨日の借りを返すのはここしかないと彼のザックを奪い取って頂上を目指しました。登山経験の浅い自分が他人のザックを担いで登れたのは奇跡的で、火事場の馬鹿力とはこのことか? 頂上での疲れ切った表情がすべてを物語っています。
ヘロヘロになりながら下山してあとは北見へ帰るだけ。所持金も底をつき、燃料を少しでも節約しようと右カーブの内側内側へと最短距離にハンドルを切る阿部ちゃん。その瞬間いきなり車体がガタガタガタと揺れ始め慌てて急ブレーキ。どうやらホイールバランスのための鉛のウエィトが外れたようです。
運よく近くにGSがあったものの修理費用がありません。二人してザックを逆さにしてもダラ銭しか出てきません。困り果てた頃に阿部ちゃんが「あっ、そうだ!」と車検証を取り出して「こんな時の為に入れておいたんだ!」と忍ばせてあった5千円札を取り出した。そんな頼もしい彼の一面を発見した瞬間から本当の悪友になったのです。
出発日の深夜移動を含めると4日連続の車中泊、まともな食事も採らずに道東~道南~道央~道北~道東と総走行距離1800Kmを超える長距離を走り回り、道内最高峰の旭岳と標高差第1位の利尻岳を2日連続で踏破した馬鹿な二人が良くぞ居たもんです。若さゆえの何とも無謀な冒険旅行でした。