徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

池大雅 釣便図

2008-07-25 | 絵画
創刊記念『國華』120周年・朝日新聞130周年
特別展「対決-巨匠たちの日本美術」
2008年7月8日~8月17日
東京国立博物館 平成館

釣便図
池大雅の釣便図。教科書にも掲載されていたこの一枚の絵のために、先週第二期を訪れたにも拘わらず、第三期もわざわざ訪問。川端康成記念会所蔵のこの作品は、なかなか見る機会を得なかったが、川端康成の生誕110周年記念の企画展「川端康成コレクション」名古屋・松坂屋美術館 2009年2月19日 - 3月15日だろう。でも名古屋ではなかなか難しいので、今回は逃さずということででかけた。

十便十宜図貼は、李漁(李笠翁)が伊園での隠遁生活を詠んだ十便十二宜詩を題材に、池大雅が十便貼を、与謝蕪村が十宜貼を共作した作品。尾張国鳴海の素封家の下郷学海の注文によって制作されたと考えられている。明和八年(1771)。十便とは自然の中の生活がいかに便利かということを、十宜とは春夏秋冬、朝晩、雨風などが楽しめるという。釣便とは、船に乗ることなく釣りを楽しめる便利さとのこと。
釣りをする人物が、便利というより楽しんでいる様が描かれている。ユーモラスな表情が釣便の名作たる所以なのだろう。釣り糸が絡まるような垂れ方も飄々としている。

対決 池大雅 VS 与謝蕪村
という意味では、中国風の池大雅と和風の与謝蕪村では、やはり与謝蕪村に軍配を挙げたい。
  • 重文 漁楽図 池大雅筆 1幅 江戸時代・18世紀 京都国立博物館蔵
    も精緻な筆遣いが見事だが、
  • 重文 新緑杜鵑図 与謝蕪村筆 1幅 江戸時代・18世紀 文化庁蔵
  • 重文 鳶鴉図 与謝蕪村筆 2幅 江戸時代・18世紀 京都・北村美術館蔵
    の2点がいい。とくに後者の墨の技法と何とも言えない鴉の風情は、素晴らしい。

    十便帖十宜帖は勿論、池大雅も与謝蕪村もなかなかまとまって作品を見る機会がなかったので楽しめた。

    国宝 十便帖 池大雅筆 1帖 江戸時代・明和8年(1771) 神奈川・川端康成記念会蔵
    ※池大雅筆「十便帖」の頁替。
       耕便図 :7月 8日(火)~7月13日(日)
       課農便図:7月15日(火)~7月21日(月・祝)
       釣便図 :7月23日(水)~7月27日(日)
       灌園便図:7月29日(火)~8月 3日(日)
       樵便図 :8月 5日(火)~8月10日(日)
       眺便図 :8月11日(月)~8月17日(日)
    国宝 十宜帖 与謝蕪村筆 1帖 江戸時代・明和8年(1771) 神奈川・川端康成記念会蔵
    ※与謝蕪村筆「十宜帖」の頁替。
       宜夏図 :7月 8日(火)~7月13日(日)
       宜秋図 :7月15日(火)~7月21日(月・祝)
       宜暁図 :7月23日(水)~7月27日(日)
       宜晩図 :7月29日(火)~8月 3日(日)
       宜風図 :8月 5日(火)~8月10日(日)
       宜陰図 :8月11日(月)~8月17日(日)

  • コメント    この記事についてブログを書く
    • X
    • Facebookでシェアする
    • はてなブックマークに追加する
    • LINEでシェアする
    « 対決-巨匠たちの日本美術(... | トップ | 2008年7月の記録 »
    最新の画像もっと見る

    コメントを投稿

    ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

    絵画」カテゴリの最新記事